介護施設や福祉事業所の採用では、応募が来ること自体は珍しくありません。それでも人が埋まらないのは、応募から面接、そして職場見学までの間で候補者が他の施設に流れているからです。介護職の求職者は、同じ通勤圏内にある複数の施設へ同時に応募し、先に話が進んだところで見学し、そこで働く人の様子を見て決める。これはごく自然な行動です。

そしてもう一つ、介護・福祉ならではの事情があります。応募に対応する側も、面接する側も、シフトで動いているということです。管理者は日中フロアに入り、事務員は請求業務に追われ、電話に出られる人が限られる。この記事では、施設の1日の流れを前提に、応募が来てから「見学の日時が確定する」までをどう最短で組むかを整理します。

介護・福祉の応募者が見ているのは「求人票」ではなく「現場」

介護職の求職者は、資格や経験があれば選択肢を持っています。給与や休日の条件は、同じ地域の施設同士でそれほど大きく変わらないことも多い。では何で決めるのかというと、実際にその職場を見たときの印象です。

フロアの雰囲気、職員同士の会話、利用者への声かけ、休憩室の様子。求人票の文字では伝わらないものを、見学の30分で判断します。裏を返せば、見学まで来てもらえれば自施設の良さを伝えられる可能性が高いのに、その手前で連絡が途切れて終わっているケースが少なくありません。

介護事業者の応募からの流れを追っていくと、詰まりやすいのは次の3か所です。

どれも「対応を怠った」というより、現場を回しながらでは物理的に難しかった、という話です。まずは、どこで時間が失われているかを把握することから始まります。応募から入社までの流れを整理する方法は応募から入社までのフロー図を描くと、課題は一目でわかるでも扱っています。

応募当日の動き方を、施設の1日に当てはめる

介護施設の1日には、電話に出やすい時間帯とそうでない時間帯がはっきりあります。それを無視して「気づいたときにかける」運用にしていると、対応は必ず遅れます。

以下は、日勤帯を軸にした施設での一例です。あくまで仮の組み方として、自施設の業務に合わせて読み替えてください。

時間帯施設側の状況応募対応でやること
9:00〜10:00申し送り後、比較的動ける前夜〜朝の応募を確認、1本目の電話
10:00〜12:00入浴・機能訓練など現場が動く電話は避け、SMS・メールで候補日を送る
13:00〜14:00昼休憩明け、手が空きやすい午前の応募へ電話、つながらなければSMS
15:00〜16:00おやつ・記録の時間返信の確認、見学日程の確定連絡
17:00以降夜勤への申し送り翌日の面接・見学枠を関係職員に共有

ポイントは、「電話をかける時間」と「文字で送る時間」を分けておくことです。応募者側も日中は別の仕事をしていたり、家事や介護の合間だったりします。1回の電話でつながらないのが前提だと考えて、二の手を最初から組み込んでおく。連絡手段の順番については応募者に電話がつながらない。SMS・メールを組み合わせた連絡の順番に詳しくまとめています。

初回連絡の速さがなぜ効くのかは応募後1時間以内の初回連絡が、採用の歩留まりを変える理由を参照ください。介護のように同時応募が当たり前の領域では、この差がそのまま結果に出ます。

面接と見学は、セットで提示する

介護・福祉の応募対応で最も改善余地が大きいのが、案内の出し方です。よくあるのは「まず面接をして、その後あらためて見学の日程を」という二段構えですが、これは候補者に2回来てもらうことになり、その間に他施設で決まってしまう余地を残します。

最初の連絡の時点で、面接と見学をひとつの日程として提示してしまう。文面としては、こうした形です。

○○様 このたびはご応募ありがとうございます。特別養護老人ホーム○○の△△と申します。 面接と施設見学をあわせて1時間ほどで実施しております。下記の候補から都合のよい日時をお知らせください。 ・9月3日(水)14:00〜 ・9月4日(木)10:00〜 ・9月6日(土)14:00〜 上記以外をご希望の場合もお気軽にお申し付けください。動きやすい服装でお越しいただければ、フロアもご案内いたします。

候補日を先に出すこと、時間の目安を伝えること、服装に触れること。この3つで、候補者が返信するまでのハードルが大きく下がります。「一度見学にいらしてください」だけでは、候補者は自分から日程を提案しなければならず、その一手間で止まります。日程調整が止まる構造は中小企業の面接日程調整が空中分解する理由と直し方で整理しています。

見学の中身も、あらかじめ決めておくと案内が速くなります。見てもらうフロア、立ち寄る場所、誰に会わせるか。そこまで決まっていれば、当日の担当者が誰であっても同じ体験を提供できます。

シフト勤務のなかで、面接枠を先に確保する

「候補日を出しましょう」と言われても、管理者や主任がいつ空いているか分からないと出せません。介護・福祉の応募対応が遅れる最大の構造要因はここにあります。

対処は単純で、シフトを組む段階で面接枠を先に押さえてしまうことです。翌月のシフト作成時に、週に2〜3コマ、「面接・見学対応」として1時間の枠を入れておく。応募がなければその時間は通常業務に戻せばよいだけです。逆に、応募が来てから空きを探す運用だと、どうしても数日かかります。

枠を確保するときの目安は次のとおりです。

この段取りは、社長や施設長が一人で抱えるものではありません。誰が何を担うかを分けることで、判断が必要な部分だけに責任者の時間を使えます。役割の切り分けは社長が採用面接だけに集中すると、採用は強くなるや、現場仕事と並行する業種の例として建設業の応募対応。社長が現場に出ていても止めない仕組みづくりも参考になります。

見学後24時間が、意思決定の分かれ目

見学が終わったあと、「結果は追ってご連絡します」で終わらせてしまうと、そこから数日は候補者にとって空白の時間になります。その間に他施設の見学があれば、印象は上書きされます。

見学当日か翌日までに、一言でよいので連絡を入れる。「本日はありがとうございました。フロアをご覧になっていかがでしたか」と感想を聞くだけでも、候補者が何を気にしているかが見えます。夜勤の負担なのか、通勤なのか、人間関係なのか。そこが分かれば、次の一手を打てます。

介護・福祉は、入職後の定着まで含めて考える必要のある領域でもあります。応募対応の丁寧さは、そのまま入職後の関係づくりの土台になります。面接後のフォローは面接後の「連絡します」で終わらせない。24時間以内の本音確認にまとめています。


応募当日の電話、つながらなかったときのSMS、面接と見学をセットにした候補日提示、そして見学後のフォロー。ひとつひとつは難しい作業ではありませんが、フロアを回しながら毎回同じ速さで実行するのは、現実的にかなり厳しいことです。

社外採用部は、応募の受付から初回連絡、日程調整、面接前後のフォロー、内定・入社フォローまでを施設の外側から担う採用事務局です。求人の出稿や母集団づくりそのものを請け負うわけではありませんが、いま来ている応募を見学まで確実につなぐ部分を引き受けます。料金は月額49,800円〜(別途、初回設計費100,000円。以降は支援内容・工数に合わせて個別にお見積り)。施設の1日の流れをうかがったうえで、連絡の時間帯や面接枠の置き方から一緒に設計します。

「応募は来ているのに見学まで進まない」という状態が続いているようでしたら、まずは現状をお聞かせください。お問い合わせはこちらから承っています(サービス責任者:佐々木純平代表)。