「応募は来るんですが、質が低くて」。採用のご相談をいただくとき、かなりの頻度で出てくる言葉です。求人媒体の担当者にも同じことを伝えていて、「では媒体を変えましょう」「原稿を書き直しましょう」という話になっている、というケースも少なくありません。

ただ、この「質が低い」という言葉は、実はかなり曖昧です。何をもって質が低いと判断したのか、掘り下げて伺っていくと、社長ご自身も明確には答えられないことがあります。判断の根拠が「履歴書を見た印象」だけ、ということも珍しくありません。応募者を責める前に、自社側で確認できることが3つあります。

「質が低い」という感覚は、3つの別問題が混ざっている

まず、この感覚を分解してみます。よく聞く話を整理すると、たいていは次の3つのどれか、あるいは複数が混ざっています。

ひとつ目は、そもそも来てほしい人に向けた書き方になっていないという、求人要件と原稿の問題。ふたつ目は、応募後に確認すべき情報を聞けていないため、判断材料が足りないまま質を語っているという問題。3つ目は、面接での見極め基準が言語化されていないため、良し悪しの判断が面接官の印象に左右されているという問題です。

この3つは、打ち手がまったく違います。ひとつ目なら原稿と要件の見直し、ふたつ目なら応募後の連絡の中身、3つ目なら選考の設計です。どれが起きているか分からないまま媒体を変えても、同じ感想を繰り返すことになりがちです。

1. 要件を並べすぎて、誰にも刺さっていないか

求人票を拝見すると、必須条件が7つも8つも並んでいることがあります。経験年数、資格、年齢層、勤務可能日、通勤圏内、普通免許、パソコン操作。すべてを満たす人は、その地域にほとんど存在しないかもしれません。

条件を厳しく書くこと自体は間違いではありませんが、母集団が限られる中小企業では、必須条件が増えるほど「該当しないが意欲はある人」が応募を諦めます。結果として、条件を読まずに応募してくる層だけが残り、「質が低い」という印象になる。この構造はよく起こります。

逆に多いのが、抽象的な言葉だけの原稿です。「明るい方」「意欲のある方」「アットホームな職場」。これらは誰にも刺さりません。何をする仕事なのか、1日がどう流れるのか、どこが大変でどこが面白いのかを具体的に書いたほうが、内容を理解したうえでの応募が増えやすくなります。

要件の整理については、求める人物像は3つに絞る。条件を並べすぎると決められないで手順を解説しています。必須を3つ以内に抑える考え方から着手すると、原稿も面接も揃ってきます。

2. 会ってみないと分からない情報を、先に聞いているか

「書類だけでは判断できない」とおっしゃる会社ほど、応募後の初回連絡で何も聞いていないことがあります。電話がつながっても、名乗って面接日程を決めて終わり。これでは、面接当日まで候補者の情報が履歴書の範囲から増えません。

初回連絡は、日程を決めるためだけの時間ではありません。数分の会話で、書類からは読み取れない情報がかなり取れます。聞く項目を決めておくと、面接に進めるべきかの判断も速くなります。

確認したいこと聞き方の例分かること
入社可能時期「今はお仕事をされていますか。お入りいただけるのはいつ頃のイメージでしょうか」在職中か離職中か、選考スピードの合わせ方
応募のきっかけ「今回、どのあたりを見て応募いただきましたか」求人票のどこに反応したか、志望度の温度
経験の中身「前職ではどんな現場を担当されていましたか」経歴の行間、自社の仕事との重なり
勤務条件の前提「通勤手段と、ご希望の勤務時間を確認させてください」入社後にすれ違う条件の早期発見
検討状況「他にも何社かご覧になっていますか」意思決定までに残された時間

すべてを尋問のように聞く必要はありません。日程を決める流れの中で自然に混ぜれば、2〜3分で済みます。ここで得た情報を面接官に渡しておけば、面接の中身も変わります。

在職中の候補者が多い職種では、入社可能時期の確認が特に効きます。たとえば建設業の中途応募。前職の状況をいつ聞くかでは、現場の区切りまで動けない候補者をどうつなぐかを整理しています。

3. 書類だけで落としている会社ほど、良い人を逃している

3つ目が、見極めの問題です。

履歴書の字が乱れている、職務経歴が数行しかない、志望動機が空欄。これらを理由に書類で落としている会社は多いのですが、現場職や技能職では、書類作成に慣れていない方のほうが多数派です。長く現場で働いてきた方ほど、自分の経験を文章にする機会がありません。書類の見栄えと仕事の力量は、別の指標だと考えたほうが安全です。

仮の数字で考えてみます。月に応募が20件あり、そのうち15件を書類で見送り、5件を面接に呼んでいるとします。この15件の中に、会って話せば有力だった方が2人いたとしても、会社側はその事実を永遠に知りません。そして残った5件を見て「質が低い」と判断してしまう。母集団が限られる中小企業ほど、この取りこぼしは重くなります。

もちろん、全員と会うことはできません。だからこそ、見送りの基準を紙に書いておくことが必要です。資格や免許のように後から取得できない必須条件で切るのか、書類の印象で切るのか。この線引きを言葉にすると、「印象で落としていた」ことに気づく会社は多いものです。基準の作り方は書類選考で落とす基準を決めておくと、対応が速くなるで手順をまとめています。

まず、判断の根拠を記録に残すところから

3つを一度に直す必要はありません。最初にやっていただきたいのは、見送った応募者について「なぜ見送ったか」を一行書き残すことです。

一ヶ月分たまると、傾向が見えてきます。「経験不足」が並ぶなら要件と原稿の問題、「連絡がつかなかった」が並ぶなら応募後対応の問題、「なんとなく合わない」が並ぶなら見極め基準が定まっていない可能性が高い。ここまで来て初めて、質の話が具体的な打ち手に変わります。

とはいえ、初回連絡で数分の会話をして情報を取り、記録を残し、面接官に渡す。この一連の作業を、本業と兼務しながら毎回続けるのは簡単ではありません。私たち社外採用部は、応募の受付から初回連絡、日程調整、面接前後のフォロー、内定・入社後のフォローまでを、貴社の採用事務局として代行しています。初回連絡で何を聞くかの設計から一緒に組み立て、聞き取った内容は記録として貴社に残ります。料金は初回設計費100,000円、月額49,800円からで、以降は支援内容・工数に合わせて個別にお見積りします。

「応募の質が低い」と感じたまま広告費を足す前に、いま来ている応募の見え方を変えられないか。一度ご相談ください。お問い合わせはこちらから承っています。