求人媒体の掲載が終わると、営業担当の方から「今回は応募が◯件でした」という報告が届きます。その数字を見て、多かった・少なかったと感じたところで話が終わり、次の掲載をどうするかは何となくの印象で決めている。中小企業では、これがごく普通の光景ではないでしょうか。
けれど、掲載費を払った目的は応募を集めることそのものではなく、人を採用することのはずです。応募が何件来たかだけでは、その掲載費が回収できたのかどうかは判断できません。掲載1回ごとに3つの数字を並べて記録しておくと、広告費の使い方について、勘ではなく根拠で決められるようになります。
応募単価で止まると、判断を間違える
まず確認したいのが応募単価です。掲載費を応募件数で割った数字で、「応募1件を集めるのにいくらかかったか」を表します。多くの会社が見ているのはここまでです。
この数字自体は必要なのですが、応募単価だけを見ていると危険な判断につながります。応募単価が安い掲載を「良い掲載」と評価してしまうからです。応募は多く集まったけれど、そのうち面接に来た人が一人もいなかった掲載と、応募は少なかったけれど半分が面接に進んだ掲載。応募単価だけを比べれば前者が優秀に見えますが、採用という結果から逆算すれば評価は逆になります。
さらにやっかいなのは、応募単価が悪化したときに「媒体が悪い」という結論に飛びやすいことです。実際には、応募が来た後の対応が滞っていて面接まで進んでいないだけ、というケースは珍しくありません。この切り分けについては求人媒体を変える前に確認したい、応募後対応の数字でも整理していますが、判断の順番を間違えると、直すべき場所を直さないまま次の掲載費を払うことになります。
掲載1回ごとに記録する3つの数字
記録するのは次の3つです。難しい計算はいりません。掲載が終わったタイミングで、電卓を1分叩けば出ます。
| 指標 | 計算式 | わかること |
|---|---|---|
| 応募単価 | 掲載費 ÷ 応募数 | 求人内容と媒体が候補者に届いたか |
| 面接単価 | 掲載費 ÷ 面接実施数 | 応募後の対応が機能しているか |
| 採用単価 | 掲載費 ÷ 採用数 | 掲載費を回収できたか |
大事なのは、この3つを同じ掲載についてセットで見ることです。応募単価と面接単価の差が大きければ、応募後の初回連絡や日程調整に問題があります。面接単価と採用単価の差が大きければ、面接の中身か、面接後から内定までのフォローに課題があります。どこで数字が大きく開くかによって、次に手を入れる場所が変わります。
記録は掲載ごとに一行ずつ、表計算ソフトに残しておけば十分です。媒体名、掲載期間、掲載費、応募数、面接数、採用数。この6項目を並べておくだけで、半年後に見返したときの判断材料になります。応募から採用までの流れをもう少し細かく見たい場合は、応募から入社までのフロー図を描くと、課題は一目でわかるで紹介している描き方が役に立ちます。
同じ掲載費でも、採用単価は何倍も変わる
ここからは仮の数字で考えてみます。実在の会社のデータではなく、構造を理解するための例としてご覧ください。
たとえば、掲載費30万円で応募が20件集まったとします。応募単価は1.5万円です。この20件について、応募後の対応が違う2つのパターンを比べてみます。
| パターンA | パターンB | |
|---|---|---|
| 掲載費 | 30万円 | 30万円 |
| 応募数 | 20件 | 20件 |
| 応募単価 | 1.5万円 | 1.5万円 |
| 面接実施数 | 4件 | 10件 |
| 面接単価 | 7.5万円 | 3万円 |
| 採用数 | 1名 | 3名 |
| 採用単価 | 30万円 | 10万円 |
応募単価はまったく同じです。媒体も原稿も同じ、集まった候補者の質も同じだとします。違うのは応募が来た後だけ。それでも採用単価には3倍の開きが出ます。
パターンAで何が起きているかというと、応募の翌日以降に電話をかけ、つながらなければそのまま止まり、日程調整のやりとりが数往復して自然消滅する、という流れです。特別にひどい対応をしているわけではありません。本業の合間に採用を回している会社では、ごく普通に起きることです。応募後1時間以内の初回連絡が、採用の歩留まりを変える理由でも触れていますが、候補者は他社にも同時に応募しています。返信が遅れた分だけ、先に動いた会社へ流れていきます。
つまり、採用単価を下げる手段は広告費の交渉だけではないということです。同じ30万円を払うなら、応募後の取りこぼしを減らしたほうが、値引き交渉よりはるかに効きます。単価の考え方そのものについては採用コストの考え方。1人あたり採用単価をどう下げるかもあわせてご覧ください。
次の掲載を出す前に、どこに投資するか決める
3つの数字が揃うと、次の判断は自然に絞られます。
応募単価が高い(そもそも応募が集まらない)場合は、原稿や媒体選び、掲載条件の見直しが先です。ここは広告側の課題なので、媒体の営業担当と相談する領域になります。
応募単価は妥当なのに面接単価が高い場合は、応募後の対応に穴があります。初回連絡までの時間、電話がつながらないときの二の手、面接候補日の提示の仕方。このあたりを点検すると、追加の広告費をかけずに面接数を増やせる余地があります。面接設定率という指標。応募からの歩留まりを測る第一歩で、この区間の測り方を詳しく説明しています。
面接単価は妥当なのに採用単価が高い場合は、面接から内定、入社までの区間です。面接後の連絡が遅い、内定通知が事務的、承諾後のフォローがない。この区間の離脱は、費用としては最も痛手が大きくなります。すでに面接まで進んだ候補者を逃しているからです。
そして、次の掲載を出す前に自問してほしいのは「前回の掲載で取りこぼした応募を、今回は取りこぼさない仕組みがあるか」という一点です。仕組みが変わっていないまま掲載費だけ積み増すと、同じ比率で取りこぼしが増えるだけになります。
数字を残す担当を決める
とはいえ、この記録が続かない理由もはっきりしています。応募数は媒体の管理画面に残りますが、面接実施数と採用数は誰かが手で数えないと出てきません。そして日々の業務に追われていると、掲載終了後にわざわざ集計する時間は取れません。
だからこそ、記録する担当と、記録するタイミングをあらかじめ決めておくことをおすすめします。掲載終了日の翌営業日に、6項目を一行足す。それだけをルールにする。どの会社でも、この一行の習慣があるかないかで、半年後の意思決定の質がまったく変わっていきます。
社外採用部は、求人・媒体・スカウトなど母集団形成の運用から、応募の受付、初回連絡、日程調整、面接前後のフォロー、内定・入社フォローまで、面接以外の採用実務を代行する採用事務局サービスです。面接そのものと採否の判断は御社が行います。応募後の対応も引き受けるため、面接実施数や採用数といった数字も対応の過程で自然に残り、掲載ごとの振り返りに使える形でお渡しできます。
料金は月額49,800円から、初回に設計費100,000円をいただいたうえで、以降は支援内容・工数に合わせて個別にお見積りします。次の掲載費を決める前に、前回の掲載で何が起きていたのかを一緒に整理するところからでも構いません。自社の応募対応にどれだけ改善の余地があるか気になった方は、お問い合わせからお気軽にご相談ください。サービス責任者の佐々木がご状況をうかがいます。
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