「求人広告は代理店さんにお願いしているので、採用まわりは任せているつもりです」。中小企業の経営者の方から、よくこうしたお話をうかがいます。原稿も作ってもらい、媒体の選び方も相談に乗ってもらい、掲載のたびに担当者が数字を持って報告に来てくれる。たしかに任せている実感があります。それなのに、期末になっても採用人数は埋まっていない。応募自体は来ているのに、です。
このとき起きているのは、代理店の仕事の質の問題ではないことがほとんどです。代理店が請け負っている範囲と、経営者が「任せた」と感じている範囲がずれている。その差分に落ちた業務が、誰にも拾われないまま残っている。今回はこの構造を整理してみます。
代理店の業務範囲は、応募が届いた時点で一区切りになる
求人広告の代理店が担っているのは、大きく分けて媒体の提案、原稿の作成、掲載手続き、掲載中の効果測定と改善提案、そして掲載後のレポーティングです。ここに専門性があり、応募を集めるという一点においては自社でやるより明らかに成果が出ます。
一方で、応募が届いたあとに発生する業務は、契約の中に入っていないのが通常です。応募者への初回連絡、電話がつながらないときの追い方、面接日程の調整、面接前のリマインド、面接後のフォロー、内定連絡と入社までの伴走。これらは基本的に自社の仕事として残ります。
つまり、採用というプロセスを一本の線として見たとき、代理店が伴走してくれるのは前半だけです。後半は、社長や総務担当が本業の合間に処理している。ここが見落とされやすい理由は単純で、代理店との打ち合わせでは「応募が何件来たか」までは丁寧に共有されるものの、その応募が面接まで進んだかどうかは議題になりにくいからです。
| 工程 | 主な担い手 |
|---|---|
| 媒体選定・原稿作成・掲載 | 求人広告代理店 |
| 掲載中の効果測定・改善提案 | 求人広告代理店 |
| 応募受付・初回連絡 | 自社 |
| 電話がつながらないときの再連絡 | 自社 |
| 面接日程の調整・リマインド | 自社 |
| 面接後フォロー・内定連絡・入社準備 | 自社 |
改めて並べてみると、工程数としては後半のほうが多いことがわかります。しかも後半は、専任者がいない会社ほど「手が空いた人がやる」状態になりやすい領域です。
「応募は来ている」というレポートで安心してしまう
代理店からのレポートは、応募件数、閲覧数、原稿の改善余地といった応募前の指標が中心になります。これは代理店の責任範囲を考えれば当然のことで、彼らに応募後の数字を求めるのは筋が違います。
ただ、この報告だけを見ていると、応募は集まっているのだから採用できないのは候補者の質の問題だ、という結論に向かいがちです。そして次の一手は「媒体を変える」「掲載を増やす」になります。
ここで一度確認していただきたいのが、応募後の数字です。応募のうち何件が面接まで進んだか。初回連絡までに何時間かかっていたか。この二つを見ると、原稿の問題なのか対応の問題なのかが切り分けられます。面接設定率という指標。応募からの歩留まりを測る第一歩で計算方法を整理していますので、あわせてご覧ください。媒体を変える前の判断材料としては、求人媒体を変える前に確認したい、応募後対応の数字も参考になるはずです。
仮の数字で考えてみます。掲載費30万円で応募が20件集まったとして、そのうち面接まで進んだのが4件だった場合、面接1件あたりのコストは7万5千円です。もし同じ20件から10件が面接に進んでいれば、3万円になります。原稿も媒体も何ひとつ変えずに、応募後の対応だけで単価が倍以上変わる計算です。これはあくまで説明のための仮の数字ですが、応募後の工程が費用対効果に直結していることは伝わるかと思います。
応募後が自社に残ると、なぜ取りこぼしが起きるのか
応募後の業務が自社に残ること自体は、悪いことではありません。問題は、その業務が「専任のない誰かの兼務」として置かれているときに起きます。
中小企業でよく見られるのは、応募通知のメールが社長個人のアドレスにだけ届いていて、社長が現場や商談に出ている間は誰も気づけない、という状態です。夕方に戻ってきて通知を見つけ、その日の夜か翌朝に電話をかける。けれど求職者はすでに他社と面接日を決めている。応募から連絡までの数時間が、そのまま結果を分けています。この時間感覚については応募後1時間以内の初回連絡が、採用の歩留まりを変える理由で詳しく扱っています。
もうひとつ多いのが、初回連絡はできたけれど日程調整で止まるパターンです。「ご都合のよい日を教えてください」と投げたまま返信が来ない。こちらから追いかけるべきか迷っているうちに一週間が経つ。日程調整は一往復ごとに離脱リスクが積み上がる工程で、ここを軽く見ると応募が静かに消えていきます。
代理店にお願いしているのは応募を「連れてくる」ところまでです。その先を誰がどう受け止めるかは、会社ごとに設計するしかありません。
応募前と応募後で、担い手を分けて考える
ここまで整理すると、取るべき方向は見えてきます。代理店を変えることでも、掲載をやめることでもありません。応募前と応募後で、それぞれに向いた担い手を置くという発想です。
応募前は、媒体知識と原稿作成のノウハウが要ります。ここは代理店の得意分野なので、そのまま継続していただいて構いません。応募後に必要なのは、専門知識よりもむしろ、決められた手順を決められた速さで実行し続ける体制です。応募通知に誰かが必ず気づくこと、電話がつながらなければ次の手段に切り替えること、日程が決まらないまま放置しないこと。派手さはありませんが、これが揃っているかどうかで結果は変わります。
体制のつくり方は会社によって異なります。総務担当に応募対応の手順を明文化して任せる方法もあれば、社長は面接だけに集中して事務工程を切り出す方法もあります(社長が採用面接だけに集中すると、採用は強くなる)。まずは自社の業務を書き出して、どこまでを内製するか線を引くところからです。採用担当の業務を全部書き出してみる。内製と外注の分け方が、その作業の手引きになります。
社外採用部は、この後半部分も含め、面接以外の採用実務を引き受けるサービスです。応募の受付から初回連絡、日程調整、面接前後のフォロー、内定・入社フォローまでを採用事務局として代行し、求人・媒体・スカウトなど母集団形成の運用もお引き受けします。面接そのものと採否の判断は御社が行います。代理店とは重なる部分と役割が異なる部分があるため、いまお付き合いのある代理店との関係はそのままに、応募後の工程だけを補うかたちでも使っていただけます。料金は月額49,800円からで、初回に業務設計費として100,000円、以降は支援内容・工数に合わせて個別にお見積りします。
代理店との関係を見直す前に、確認したいこと
代理店に不満が出てきたとき、まず疑うべきは自社の応募後対応です。順番を逆にすると、媒体を替えても同じ結果を繰り返すことになります。
確認していただきたいのは次の三点です。第一に、直近の掲載で集まった応募のうち、何件が面接まで進んだか。第二に、応募から初回連絡までに平均で何時間かかっていたか。第三に、日程調整の途中で連絡が途絶えたケースが何件あったか。記録が残っていなければ、それ自体が今の状態を表しています。
この三つを出したうえで、応募数に問題があるなら代理店と原稿を練り直す。応募後の歩留まりに問題があるなら、そこを担う体制をつくる。切り分けができれば、次に投じるお金と時間の行き先は自ずと決まります。
応募は届いているのに面接まで繋がらない、という感覚をお持ちでしたら、一度現状の工程を一緒に洗い出してみませんか。どこで止まっているのか、どの部分なら外に出せるのか、具体的にお話しできます。ご相談はこちらからお気軽にどうぞ。
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