警備会社の採用で、こんなことが起きていないでしょうか。応募は入る。電話もつながる。面接日も決まる。それなのに当日になって「やっぱり辞退します」と連絡が来る、あるいは連絡すらないまま来社されない。求人の内容は変えていないのに、面接に来る人と来ない人がはっきり分かれる。

警備業は、応募者が入社前に抱く疑問が他業種より多い仕事です。シフトの組み方、夜勤の頻度、配置される現場、法定の新任教育、制服や装備、給与が実際にいくらになるのか。これらの答えがわからないまま面接日を待つ期間は、候補者にとって不安を膨らませる時間になります。この記事では、初回連絡の段階で何をどこまで伝えると面接まで来てもらいやすいのかを、説明の型として整理します。

警備業の応募者は「求人票では判断できないこと」を抱えたまま応募している

警備の求人票には、勤務地が「都内各所」「案件により変動」と書かれていることが少なくありません。勤務時間も「シフト制」「夜勤あり」とだけ記載され、実際に月何回の夜勤になるのかは書かれていない。これは業務の性質上やむを得ない部分もあります。案件は流動しますし、配置は入社後の適性を見て決めることもあるからです。

ただ、応募者側から見ると、これは「働き方がわからないまま応募した」状態です。特に、他業種からの転職者や、警備が初めての方ほど疑問は多くなります。

候補者が抱きやすい疑問は、おおむね次のようなものです。

こうした疑問は、面接に行けば聞けます。しかし裏を返せば、面接に行くまで解消されないということです。応募から面接まで1週間空けば、その1週間ずっと不安を抱えたままになります。その間に他社から即日で連絡が来て、条件がはっきり示されれば、そちらに気持ちが傾くのは自然なことでしょう。

説明不足は「当日キャンセル」という形で表面化する

面接の無断キャンセルや直前辞退は、当日に起きた出来事ではなく、それまでの空白期間に積み上がった不安が形になったものであることが多いものです。この構造そのものは面接の無断キャンセルはなぜ起きるのか。前日までにできる予防策でも整理していますが、警備業の場合は「説明されていない項目の多さ」がその空白をさらに広げます。

たとえば、仮の数字で考えてみます。ある月の応募が20件あり、電話がつながって面接日が決まったのが12件、実際に来社したのが7件だったとします。この場合、面接設定率は6割ですが、面接実施率は35%です。求人媒体を追加しても、この35%が変わらなければ応募が増えた分だけキャンセルも増えます。歩留まりの測り方については面接設定率という指標。応募からの歩留まりを測る第一歩もあわせてご覧ください。

キャンセルされた候補者に理由を聞ける機会はほとんどありません。ただ、辞退連絡の文面を集めて眺めていくと、「勤務地が遠かった」「研修の日程が合わなかった」「思っていた働き方と違いそうだった」といった、面接前に伝えられたはずの情報が理由に並ぶことがしばしばあります。

初回連絡で伝える5項目

では、初回連絡でどこまで話すか。すべてを説明しようとすると電話が長くなり、かえって離脱を招きます。優先順位をつけて、次の5項目に絞るのが現実的です。

項目伝える内容伝えないとどうなるか
勤務地の範囲主な現場のエリアと、自宅からの通勤の考え方「遠い現場に飛ばされるのでは」という不安が残る
シフトと夜勤日勤・夜勤の割合、希望を出せる範囲生活が組み立てられず、家族の反対が出やすい
新任教育期間・場所・その間の給与の扱い「無給で何日も拘束される」と誤解されやすい
給与の実額基本給に加え、夜勤・残業を含めた月収の目安求人票の下限額だけで判断されてしまう
面接の内容所要時間、持ち物、服装、当日の流れ準備の手間が心理的なハードルになる

