自治体の就職フェアやハローワークの合同就職面接会に、声をかけられて出展を決めた。当日はパンフレットとのぼりを用意して、社長と総務の方が座る。そこまでは決まっているけれど、ブースに座った人に何を話せばいいのか、名前をどう聞けばいいのか、その場で面接の話をしてよいのか——そこは決めないまま当日を迎える会社が少なくありません。

合同説明会は、普段の求人媒体と違って「会ってから応募になる」逆の順番です。せっかく話した人の名前も連絡先も残らなければ、翌日から何もできません。出展前に決めておくことと、当日の線引き、そして帰社後の動きを、時系列で整理します。

出展を決めたら、当日より先に決める4つのこと

当日の立ち回りがうまくいくかどうかは、ブースの装飾よりも事前に決めた4点で決まりやすいものです。

1. 連絡先をどう受け取るか 来場者カードが主催者から配られる形式か、各社が独自に用紙を用意するのかは、イベントによって異なります。事前に主催者へ確認し、独自の用紙を置くなら、氏名・電話番号・メールアドレス・連絡がつきやすい時間帯・現在の状況(在職中/離職中/在学中)の5項目程度に絞ったものを印刷しておきます。項目が多い用紙は、立ったまま書く場に向きません。

2. 面接可能な日時をいくつ空けておくか 当日ブースで面接日の話が出たときに、その場で候補日を出せるかどうかは、事前に枠を押さえてあるかどうかで決まります。イベント翌週の面接枠を、あらかじめ2〜3コマ仮押さえしておくと動きやすくなります。枠の押さえ方は面接枠が取れない。現場が忙しい会社の面接枠の作り方で詳しく整理しています。

3. 後追い連絡の担当を誰にするか 当日ブースに立つ人と、翌営業日から連絡を入れる人は、同じでなくて構いません。むしろ社長がブースに立つ会社ほど、翌日からの連絡は別の人が担当したほうが止まりにくくなります。

4. 受け取った個人情報の扱い 来場者カードは個人情報です。誰が保管し、どこに記録を移し、いつ破棄するかを先に決めておきます。社外へ共有する場合の考え方は応募者の個人情報、どこまで社外に出していいのかにまとめています。

ブースで何を聞くか。3分で押さえる4項目

来場者は限られた時間で複数のブースを回ります。長く話し込むより、短く聞いて短く答えるほうが印象に残りやすい場面です。会社説明を一方的に続けるのではなく、相手の状況を4つだけ聞いておくと、後追い連絡の質が変わります。

聞くこと聞き方の例後で何に使うか
いつ頃から働けるか「お仕事を始められるのは、いつ頃をお考えですか」連絡の優先順位づけ
どんな働き方を探しているか「正社員とパート、どちらで探されていますか」案内する職種の絞り込み
今日は何社くらい回る予定か「今日は他にも何社か回られますか」競合状況と連絡の速さの判断
連絡しやすい時間帯「お電話は、何時頃がご都合よいですか」初回連絡でつながる確率

この4つを聞いたら、用紙に自社の担当者がメモを書き添えます。「◯月から/正社員希望/夕方以降なら電話可」といった一行で十分です。この一行があるかないかで、3日後の連絡の中身がまったく変わります。

なお、話の流れで家族構成や出身地などに踏み込まないよう、ブースに立つ人には事前に共有しておいてください。立ち話であっても、聞いてよいこと・避けることは面接と同じです。

その場で面接日を提示してよいか

結論から言えば、提示して構いません。むしろ、その場で次の接点が決まらないまま別れると、相手は他社のブースを回るうちに自社のことを忘れていきます。

ただし、提示の仕方には順番があります。

まず、相手が「応募したい」と明確に言っている場合は、仮押さえしてある枠から2〜3日程を口頭で伝え、用紙に丸を付けてもらいます。「来週の火曜14時、木曜10時、金曜16時が空いています。ご都合いかがですか」という聞き方です。その場で決まったら、確定の案内を後日メールで送る旨も伝えます。

