応募対応の外注を検討する段階で、多くの経営者が最後に引っかかるのは「払った分の効果があったかを、どうやって確かめるのか」という点です。月額の費用は毎月確実に出ていくのに、返ってくるものが数字で見えないのではないか。その不安は当然のものだと思います。
そして実際に始めたあと、判断を誤りやすいのもここです。「今月は1人採用できたから成功」「先月は誰も入らなかったから失敗」と、採用人数だけで評価してしまう。応募が月に数件しかない会社では、この見方だと運の良し悪しをそのまま成績表にしているのと変わりません。この記事では、外注を始める前に測っておくべき数字と、3ヶ月後にそれをどう比べるかを整理します。
採用人数だけで判断すると、母集団の変動に振り回される
応募対応の外注が効くのは、応募が来たあとの歩留まりと、社内が使っていた時間です。応募そのものを増やす施策ではありません。ところが評価の段になると、多くの会社が「で、何人採れたか」だけを見てしまいます。
たとえば仮の数字で考えてみます。外注前の3ヶ月は応募が月12件あり、うち1人採用できた。外注後の3ヶ月は応募が月5件に減り、やはり1人採用できた。人数だけ見れば「変わらない」ですが、応募が半分以下でも同じ結果を出しているなら、対応の質は確実に上がっています。逆に応募が倍に増えた月に2人採れても、それは媒体側の追い風かもしれません。
求人媒体の掲載時期、季節、地域の求人環境。応募件数は自社でコントロールしにくい要因で大きく動きます。だからこそ、母集団の変動を割り算で吸収できる指標と、応募件数の増減に関わらず効いてくる工数の指標、この2軸で見る必要があります。
外注を始める前に測っておく3つの数字
外注の効果検証でいちばん多い失敗は、「始める前の数字を取っていなかった」ことです。比較の相手がないと、良くなった実感はあっても説明ができません。契約前の1〜2週間でいいので、次の3つは記録しておいてください。
1. 初回連絡までの時間
応募が届いた日時と、こちらから最初に接触できた日時。この差を応募1件ごとに記録します。平均だけでなく、いちばん遅かった件も残しておくと、あとで「最悪ケースが消えたか」を見られます。速さが歩留まりに効く理由は応募後1時間以内の初回連絡が、採用の歩留まりを変える理由で詳しく整理しています。
2. 面接設定率
応募件数のうち、面接日程が確定した件数の割合です。この1つで、応募後の対応がどれだけ機能しているかがかなり見えます。計算方法と記録の仕組みは面接設定率という指標。応募からの歩留まりを測る第一歩にまとめました。
3. 社内工数
社長・総務・現場責任者が、応募対応に月何時間使っているか。電話、SMS、日程調整、リマインド、不採用連絡まで含めます。ざっくりでも構いませんが、時給換算して金額に置き換えるところまでやると、外注費との比較がしやすくなります。手順は社長と総務が採用に使っている時間は、いくらのコストかを参考にしてください。
この3つを取っておけば、あとは3ヶ月後に同じ形で測り直すだけです。
3ヶ月後に比較する簡易フォーマット
以下は、そのまま自社の数字を書き込んで使える形です。仮の数字を入れた例を併記しています。
| 項目 | 外注前(月平均) | 外注後3ヶ月(月平均) | 見方 |
|---|---|---|---|
| 応募件数 | 12件 | 10件 | 増減の背景を確認する項目。良し悪しの判断はしない |
| 初回連絡までの平均時間 | 26時間 | 1.5時間 | 短くなっているか |
| 面接設定率 | 25%(3件) | 50%(5件) | 応募が減っても上がりうる |
| 面接実施数 | 2件 | 5件 | 無断キャンセルの減少もここに出る |
| 社内工数 | 月14時間 | 月3時間 | 何に使う時間が消えたかも記録 |
| 工数の金額換算 | 約42,000円 | 約9,000円 | 時給3,000円で計算した仮の例 |
見るべきは、この表の下2行と真ん中2行の組み合わせです。
歩留まりが上がり、工数も下がっている場合。 これは費用対効果が出ていると判断しやすい状態です。同じ応募数からより多くの面接につながり、しかも社内の手離れも進んでいます。
歩留まりは変わらないが、工数だけ大きく下がった場合。 判断は分かれます。もともと社内の対応が速く丁寧だった会社では、歩留まりの伸びしろがそもそも小さいことがあります。この場合は「浮いた時間を何に使えたか」で評価してください。社長が面接と採用判断に集中できるようになったなら、それ自体が投資に見合う変化です(社長が採用面接だけに集中すると、採用は強くなる)。
歩留まりも工数も動いていない場合。 3ヶ月経って両方が横ばいなら、任せ方に問題があるか、そもそもの詰まりが応募後の対応ではない可能性があります。応募数自体が極端に少ないなら、先に見るべき場所が別にあるということです。
3ヶ月では見えないもの、6ヶ月で見えるもの
一方で、3ヶ月では評価しきれない領域もあります。内定承諾率、入社辞退、入社後3ヶ月の定着。これらは母数が溜まるまで時間がかかりますし、そもそも1人採用するまでのサイクルが長い職種なら、半年見てようやく傾向が出るという程度です。
ですから検証は二段構えにするのが現実的です。3ヶ月目は「応募から面接まで」の区間と工数で判断する。6ヶ月目に「面接から入社まで」を足して見直す。この順番であれば、早い段階で続けるかどうかの判断材料が手に入り、そのうえで後半の効果を確認できます。
なお、初回設計費のような立ち上げ費用は初月に集中して出るため、1ヶ月目だけを切り取ると必ず割高に見えます。設計費は12ヶ月で按分して眺めるくらいの感覚で構いません。判定の対象は、あくまで月額の継続コストと、それによって動いた数字です。
判定シートを1枚にして、社内で共有する
もうひとつ大切なのは、この検証を経営者ひとりの頭の中で終わらせないことです。応募対応の工数を負担していたのは総務や現場責任者ですから、「何時間減ったか」は彼らのほうが体感しています。表を1枚のシートにして共有し、数字の横に一言コメントを添えてもらうだけで、続けるか見直すかの議論が具体的になります。
外注の是非は、感覚ではなく比較で決められます。そのために必要なのは、始める前の数字をほんの少し残しておくこと。それだけです。任せることそのものへの不安が先に立つ場合は、採用を外注するのが不安な社長へ。失敗しない任せ方も併せてご覧ください。
社外採用部では、応募の受付から初回連絡、日程調整、面接前後のフォロー、内定・入社フォローまでを採用事務局として代行しています。料金は月額49,800円からで、初回に設計費として100,000円、以降の費用は支援内容・工数に合わせて個別にお見積りします。ご契約後は開始前の数字の取り方から一緒に整理し、3ヶ月後に同じ形で振り返ることをおすすめしています。自社の場合どの数字を測っておくべきかも含めて、こちらからお気軽にご相談ください。
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