求人を出すと、県外からの応募が混ざって届く。「農業をやってみたい」「自然の中で暮らしたい」という熱のこもった応募文を読んで、こちらも期待して面接日を決める。ところが当日、来ない。連絡も取れない。あるいは面接には来たものの、住まいの話になった途端に表情が曇り、その後の返事が途絶える——農業法人で、こうした話は珍しくありません。

遠方・移住希望の応募者は、就職だけでなく生活そのものを動かそうとしています。仕事の内容以前に、住む場所・生活費・冬の仕事があるかどうかが決まらないと動けない。その確認が済まないまま面接日だけが先に決まると、当日までのあいだに現実的な計算をして止まってしまいます。ここを応募後の連絡でどう埋めるかが、農業法人の採用の分かれ目になります。

遠方応募が当日キャンセルになる理由は「移動」だけではない

遠方からの面接は、交通費も一日仕事の時間もかかります。ですから移動の負担が原因に見えますが、辞退理由を聞いていくと、もう少し手前で止まっていることが多いようです。

ひとつは、住まいの見通しが立たないこと。社宅や空き家の紹介があるのか、自分で探すのか、家賃はいくらか。ここが白紙のまま面接に行っても決められない、と考える方がいます。

もうひとつは、年間の収入イメージです。繁忙期と閑散期で仕事量が変わる作業では、月給の提示だけでは年間でいくらになるのかが読めません。冬季の仕事があるのか、加工や出荷、施設管理などに回るのか。家族に説明できる材料がないと、応募者は前に進みにくくなります。

そして、未経験でも続けられるのかという不安。体力面、天候に左右される働き方、地域での暮らし。これらは面接で聞けばいいと思われがちですが、面接まで一週間空くあいだに不安が育ち、そのまま連絡が途絶えることがあります。無断キャンセルの背景については面接の無断キャンセルはなぜ起きるのか。前日までにできる予防策もあわせてご覧ください。

初回連絡で確認する項目と、先に伝える項目

遠方応募への初回連絡は、聞く項目と伝える項目をセットで用意しておくと短時間で済みます。電話がつながらないときはSMSやメールで同じ内容を届けられるよう、文面にしておくと安心です。

聞くこと先に伝えること
現在お住まいの地域と、移住の希望時期通勤圏の目安と、社宅・借上げ・空き家紹介の有無
家族と一緒に移られるか、単身か家賃の目安と、住まい探しをどこまで手伝えるか
農作業や屋外作業の経験の有無未経験者の入り方と、最初の数ヶ月の仕事内容
いつから働けるか(現職の退職時期)繁忙期・閑散期の勤務時間の実際
運転免許・車の保有冬季の仕事の有無と、年間の収入イメージ

年間収入は、たとえば「繁忙期は残業が増え、冬は日中の作業が減る」といった形で、仮の数字を添えて幅で伝えるほうが親切です。良く見せようとして上限だけを示すと、入社後のずれが辞退や早期離職につながります。求人票と説明の食い違いは信頼を損ねやすいので、求人票と面接での説明がずれると、辞退されるの観点も確認しておくとよいと思います。

オンライン面談を先に置き、現地見学は二回目にする

遠方の方にいきなり現地へ来てもらう設計は、双方にとって負担が大きくなります。応募から一週間以内に30分ほどのオンライン面談を置き、そこで互いの条件を確認してから、現地見学と面接を兼ねた二回目を組む。この二段構えにすると、当日キャンセルの多くは一回目の段階で「条件が合わない」という形で早めに判明します。

一回目(オンライン・30分程度)で扱うのは、住まい・収入・勤務時間・移住時期の四点です。ここで合わないと分かれば、お互いに時間を使わずに済みます。二回目(現地・半日)では、圃場や施設を実際に見てもらい、一緒に働く社員と短く話す時間をつくります。可能であれば、地域の住環境——スーパーや学校、通勤路——も車で回れると、家族への説明材料になります。

二回目の日程は、応募者が移動しやすい週末や連休に寄せることが多くなります。現地見学を受け入れる曜日をあらかじめ決めておくと、調整が早くなります。オンラインと対面の使い分けは一次面接をオンラインにすべき候補者、対面がいい候補者でも整理しています。

繁忙期、電話に出られない時間帯をどう受けるか

収穫期や定植期は、日中ずっと圃場にいます。応募者からの電話に出られず、折り返しが夜になり、そのころには相手が別の法人と話を進めている。この時間のすれ違いが、遠方応募ほど響きます。応募先を比較検討している方は、返事の早い会社から順に見に行くためです。

現実的な受け方は三つあります。ひとつ目は、折り返せる時間帯を先に伝えること。「日中は圃場に出ているため、平日17時以降か、お昼の12時台に折り返します」と自動返信や初回SMSに書いておくだけで、着信を待つ側の不安は減ります。

二つ目は、圃場に出ない担当を一人決めること。事務担当や役員のどなたかが、初回連絡と日程調整だけを引き受ける形です。面接の中身は代表が担い、その前の連絡は別の人が動かす。現場に出ながら応募対応を止めない考え方は建設業の応募対応。社長が現場に出ていても止めない仕組みづくりと共通します。

三つ目は、見学日を先に押さえておくこと。「毎月第二・第四土曜の午前を見学枠にしています」と決めておけば、応募が来たその日に候補日を提示できます。

移住を伴う採用は、決まったあとも連絡が続く

遠方採用は、内定から入社までの期間が長くなりがちです。住まいを決め、引っ越し、場合によっては家族の転校や転職も絡みます。この空白期間に連絡が途切れると、せっかく決まった話が白紙に戻ることがあります。住まい探しの進み具合を月に一度確認する、入社前に必要な手続きを一覧で渡す、といった地味な連絡が効いてきます。

ただ、こうした一連の連絡を、繁忙期の現場と並行して続けるのは簡単ではありません。社外採用部は、応募の受付から初回連絡、オンライン面談と現地見学の日程調整、面接前後のフォロー、内定から入社までの連絡までを、採用事務局として社外から担うサービスです。求人の出し方そのものではなく、届いた応募を入社まで運ぶ部分を引き受けます。料金は月額49,800円からと初回設計費100,000円、以降は支援内容・工数に合わせて個別にお見積りします。繁忙期だけ手を厚くするような使い方もできます。

「応募は来ているのに、面接まで進まない」という状態が続いているなら、まずは現状の流れをお聞かせください。ご相談はこちらからどうぞ。