保育士や保育教諭の応募が入ったとき、園長先生や主任はクラスに入っていることが多いのではないでしょうか。書類が届いた通知には気づいていても、電話をかけられるのは子どもたちが降園したあと。気づけば夕方18時を過ぎ、「今日はもう遅いから明日にしよう」と判断して、翌日また保育に入る。この繰り返しのなかで、いつのまにか応募者から連絡が返ってこなくなる——という経験をお持ちの園は少なくありません。
保育の有資格者は、複数の園を同時に見比べています。しかも比べる材料は求人票の文面ではなく、「見学に行ってみた印象」です。つまり、見学の日程が先に決まった園が有利になりやすい構造があります。この記事では、園長・主任が保育に入りながらでも応募を止めないための受付の型を、園の一日の流れに沿って整理します。
園の一日には、電話をかけられる時間が二つしかない
まず、時間の制約を正確に把握しておきたいところです。園によって差はありますが、多くの園では次のような形になります。
| 時間帯 | 園の状況 | 応募対応の可否 |
|---|---|---|
| 7:30〜9:30 | 早朝保育・登園受け入れ | 難しい |
| 9:30〜11:30 | 主活動・クラス運営 | 難しい |
| 12:30〜14:30 | 午睡(保育者は交代で休憩・事務) | 短時間なら可能 |
| 15:00〜17:00 | 起床・おやつ・降園開始 | 難しい |
| 17:00〜19:00 | 延長保育・事務作業 | 可能だが応募者側が動きにくい |
つまり、園側が動ける時間は午睡中と夕方以降に限られます。一方で応募者側も、在職中の保育士であれば午睡中の休憩時間か、勤務後の夕方以降しか電話に出られません。双方が動ける時間帯が、午睡中の30分程度に集中しているわけです。ここを逃すと、電話がつながるまでに2〜3日かかることも起こります。
だからこそ、園長が一人で抱えるのではなく、事務職員や主任と受付の役割を分けておく設計が効いてきます。考え方の骨格はクリニック・歯科の求人。院長が診療中でも応募を止めない受け方とも共通しますが、保育の場合は「見学」という工程が加わるぶん、段取りをもう一段細かく決めておく必要があります。
一次受付は事務職員、判断は園長。線を先に引く
「採用のことは園長が決めることだから、園長が全部やる」という運用が、応募対応を止めている場面は少なくありません。決めるのは園長のままでよいのです。分けるべきなのは、決める工程と、つなぐ工程です。
事務職員や主任に任せられる工程は、おおむね次の範囲です。
- 応募通知の確認と、応募者への一次連絡(当日中のショートメールを含む)
- 見学・面接の候補日提示と日程確定
- 前日リマインドの送信
- 当日の道順・持ち物・駐車場の案内
園長が担うのは、書類を見て会うかどうかを判断すること、面接そのもの、採用の意思決定です。この線引きを紙一枚に書いて事務室に貼っておくだけでも、「園長の確認待ち」で止まる時間は短くなりやすいです。
一次連絡の文面は、あらかじめ型を用意しておくと事務職員でも迷いません。電話がつながらなかったときに何を送るかまで決めておくと、折り返しの往復が減ります。連絡手段の使い分けは応募者に電話がつながらない。SMS・メールを組み合わせた連絡の順番にまとめています。
たとえば、こうした一文です(あくまで一例です)。
○○様、△△保育園です。ご応募ありがとうございます。園内におりお電話に出られない時間帯があるため、こちらにご連絡いたしました。園の見学を兼ねた面談を、9/18(木)14時、9/19(金)14時、9/22(月)16時のいずれかでご案内できます。ご都合のよい日をこのメッセージに返信いただければ確定いたします。
ポイントは、日程を先に出していることです。「ご都合のよい日をお知らせください」と聞く形にすると、返信が来るまで園は待つことになり、その間に他園の見学が決まってしまいます。
見学枠を、週の固定曜日で先に空けておく
保育の応募者は、園の空気を自分の目で見て決める方が多いものです。ですから面接と見学は分けず、セットで案内するのが現実的です。ここで問題になるのは、園長が対応できる時間を毎回探しに行く運用です。応募が来てから枠を探すと、必ず数日かかります。
そこで、週に2回、決まった曜日・時間に見学枠を仮押さえしておく方法をおすすめしています。たとえば「火曜14時」「木曜14時」を採用面談枠として固定し、応募がなければ通常業務に戻す。応募が入ったその日に、この枠から2〜3案を提示できる状態を作ります。枠の作り方そのものは面接枠が取れない。現場が忙しい会社の面接枠の作り方で詳しく触れています。
見学時間帯の選び方にも、少し工夫の余地があります。
- 午睡中(13時台): 園長が落ち着いて話せる。ただし子どもの活動の様子は見せにくい
- 主活動中(10時台): 保育の実際が伝わる。園長は途中で抜けられない可能性がある
- 夕方(16時台): 在職中の応募者が来やすい。降園対応と重なる園は避ける
在職中の方が多い職種ですから、夕方枠を一つ持っておくと調整が楽になることが多いです。
初回連絡で、不安に半歩だけ触れておく
保育の求人に応募する方が気にしているのは、給与だけではありません。実際にご相談を受ける中でよく挙がるのは、次のような点です。
- 何時に帰れるのか(残業の実際)
- 制作物や書類を家に持ち帰る文化があるか
- 行事の準備をいつ、誰がやるのか
- クラス担任の持ち方と、フリー保育士の人数
- 有給が実際に取れるか
これらは面接で話せばよい、と考えたくなります。ただ、応募者は複数園を見比べている最中です。不安が解消されないままだと、見学の約束をしても足が向かなくなり、当日キャンセルにつながることがあります。
とはいえ、初回連絡で全部を書き込むと重くなります。目安としては、「見学のときに、勤務時間の実際と行事の分担についてもご説明します」と、触れることを予告するところまで。答えを出すのではなく、聞ける場があると伝える形です。これだけで、見学に来る動機は上がりやすくなります。詳しく踏み込む場合の書き方は、業界は違いますが警備業の採用。応募者の不安に先回りする応募後の説明の考え方が参考になります。
なお、見学から面接、内定までの間に連絡が空くと、そこで他園に流れます。見学当日に「次はいつ、誰から連絡が来るか」を口頭で伝え、当日か翌日にお礼と次の案内を送る。この一手の重みについては面接後の「連絡します」で終わらせない。24時間以内の本音確認にまとめました。
園の外に、受付だけを置くという選択
ここまでの型は、事務職員がいる園なら社内で組めます。難しいのは、事務職員が労務や請求業務で手一杯の園、あるいは園長が保育と経営を兼ねている小規模園です。
その場合、応募の受付と日程調整だけを園の外に置く方法があります。社外採用部は、応募の受付、初回連絡、見学・面接の日程調整、前後のフォロー、内定・入社の連絡までを園に代わって担う採用事務局です。求人広告そのものを運用するサービスではありませんが、いま届いている応募を見学まで確実につなぐ役割を引き受けます。料金は月額49,800円から、初回に設計費100,000円をいただき、以降は支援内容・工数に合わせて個別にお見積りします。
園長先生には、面接と採用の判断だけ残していただければ十分だと考えています。仮の数字ですが、月に応募が5件あり、そのうち2件が折り返しの遅れで見学に至らないとすれば、失っているのは応募2件ではなく、採用機会そのものです。
自園の受付をどう組むか、あるいはどこまで外に出せるか。園の一日の流れを伺いながら一緒に設計しますので、こちらからお気軽にご相談ください。サービス責任者の佐々木純平が対応します。
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