面接の最後に「給与などの条件については、追ってご連絡します」と伝えて終える。中小企業の面接では、よくある締め方です。その場で金額を確定させられないのは当然ですし、話しにくい話題を先送りしたくなる気持ちもわかります。

ただ、この曖昧なまま終える面接は、あとで跳ね返ってくることがあります。内定を出してから「思っていた金額と違う」と言われる、承諾後に返事が鈍る、入社直前で辞退される。そのきっかけが、面接で条件に触れなかった数分にあることは少なくありません。この記事では、条件の話を面接のどこで出すか、そして「決まっていないこと」をどう伝えるかを整理します。

条件の話を後回しにすると、何が起きるか

候補者の側から見ると、給与や勤務条件は「聞きたいけれど、自分からは聞きにくいこと」の筆頭です。最初に金額の話をすると、お金目当てだと思われるのではないか。そう考えて飲み込んだまま面接を終える方は珍しくありません。

その結果、候補者は求人票に書かれた数字を自分の解釈で埋めて帰ります。「月給22万円〜28万円」と書いてあれば、自分の経験なら真ん中あたりだろう、と。会社側が想定しているのが下限に近い金額だった場合、このずれは内定通知の瞬間に露呈します。金額そのものが不満というより、「面接であれだけ話したのに、その話が一度も出なかった」という不信のほうが尾を引きます。

条件面の説明のずれが辞退につながる構造は、求人票と面接での説明がずれると、辞退されるでも整理しています。条件を伝えないことは、ずれを放置することと同じです。

冒頭・中盤・終盤、どこで触れるか

同じ「条件の話」でも、面接のどのタイミングで出すかによって伝わり方が変わります。30分の面接を想定して並べてみます。

タイミング起きやすいこと向いている使い方
冒頭(開始5分以内)選考というより条件交渉の場になりやすい。候補者の人物像を聞く前に金額の話が中心になる求人票と実態にずれがある場合の訂正(勤務地・シフトなど)のみ
中盤(経歴を聞いたあと)こちらの評価の根拠を添えて話せる。候補者も質問しやすい空気ができている給与レンジ、決まり方、諸手当、試用期間の説明
終盤(最後の質疑)時間切れで「追って連絡」になりやすい。候補者が聞きそびれる中盤で伝えた内容の確認と、次のステップの案内

実務的には、経歴や仕事内容の話をひととおり終えた中盤が扱いやすいところです。候補者の経験が見えたあとであれば、「お話をうかがった範囲では、この辺りの水準からのご相談になりそうです」と根拠つきで話せます。冒頭ではまだ根拠がなく、終盤では時間が足りません。

面接全体の時間配分から設計したい方は、30分の面接で何を聞くか。中小企業の面接進行台本もあわせてご覧ください。条件説明の枠を最初から台本に組み込んでおくと、忘れずに済みます。

「出せる幅」と「まだ決められない部分」を分ける

面接官がためらう最大の理由は、「その場で金額を約束できないから」です。ここは、約束する必要はありません。分けて伝えれば足ります。

伝えられるのは、次の3つです。

逆に、その場で言い切らないほうがよいのは、確定金額、昇給幅の約束、賞与の月数です。

文例として、中盤でこう切り出す形が使いやすいところです。

「ここまでのお話をふまえて、条件面もお伝えしておきます。求人票では月給22万〜28万円とお出ししていますが(※仮の数字です)、◯◯さんのご経験ですと24万円前後からのご相談になる見込みです。最終的な金額は、資格の確認と社内の決裁を経て確定しますので、本日は幅としてお聞きください。確定した条件は、内定の際に書面でお渡しします」

ポイントは、「まだ決まっていない」で終わらせないことです。いつ・誰が・どういう形で確定させるかまで添えると、曖昧さは不誠実になりません。試用期間についても同じで、期間・その間の待遇・本採用の判断基準の3点をそろえて話すと、受け取られ方が変わります(試用期間をどう説明するか。不安にさせない伝え方)。

候補者から先に切り出されたとき

中盤で触れる前に、候補者から「給与はどのくらいになりますか」と聞かれることもあります。このとき避けたいのは、「まだ決まっていません」「面接が終わってからですね」と質問を閉じてしまう返し方です。聞きにくいことを聞いた候補者に対して、扉を閉めた印象が残ります。

答え方の型は、その場で答えられる範囲を先に出し、確定の段取りを添えるです。

「ご質問ありがとうございます。幅としては求人票のとおり◯万〜◯万円で、ご経験によって決まります。もう少し詳しくお伝えしたいので、これまでのお仕事の内容を先にうかがってもよろしいですか。そのうえで、見込みの水準をお話しします」

前職給与を聞く場合も、唐突にならないよう理由を添えます。「現在の水準を下回るご提示になると、お互いにとってよくないので、差し支えなければ目安をうかがえますか」といった形です。答えたくない方には無理に踏み込まず、「では、幅の中でご希望があればお聞かせください」と受け止めれば十分です。

面接で聞かれることは、給与のほかにも残業、休日、教育体制などおおむね決まっています。面接官によって答えが違うと不信につながるため、面接で候補者から聞かれることに、答えを用意しているかで触れているような答えの統一メモを1枚用意しておくと、条件の話も落ち着いて扱えます。

面接だけに条件説明を背負わせない

条件の伝達は、面接の場だけで完結するものではありません。求人票で幅を示し、面接中盤で見込みを共有し、内定時に書面で確定させる。この3段階で少しずつ具体度を上げていくと、どこかで大きなずれが出ることは減っていきます。

そして、面接で「追ってご連絡します」と言ったなら、その連絡が遅れないことが何より重要です。支援の現場でも、条件提示が数日空いたことで候補者の気持ちが離れていく場面を何度も見てきました。面接で誠実に話した内容も、そのあとの連絡が止まれば台無しになります。

とはいえ、経営者や現場責任者が面接を担いながら、条件確定の社内調整と候補者への連絡まで一人で回すのは負担が大きいものです。株式会社Talencoの「社外採用部」では、面接前後の候補者フォローや内定後の連絡を採用事務局として代行しています(月額49,800円〜、初回設計費100,000円。以降の費用は支援内容・工数に合わせて個別にお見積りします)。面接そのものと採用判断は社内に残したまま、その前後の連絡だけを外に出す形です。

条件の話をどこで、どう出すか。自社の面接を一度見直してみて、「最後に触れずに終えている」と思い当たる方は、お問い合わせからご相談ください。サービス責任者の佐々木純平が、現在の選考の流れをうかがったうえで、どこに手を入れると効きやすいかを一緒に整理します。