「求人はもうネットだけでいい」と言われる一方で、地元の折込チラシや無料の求人紙を見て電話をかけてくる方が、いまも一定数いらっしゃいます。社内では「紙はもう古い」という声と「前はチラシで採れた」という声が並び、判断がつかないまま毎年ネット媒体に出し続けている。そんな会社は少なくありません。
紙の募集手段が効くかどうかは、「まだ使えるか」という一般論では決まりません。自社が採りたい人がどこで情報を見ているか、そして反応が来たときに受け止められる体制があるか。この2点で決まります。ここでは、折込チラシ・地域フリーペーパー・店頭の貼り紙といった紙の募集について、どんな条件なら今も働くのかを整理します。
紙がまだ届いている層はどこか
紙の求人が届きやすいのは、求人サイトで「職種 + 地名」と検索する習慣がない層です。具体的には、次のような方が想定されます。
- 新聞を購読している世帯のシニア層。定年後に短時間だけ働きたいという方
- 日中に自宅にいる時間が長い主婦・主夫層。近所のスーパーや薬局に置かれたフリーペーパーを手に取る
- スマートフォンは使うが、求人を「探しに行く」行動はしていない層。たまたま目に入ったものに反応する
- 店の前を通りかかる人。貼り紙は、その店をすでに知っている人に届く点が特徴です
共通しているのは、積極的に仕事を探しているわけではないが、条件が合えば働いてもいいと思っている層だという点です。求人サイトには、今まさに探している人が集まります。紙は、探していない人の目に偶然入る媒体です。どちらが優れているかではなく、届く相手が違います。
清掃、調理補助、軽作業、送迎、店舗の早朝・夕方の時間帯など、勤務地が近いことが応募の決め手になる仕事では、紙の出番は残りやすいと言えます。逆に、専門資格や経験が必要で、候補者が広域から来る職種では、紙だけで母集団をつくるのは難しくなります。
ネット媒体と並べて比べる
同じ「求人を出す」でも、紙とネットでは実務の進み方がかなり違います。仮に地域の折込チラシ・フリーペーパーと、一般的な求人サイトを並べると、次のような違いがあります。
| 項目 | 折込・フリーペーパー・貼り紙 | ネットの求人媒体 |
|---|---|---|
| 届く相手 | 配布エリア内の世帯・通行人。探していない人にも届く | 検索・閲覧した人。今探している人に届く |
| 主な反応手段 | 電話が中心。紙を手に持ったまま掛けてくる | フォーム送信・メール。深夜や休日も届く |
| 反応の時間帯 | 配布日とその翌日に集中しやすい | 掲載期間中に分散する。夜間・週末も入る |
| 掲載までの時間 | 入稿締切があり、数日〜1週間以上前倒しが必要 | 原稿が整えば比較的早く出せる |
| 掲載中の修正 | 出したあとは直せない | 文面・条件の修正や差し替えがしやすい |
| 効果の記録 | どこを見て応募したか本人に聞かないと分からない | 媒体ごとの応募数が管理画面に残る |
| 費用の形 | 配布部数・サイズで決まる。応募ゼロでも同額 | プランや期間で決まる。同じく応募ゼロでも同額 |
表で見ると分かりやすいのは、**紙は「出したあとに直せない」「記録が自動で残らない」**という2点です。この性質が、後述する効果測定と受け皿づくりの話に直結します。
媒体そのものの選び方に迷っている段階であれば、求人媒体はどう選ぶか。職種と地域で絞る順番もあわせてご覧ください。
効果が測れないまま続けないための最小限
紙の募集でいちばん困るのは、効いているのかどうかが分からないまま、毎年なんとなく出し続けてしまうことです。管理画面のない媒体では、記録は人の手で残すしかありません。とはいえ、込み入った仕組みは続きません。最低限、次の3つを残せば判断はできます。
- 「どちらで求人をご覧になりましたか」を初回の会話で聞く。電話を受けた人が必ず聞く項目として決めておきます
- 応募日を記録する。配布日から何日目に反応が来たかが分かると、次回の出稿タイミングの参考になります
- 面接まで進んだ件数を媒体ごとに分ける。応募数だけでは比べられません
3つ目が特に大切です。紙の募集は、求人の内容を深く読み込まずに「近いから」という理由で電話がかかってくることもあり、条件が合わない問い合わせが混ざりやすい傾向があります。応募件数だけを見て「チラシのほうが多い」と判断すると、実態を見誤ることがあります。応募単価ではなく面接単価で見る考え方は、求人広告費を回収できているか。掲載1回ごとに確認する3つの数字で整理しています。
出すなら、受け皿を「電話前提」に組み替える
紙の求人を出して最ももったいないのは、反応はあったのに取りこぼすことです。紙の反応は電話に集中します。しかも、相手は紙を手に持っていて、思い立ったその場で掛けてきます。つながらなければ、そのまま忘れられてしまうことが多いものです。
出稿前に、次の点を決めておくことをおすすめします。
- 掲載する電話番号を、確実に人が出る番号にする。代表番号にするなら、取り次ぎ先の不在時にどう受けるかまで決めておきます
- 誰が出ても同じ対応になるようにする。求人の内容を知らない社員が受けて「担当がいないので」で終わると、そこで切れます。受け方の型は誰が電話に出ても同じ対応にする。応募者からの着信の受け方にまとめています
- 配布日の前後に、電話を取れる人を厚くする。反応は配布日とその翌日に集中しやすいためです
- 面接枠を先に押さえておく。電話口でそのまま面接日まで決められると、取りこぼしが減ります
- ゆっくり、短く話す。シニア層からの電話では、住所や日時を一度で伝えきろうとせず、復唱して確認する進め方のほうが行き違いが起きにくくなります
- 折り返しやすい時間帯を伝える。留守番電話に切り替わる場合も、こちらから掛け直す時間を具体的に言い残します
掲載原稿にも工夫の余地があります。紙は出したあとに直せないので、「お電話は◯時〜◯時に受け付けています」「担当者不在のときは折り返します」と先に書いておくだけで、つながらなかったときの落胆が和らぎます。
「紙かネットか」ではなく、どの層に何で届けるか
紙の募集は、ネット媒体の代わりにはなりません。逆も同じです。近隣に住む、探していない層に偶然届けるのが紙。今探している層に、検索されて見つかるのがネット。役割が違う以上、どちらかに寄せる必要はありません。
判断の順番としては、まず採りたい人物像と勤務地の条件を決め、その層がどこで情報に触れているかを考える。そのうえで、紙を使うなら電話の受け皿を先に整える。この順番を守れば、紙に出すこと自体が無駄になることは少ないはずです。広告以外の選択肢も含めて検討したい場合は、広告を出す以外に、応募を増やす打ち手は何があるかもご参考ください。
そして、どの媒体から来た応募であっても、面接につながるかどうかを分けるのは、応募があったあとの連絡の速さと丁寧さです。紙の反応が電話に集中するぶん、この部分の負荷は社内にそのまま乗ります。
社外採用部は、求人・媒体運用などの母集団形成から、応募の受付・初回連絡・日程調整・面接前後のフォロー、内定や入社後のフォローまでを、採用事務局として社外から担うサービスです。面接そのものと採否の判断は御社に残したまま、それ以外の実務をお任せいただけます。料金は月額49,800円〜(初回設計費100,000円、以降は支援内容に応じて個別お見積り)。紙とネットを併用して応募の入口を増やしたいが、受け皿が追いつかないという段階でしたら、お問い合わせから現状をお聞かせください。
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