候補者を見送ったあと評価シートを書き始めて、手が止まることがあります。「通勤は車だったか、電車だったか」「前の会社を辞めた理由を、もう一歩聞いておけばよかった」。判断に必要な一点が抜けていると、合否を決めきれないまま数日が過ぎてしまいます。

かといって、もう一度来社してもらうのは候補者にも会社にも負担です。この記事では、面接で聞きそびれたことを10分程度の電話で補う進め方を整理します。電話をかける名目の作り方と、電話で済ませてよい項目・改めて会うべき項目の線引きもあわせて解説します。

合否の保留が長引くのは「足りない一点」があるから

面接後に結論が出ない理由はいくつかあります。判断基準が曖昧な場合や、他の候補者との比較を待っている場合は、解き方が別になります(採用するか迷ったときに、どこで決めるかで整理しています)。一方、「この一点さえ分かれば決められる」という状態なら、話は単純です。足りない情報を取りに行けば済みます。

ここで避けたいのが、推測で埋めることです。「たぶん車通勤だろう」と判断して採用し、入社後に駐車場がないと分かれば、双方に気まずさが残ります。反対に、確認のために再面接を組むと日程調整がもう一往復増えます。在職中の候補者なら休みを取り直すことになり、「評価が微妙なのでは」と受け取られることもあります。

電話であれば、目安として面接の翌日中に確認でき、結論を出す日もそのぶん早まります。時間が空くと候補者の気持ちは動いていくため、保留を短くすること自体に意味があります。

電話で聞いてよいこと、もう一度会うべきこと

線引きの基準は、答えが「事実」なのか、「会って様子を見ないと判断できないもの」なのかです。

確認したいこと電話で補う改めて会うほうがよい場合
通勤手段・所要時間事実の確認なので電話で足りる―
入社可能日・退職の見通し電話で足りる―
勤務できる曜日・時間帯、残業の可否電話で足りる―
資格・免許の有無と取得時期電話で聞き、証書は後日提示―
転職理由の深掘り一段だけ深めるなら電話で可答え次第で採否が決まるほど重い場合
仕事内容への理解・現場との相性―職場見学や現場担当との面談で確かめる
面接官同士で評価が割れている―二次面接として場を設ける

転職理由は迷いやすい項目です。「前職は残業が多かったと伺いましたが、月にどのくらいでしたか」のように事実を一つ補う程度なら、電話で問題ありません。ただ、人物評価の中心になる問いを電話で詰めると、候補者は面接の続きを不意打ちで受けている感覚になります。重い問いは、正式な場として設け直すほうが誠実です。

また、面接で聞いてはいけない質問は、電話でも同じく聞いてはいけません。家族構成や通勤の事情を確かめたつもりが不適切な質問になっていた、ということがないよう、面接で聞いてはいけない質問。悪気のない一言が問題になるで言い換え方を確認しておくと安心です。

電話をかける名目と、10分の進め方

「聞き忘れたので」と正直に伝えても構いませんが、候補者から見ると、面接後の突然の電話は「何か問題があったのか」と不安になりやすいものです。そこで名目は**「面接のお礼」と「結果連絡の前の確認」**にします。

「株式会社◯◯の△△です。昨日は面接にお越しいただき、ありがとうございました。結果のご連絡の前に、二点だけ確認させていただきたくお電話しました。5分ほどよろしいでしょうか」

進め方は次の順番です。

  1. 冒頭で名乗り、目的と所要時間を伝える。 「二点だけ」「5分ほど」と先に言うと、相手は構えずに済みます
  2. 確認は2〜3項目までに絞る。 それ以上あるなら、面接そのものの組み立てを見直したほうが早いかもしれません
  3. 最後に結果連絡の日を伝える。 「◯日までにご連絡します」と言い切ると、この電話が選考を前に進めるためのものだと伝わります
  4. 候補者からの質問を一つ受ける。 面接後に湧いた疑問を拾える機会にもなります

全体で10分程度を目安にします。つながらない場合は、SMSで「確認したいことが二点あり、明日◯時頃に改めてお電話します」と予告しておくと、折り返しや次の着信に出てもらいやすくなります。

面接後に感想や本音を聞くフォローの電話を入れている会社なら、この確認と同じ1本にまとめられます。本音確認の聞き方は面接後の「連絡します」で終わらせない。24時間以内の本音確認で扱っているので、ここでは確認事項の補完に絞りました。

聞いた内容を、その日のうちに判断へ戻す

電話で得た答えは、評価シートの該当欄に「◯月◯日 電話で確認:電車通勤、片道40分」のように、誰がいつ聞いたかとあわせて書き足します。口頭で社長に伝えただけでは、数日後には記憶が曖昧になります。

あわせて、電話をかける前に**「この答えが出たら、いつ結論を出すか」を決めておきます。** 理想は電話の当日、遅くとも翌日です。確認が済んだのにまた保留が続くなら、足りなかったのは情報ではなく基準だったということになり、迷いの種類を見直すきっかけになります。

電話は1回にまとめることも大切です。「もう一点だけ」と何度もかけると、候補者は会社の段取りの悪さを感じ取ります。確認事項は面接官同士で洗い出してから、一人がまとめて聞くようにします。

聞き忘れが繰り返されるなら、面接の最後に見る確認項目のメモ(通勤・入社可能日・勤務できる曜日など)を一枚用意しておくと、そもそも後から電話をかける場面が減っていきます。

社外採用部では、面接そのものと採否の判断は御社にお任せしたうえで、面接の日程調整や面接前後のフォロー連絡を代行しています。通勤手段や入社可能日のような事実確認の連絡を事務局側で引き受け、深掘りが必要な問いと判断は御社に残す、という分担も可能です。面接後の保留が長引きがちな方は、お問い合わせからお気軽にご相談ください。