次に、迷っている様子の場合は、面接ではなく職場見学や説明の場を提案するほうが進みやすいことが多いものです。「よろしければ、一度現場をご覧いただくこともできます」と伝え、こちらも日程候補を2つほど出します。

最後に、「今日は情報収集だけ」という方には、日程を押さえず、連絡してよいかの確認だけを取ります。「後日、求人の詳しいご案内をお送りしてもよろしいですか」と一言もらっておけば、翌週の連絡が唐突になりません。

いずれの場合も、候補日は3つ以内に絞り、直近の日を含めるのが基本です。日程を電話で詰めるときの会話の型は電話で面接日程を決める。最初の3分の会話台本が参考になります。

当日は採否を判断しない、と決めておく

合同説明会で起きやすいのが、ブースでの印象だけで「この人は良さそうだ」「うちには合わない」と心の中で決めてしまうことです。そして合わないと感じた人には、後日の連絡を出さない。これが取りこぼしの原因になります。

立ち話の数分間でわかることは限られています。緊張して言葉少なだった方が、落ち着いた場では的確に話せることもあります。逆に、その場で盛り上がったからといって、条件が合うとは限りません。

そこで、出展前に社内で一つだけ決めておきます。当日は採否を判断しない。名前と連絡先をいただいた方には、全員に後追い連絡を入れる。 判断は、面接の場で行う。この線引きがあると、ブースに立つ人は「見極めなきゃ」と構えずに済み、会話が自然になります。

また、ブースに複数人で立つ場合、担当者によって説明する給与やシフトの中身が食い違うと、後の不信につながります。よく聞かれる質問への答えは、A4一枚にまとめて当日全員が持っておくとずれにくくなります。

帰社後、3日以内に連絡する

イベント当日は会場で何十社も見ています。記憶が残っているうちに連絡を入れないと、「どこの会社だったか」が思い出せなくなります。目安は、翌営業日から3日以内です。

連絡の順番は、ブースで面接日まで決まった方、見学を希望した方、情報収集だけの方、という順に。全員に同じ文面を送るのではなく、当日のメモの一行を必ず入れてください。

件名:◯月◯日の就職フェアでお話しした、株式会社△△です

□□様

先日の◯◯就職フェアでは、弊社ブースにお立ち寄りいただき
ありがとうございました。総務の◇◇です。

「来年の春から正社員で」とおっしゃっていたのが印象に残っております。
当日お話しした製造スタッフの募集について、
勤務時間と給与の詳細をあらためてお送りします。

(求人内容・勤務時間・給与の記載)

ご不明な点があれば、このメールにご返信いただくか、
下記までお電話ください。平日◯時〜◯時なら私が対応いたします。

一度職場をご覧いただくことも可能です。
ご希望でしたら、◯月◯日(火)、◯月◯日(木)あたりで
ご案内できます。

電話がつながらない方には、同じ趣旨をSMSで短く送っておきます。そして、連絡した日付と結果を一覧に残します。残す項目は多くなくて構いません。考え方は応募者の記録は何を残せばいいのか。最低限の6項目に整理しています。

なお、合同説明会そのものは自治体やハローワークの無料支援として実施されることが多く、出展費用がかからない場合もあります。無料で使える範囲についてはハローワークや自治体の無料支援で、どこまでできるのかもあわせてご覧ください。


合同説明会でいただいた名前と連絡先は、求人媒体に費用をかけずに得た貴重な接点です。ただ、イベントの翌週は通常業務も止まりません。帰社後3日以内に全員へ連絡を入れ、面接の日程まで詰め切る。この部分に人手が足りないと感じたら、採用の実務を社外に置く方法もあります。

社外採用部は、母集団形成から応募の受付・初回連絡・日程調整・面接前後のフォロー、内定や入社のフォローまでを、御社の採用事務局として担います(面接そのものと採否の判断は御社にお願いしています)。月額49,800円〜、初回設計費100,000円から、支援内容に合わせて個別にお見積りします。出展を控えている、あるいは当日いただいた連絡先が手つかずのままという方は、こちらからご相談ください。