このうち特に効くのが、新任教育の説明です。警備業法で定められた新任教育は、応募者にとっては「働き始める前に何日も時間を取られる期間」に見えます。期間中の給与の扱い、受講場所、いつから現場に出るのかを最初に伝えておくと、不安の総量がかなり下がります。

給与についても、下限額だけを見て応募している方が多いため、「日勤中心だとこのくらい、夜勤を月◯回入れるとこのくらい」と幅で示すほうが誠実です。ここで話を盛ると入社後の早期離職につながるため、実際の水準をそのまま伝えてください。

説明の型をつくる。電話一本で終わらせない

初回連絡は電話が基本ですが、電話で話した内容は候補者の記憶にしか残りません。家族に相談するとき、本人が正確に説明できないと「よくわからない会社」になってしまいます。電話のあとに同じ内容を文字で送るところまでを一続きの型にしてください。

初回連絡(電話)の型は、次の順序が扱いやすいものです。

  1. 名乗りと応募のお礼(社名・担当者名をはっきりと)
  2. 応募いただいた求人の確認
  3. 上記5項目の説明(3〜5分程度)
  4. 疑問がないかを確認する
  5. 面接候補日を2〜3日分、こちらから提示する

そのうえで、通話後にSMSかメールで送る文面の骨子です。

○○様 先ほどお電話しました、□□警備の△△です。改めてご応募ありがとうございます。 お伝えした内容をまとめておきます。 ・主な勤務先:◯◯エリアの施設警備(自宅から通える範囲でご相談します) ・シフト:日勤中心/夜勤は月◯回程度、ご希望を伺います ・新任教育:入社後◯日間、◯◯にて実施(この期間も給与が出ます) ・月収目安:◯◯円〜◯◯円(勤務日数・夜勤回数により変動) ・面接:所要◯分、私服で結構です。持ち物は身分証のみ 面接日は◯月◯日◯時でお取りしています。ご不明点はこの番号にそのままご返信ください。

電話がつながらない場合の順番については応募者に電話がつながらない。SMS・メールを組み合わせた連絡の順番で詳しく扱っています。警備業は日中に別の仕事をしている方からの応募も多いため、留守番電話とSMSをセットで残す運用にしておくと取りこぼしが減りやすくなります。

説明の質を、担当者によってばらつかせない

ここまでの型は、内容そのものは難しくありません。難しいのは、これを応募のたびに、誰が対応しても同じ品質で実行し続けることです。

警備会社では、隊員の配置調整や現場対応に追われる中で、営業所長や管理者が採用も兼務しているケースが目立ちます。日中は現場に出ていて電話に出られない、という点は建設業の応募対応。社長が現場に出ていても止めない仕組みづくりで扱った構造とよく似ています。手が空いたときに折り返し、そのときの余裕次第で説明が3分になったり30秒になったりする。この差が、面接に来る人と来ない人を分けていきます。

まず取り組めるのは、5項目の説明メモを1枚にまとめ、電話の横に置くことです。次に、通話後に送る文面をテンプレート化し、変数だけ差し替えれば送れる状態にすること。この2つだけでも、担当者による差はかなり縮まります。

そのうえで、それでも社内の手が回らない場合には、応募受付から初回連絡、日程調整、面接前後のフォローまでを社外に持つという選択肢があります。社外採用部は、応募が来たあとのこの部分を代行する採用事務局です。求人の出し方や母集団を増やす部分ではなく、いま来ている応募を面接・入社までつなぐことに特化しています。料金は月額49,800円〜、初回設計費100,000円、以降は支援内容・工数に合わせて個別にお見積りします。説明すべき5項目の中身は御社の実情に合わせて設計しますので、業界特有の内容も引き継いだうえで運用できます。

面接に来ない応募者が続いているなら、求人の出し方より先に、応募後の説明を見直すほうが早く効くことが多いものです。自社の初回連絡で何を伝えられているか、一度書き出してみてください。整理の段階からご相談いただければ、お問い合わせより佐々木が対応いたします。