求人媒体の営業担当から「年間契約にすると単月より割安になります」「この定額プランなら何件でも掲載できます」と提案を受けたことはないでしょうか。提示される資料はたいてい、単月のスポット掲載を12回繰り返した場合の総額と、年間契約の総額を並べた形になっています。数字だけ見れば年間契約のほうが安い。それはその通りなのですが、この比較だけで決めてしまうと、あとから「思ったほど使わなかった」という結果になることがあります。

判断を分けるのは、総額の差ではなく「採用していない月にも払い続ける期間がどれだけあるか」です。ここを先に見積もってから、割安かどうかを考える順番をおすすめします。

総額ではなく「採用していない月も払うか」で見る

スポット掲載は、募集したい月だけ費用が発生します。年間契約や定額プランは、募集していない月にも同じ金額が発生します。つまり年間契約は「採用活動が年間を通して途切れない会社ほど割安になり、途切れる期間が長い会社ほど割高になる」という構造になっています。

提案資料は多くの場合、枠をフルに使った前提で作られています。悪意があるというより、売る側として当然の見せ方です。ですから発注側は、自社が本当にその回数・その期間使うのかを自分で見積もる必要があります。

見積もるときの問いは、次の3つで足ります。

この3つを紙に書き出すだけで、年間契約が自社に合うかどうかの輪郭はかなりはっきりします。

年間で何回募集するかを、先に数える

ここから先は、すべて仮の数字での試算です。自社の実際の金額に置き換えてお読みください。

たとえば、スポット掲載が1回20万円、年間契約が120万円(掲載回数の上限なし)というプランがあったとします。回数ごとの1回あたり実質単価は次のようになります。

年間の募集回数(仮)スポットの総額年間契約の総額年間契約の1回あたり実質単価
2回40万円120万円60万円
4回80万円120万円30万円
6回120万円120万円20万円
10回200万円120万円12万円

この仮の例では、年6回を超えて初めて年間契約が有利になります。逆に年2〜3回しか募集しない会社にとっては、同じプランが実質2〜3倍の単価になります。

注意したいのは、「使い放題だから、せっかくなので出しておこう」と募集を増やしてしまうケースです。掲載を増やせば応募は増えますが、応募が増えれば電話・日程調整・面接の工数も増えます。枠を使い切ること自体が目的になると、媒体費は固定でも社内の対応時間というコストが膨らみます。採用していない職種の掲載を惰性で続けていないか、半年に一度は見直したいところです。

掲載1回ごとの採算の見方については、求人広告費を回収できているか。掲載1回ごとに確認する3つの数字で応募単価・面接単価・採用単価に分けて整理しています。年間契約の評価も、最終的には同じ考え方で測ることになります。

途中解約と、枠を使い切れなかった場合の扱い

年間契約で見落とされやすいのが、途中で採用が決まったときの扱いです。契約書や申込書で、次の点を契約前に確認してください。

「残期間は返金なし」「割引分は精算」という条件は珍しくありません。この場合、早く採用できた会社ほど損をする形になります。採用がうまくいったのに費用は変わらない、という状態を許容できるかどうかは、経営判断の分かれ目です。

また、営業担当に聞けることと聞けないことの線引きも知っておくと話が早くなります。プランの中身や原稿改善は相談できますが、応募が来たあとの対応までは媒体側の業務範囲ではありません。この点は求人媒体の営業担当に、どこまで相談できるのかで整理しています。

年間契約が合う会社、スポットで足りる会社

年間契約が合いやすいのは、次のような条件が重なる会社です。

通年で募集している会社。 慢性的に人手が足りず、1年のうち掲載していない月のほうが短いなら、固定費化したほうが管理も会計もシンプルになります。

複数職種を同時に募集する会社。 事務・現場・ドライバーなど職種が分かれていると、スポットでは職種ごとに掲載費がかかります。掲載数に上限のないプランでは、このときに差が出やすくなります。

離職が起きやすい職種を抱えている会社。 予定外の欠員が年に何度も発生する職種があるなら、そのたびに都度稟議を上げて掲載を申し込む手間自体が負担になります。

逆に、スポットで足りることが多いのは、年1〜2回の採用で済む会社、採用時期が特定の季節に集中している会社、そして「まずどの媒体が自社に合うか試している段階」の会社です。媒体との相性が分からないうちに年間で縛ると、合わないと分かっても1年動けません。媒体選びの段階にいる方は、求人媒体はどう選ぶか。職種と地域で絞る順番もあわせてご覧ください。

契約を決める前に、応募後の数字を一度見ておく

もうひとつ、年間契約を検討するタイミングで確認しておきたいことがあります。それは「掲載を増やせば採用が増える状態なのか」です。

仮に、応募は毎月届いているのに面接までたどり着く人が少ないとします。この状態で掲載回数を増やしても、増えるのは応募件数と対応工数で、採用人数は思ったほど動きません。年間契約にして募集を増やす前に、いま来ている応募のうち何割が面接まで進んでいるかを確認しておくと、判断の根拠が一段しっかりします。測り方は面接設定率という指標。応募からの歩留まりを測る第一歩にまとめています。

年間契約にするかスポットにするかは、「年に何回募集するか」「採用していない月にいくら払うか」「途中で決まったときどうなるか」の3点を自社の数字で埋めれば、営業担当の提案を待たずに判断できます。そして契約形態を決めたあとに効いてくるのは、届いた応募をどれだけ面接につなげられるかです。

社外採用部は、求人・媒体・スカウトの運用といった母集団形成から、応募の受付・初回連絡・日程調整・面接前後のフォロー、内定や入社のフォローまでを、採用事務局として社外から担います。料金は月額49,800円〜、初回設計費100,000円、以降は支援内容と工数に合わせて個別にお見積りします(応募1件ごとの従量課金ではありません)。面接そのものと採否の判断は御社に残していただく形です。媒体の契約プランを見直すタイミングで、応募が来たあとの受け皿もあわせて考えたい方は、お問い合わせからお気軽にご相談ください。