「中途なら何人か採ってきたが、新卒は初めて」という会社から、新卒1人にいくらかかるのかという問いはよく出ます。このとき、中途採用の感覚のまま見積もると、たいてい金額が足りなくなります。理由は総額の大小というより、お金と手間が出ていくタイミングが中途とまったく違うからです。
新卒採用の費用は、掲載費や説明会の出展費だけでは終わりません。内定を出してから入社日まで半年以上空くのが普通で、その間のフォローにも工数がかかります。さらに入社後は、戦力になるまでの教育期間が費用として乗ります。この記事では、中途と新卒で費用の発生時期がどう違うかを並べ、初年度に新卒1名を採るときの予算の積み方を、仮の数字で整理します。
総額より先に、出ていく時期の違いを見る
中途採用は、募集から入社まで短ければ1〜2か月で終わります。費用は選考から入社の前後に集中し、入社後の教育も、経験者であれば比較的短い期間で済むことが多くなります。
一方、新卒採用は入社日が固定されています。入社の1年以上前から母集団形成が始まり、内定後も半年前後の空白期間が続きます。費用と工数が、長い時間に薄く広く伸びていくのが特徴です。
| 中途採用 | 新卒採用 | |
|---|---|---|
| 募集開始から入社まで | 1〜3か月程度 | 1年以上かかることが多い |
| 費用が集中する時期 | 選考〜入社の前後 | 募集期(前倒し)と内定後〜入社後(後ろ倒し)の両方 |
| 内定から入社までの空白 | 数週間〜2か月程度 | 半年以上になりやすい |
| 入社後の教育 | 職種によるが短め | 数か月〜1年単位で見込む |
中途が「山が一つ」なら、新卒は「前と後ろに山が二つある」形です。予算を立てるとき、前の山(掲載費・説明会費)しか見ていないと、後ろの山で想定外の負担が出ます。
新卒1名の初年度予算を、仮の数字で積んでみる
ここからは、あくまで仮の数字です。業種・地域・採用人数・使う入口によって大きく変わりますので、自社の数字に置き換えて考えてみてください。従業員数十名規模の会社が、新卒1名の採用を初めて行う想定とします。
| 項目 | 仮の金額 | 発生時期 |
|---|---|---|
| 就職サイト掲載(小規模プラン) | 300,000円 | 募集開始時 |
| 合同説明会・学内イベント出展(2回) | 200,000円 | 募集期 |
| 自社説明会の運営(会場・資料・交通費) | 50,000円 | 募集期 |
| 選考にかかる社内工数(面接・調整など30時間) | 90,000円 | 選考期 |
| 内定から入社までのフォロー工数(20時間) | 60,000円 | 内定後〜入社前 |
| 内定者向けの接点づくり(懇親・資料送付など) | 30,000円 | 内定後〜入社前 |
| 入社時研修・OJT担当の時間(50時間相当) | 150,000円 | 入社後 |
| 合計 | 880,000円 | — |
社内工数は、担当者の人件費を時給換算して積んでいます。時給3,000円で仮置きしていますが、社長や役員が動く時間はもっと高く見るべきです。工数の換算方法は社長と総務が採用に使っている時間は、いくらのコストかで手順を整理していますので、自社の数字を入れてみてください。
注目していただきたいのは、下の3行です。内定後のフォローと入社後の教育だけで24万円。この部分は請求書が来ないため、予算表に書かれないまま進みがちです。けれども実際には、誰かの時間がそこに使われています。
学校経由だと、費用構造はどう変わるか
高校や専門学校、大学のキャリアセンターを通す場合、求人票の提出そのものに費用がかからないことがほとんどです。掲載費の行が小さくなるぶん、一見すると安く見えます。
ただし、費用が消えるわけではなく、形が変わります。学校訪問、求人票の作成、進路指導の先生との面談、見学の受け入れといった時間が増えます。しかも、初年度に求人票を出してすぐ応募が来るとは限りません。何年か顔を出し続けてようやく声がかかる、という流れになることも珍しくありません。
つまり学校経由は、お金の支出が時間の支出に置き換わり、回収までの期間が複数年に伸びる構造です。単年の費用対効果だけで判断すると「無駄だった」という結論になりやすいので、最初から2〜3年の投資として予算を見ておくほうが実態に合います。学校との接点のつくり方は高校・専門学校への求人票提出。学校とのつき合い方の基本で詳しく整理しています。
回収までの期間が、中途と新卒の最大の違い
中途採用は、入社した翌月から売上や業務処理に貢献してもらえる前提で費用を考えられます。採用費を数か月で回収する、という見方が成り立ちます。
新卒はそうはいきません。1年目は、教育する側の時間も差し引くと、投資が先行する期間になりやすいものです。このため、同じ1名の離脱でも、金額的な痛みは中途より大きくなります。
- 内定辞退が起きると、募集期の費用と内定後のフォロー工数がまるごと残らない
- 入社直後に辞められると、教育に充てた時間も加わる
- 新卒は入社日が決まっているため、辞退されても中途のように翌月すぐ補充という手が取りにくい
この「取り返しのつきにくさ」が、新卒の内定後フォローに手をかける理由です。早期離職の金額換算は入社3ヶ月で辞められると、いくら失うのかでも計算手順をまとめていますので、あわせてご覧ください。
予算を組む前に、先に決めておきたい3つ
新卒採用の予算は、金額から決めるとうまくいかないことが多いものです。先に決めるべきは次の3点です。
1. 何月に入社してほしいか。 そこから逆算すると、掲載や学校訪問をいつ始めるかが決まり、どの年度の予算に計上するかもはっきりします。新卒は募集年度と入社年度がずれるため、ここを曖昧にしたまま進むと、期をまたいだ費用が宙に浮きます。
2. 内定から入社までのフォローを誰がやるか。 半年の空白を放置すると辞退が起きやすくなりますが、通常業務を抱えた担当者が毎月連絡を入れ続けるのは簡単ではありません。担い手を決めずに予算だけ組むと、この工程が自然と抜け落ちます。
3. 1人あたりいくらまで出すか。 上限を先に決めておかないと、応募が集まらないときに媒体を追加し続けることになります。初年度は結果が読めないぶん、上限を決めておく意味が大きくなります。
新卒採用は、中途に比べて「社内の時間」が費用の多くを占めます。掲載費を削っても、その時間は減りません。逆に言えば、応募の受付・初回連絡・日程調整・内定から入社までのフォローといった工程を社外に持たせれば、社長や現場責任者の時間は面接と見極めに回せます。
社外採用部は、中小企業の採用事務局として、母集団形成から応募後の対応、内定・入社フォローまでを代行・支援しています。月額49,800円〜、初回設計費100,000円から始められ、以降は支援内容と工数に合わせて個別にお見積りします。面接そのものと採否の判断は御社に残したまま、採用の局面に合わせた担当を当社からアサインする形です。新卒を初めて採るにあたって、どこまで社内で持ち、どこから外に出すか。来期の予算を組む前の段階からで構いませんので、こちらからお気軽にご相談ください。
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