「日中は電話に出られないから、まず電話代行を入れてみようか」。応募対応が回らなくなった会社で、最初に検討されることの多い選択肢です。月数千円から使えるサービスもあり、費用のハードルも低い。実際に導入して「取り逃しの電話が減った」という手応えを得る会社もあります。

一方で、導入したのに面接設定数が変わらないという相談もいただきます。電話代行やコールセンターが良くないという話ではありません。得意なことが「受ける」ことに設計されていて、候補者を面接まで「追いかける」動きは元々の業務範囲に含まれていない、というだけのことです。この違いを工程ごとに分けて見ていきます。

「受ける」と「追いかける」は別の仕事

応募対応を分解すると、性質の異なる2つの動きが混ざっています。

ひとつは受動的な動き。応募者からかかってきた電話に出る、名前と用件を聞く、伝言を残す。相手が接触してきたことに応じる仕事です。電話代行はここを専門にしています。オペレーターは自社名で電話に出て、決められたスクリプトに沿って情報を聞き取り、担当者へ伝えます。

もうひとつは能動的な動き。応募が届いたら会社側から電話をかける、つながらなければSMSを送る、それでも反応がなければ時間帯を変えてもう一度かける。候補日を提示して返事を待ち、返ってこなければ追いかける。面接前日にリマインドを送る。相手が動かないときに、こちらから動き続ける仕事です。

採用の歩留まりを決めるのは、どちらかというと後者です。応募者は複数社に同時に応募しているのが普通で、先に話が進んだところで決まっていきます。詳しくは応募後1時間以内の初回連絡が、採用の歩留まりを変える理由でも触れていますが、待つ体制をいくら整えても、追いかける動きが空いたままだと面接数は伸びにくいのです。

工程別に、任せられる範囲を切り分ける

具体的にどこまで任せられるのかを、応募から面接までの工程で並べてみます。サービスによって内容は異なりますので、一般的な傾向としてご覧ください。

工程電話代行・コールセンター採用事務局(社外採用部)
応募者からの着信対応得意。営業時間外や不在時も一次受付できる対応可
媒体経由の応募の受付電話以外は範囲外のことが多いメール・媒体管理画面も含めて受付
会社側からの初回連絡(発信)オプション扱い、または範囲外中心業務
つながらない相手への二の手(SMS・時間帯変更)想定されていないことが多い連絡手段を切り替えて追う
面接日程の調整候補日の伝達までは可。社内の枠確保は自社候補日提示から確定まで
面接前日のリマインド範囲外対応
面接後・内定後のフォロー範囲外対応

電話代行を入れると、表の上2行が埋まります。これは確かに価値があります。応募者からの折り返しを取り逃さなくなり、社内の誰が出ても対応が揺れる問題も減ります(社内で受ける場合の整え方は誰が電話に出ても同じ対応にする。応募者からの着信の受け方にまとめました)。

ただし表の下半分は、そのまま自社に残ります。伝言メモが増えた分だけ、折り返し先のリストが手元に積み上がるという状態にもなりえます。「電話代行を入れたのに忙しさが変わらない」と感じる背景はここにあることが多いです。

料金体系の見方——コール単価か、工程まるごとか

費用の構造も、両者では前提が違います。

電話代行は「1コールいくら」「月◯コールまで定額、超過分は従量」という形が一般的です。単価の基準は受電件数。つまり、かかってきた電話の本数に比例します。安く見えるのは、受ける工程だけを切り出しているからです。発信を依頼するとオプション料金になったり、そもそも受けてもらえなかったりします。

見積もりを取るときは、次の点を必ず確認してください。

採用事務局型は、工程まるごとを引き受ける前提なので月額の形になります。社外採用部の場合は初回設計費100,000円、月額49,800円〜、以降は支援内容・工数に合わせて個別にお見積りするという構造です。初回設計費がかかるのは、連絡文面や候補日の出し方、判断が必要な場面の線引きを最初に決めておく必要があるからです。ここを設計せずに発信だけ代行しても、候補者からの質問に答えられず社内に差し戻すことになります。

どちらが安いかは、目的次第で逆転します。受電の取り逃しだけを防ぎたいなら電話代行のほうが割安です。面接設定数を増やしたいなら、受電単価の安さは判断材料になりません。比較の考え方は応募対応を外注して、元が取れたかをどう判断するかもあわせてご覧ください。

目的で選び分ける——受電処理か、歩留まり改善か

判断の順番は、自社の詰まりがどこにあるかを見てからです。

まず、応募のうち何割が面接まで進んでいるかを確認してください。仮の数字で言えば、月に応募が20件届いて面接が4件しか組めていないなら、詰まっているのは受電ではありません。20件のうち会社から連絡できたのが何件で、そのうち何件がつながったか。この内訳を見ると、必要な手当てがはっきりします。測り方は面接設定率という指標。応募からの歩留まりを測る第一歩で解説しています。

そのうえで、おおよそ次のように整理できます。

電話代行が向いている状況 応募者からの折り返しや問い合わせの着信が多いが、日中は電話に出られない。発信や日程調整は社内でできている。採用以外の一般電話もまとめて受けてほしい。

採用事務局が向いている状況 応募は届いているのに面接まで進まない。初回連絡が翌日以降になりがち。つながらない応募者をそのまま放置してしまう。日程調整の途中で返信が途絶える。

両方を併用する会社もあります。一般電話の一次受付は電話代行、採用の応募対応は事務局、という分け方です。どちらかを選ばなければいけないものではありません。

大事なのは、「電話に出られていない」という症状と、「候補者を追いかけられていない」という症状を混ぜないことです。前者に効く道具で後者を治そうとすると、費用をかけたのに結果が動かない、という結末になりやすいのです。

判断に迷ったら、工程を書き出してから比べる

見積もりを並べる前に、自社の応募対応を工程で書き出してみてください。応募受付、初回連絡、二の手、日程調整、前日リマインド、面接後フォロー、内定後フォロー。それぞれ「誰が」「何分かかっているか」を埋めていくと、外に出したい工程が見えてきます。書き出し方は採用担当の業務を全部書き出してみる。内製と外注の分け方にワークの手順を載せました。

この一覧を持って各社に相談すれば、「この工程は範囲内ですか」と具体的に聞けます。逆にこれがないまま比較すると、月額の安さだけで決めてしまい、残った工程が社内にのしかかることになりがちです。

社外採用部は、応募が届いたあとの受付・初回連絡・日程調整・面接前後のフォロー・内定と入社のフォローを引き受ける採用事務局です。求人・媒体・スカウトなど母集団形成の運用も含め、面接以外の採用実務をお引き受けします。面接そのものと採否の判断は貴社が行います。電話代行とは、応募の受付という点で重なる部分と、役割が異なる部分があります。サービス責任者の佐々木純平が、御社の応募件数と現在の対応の流れをうかがったうえで、そもそも外注が必要な状態かどうかからお話しします。工程の切り分けを一緒に整理したい方は、こちらからご相談ください。