応募者に電話をかけたけれどつながらず、留守番電話にメッセージを残した。しばらくして会社の代表番号に折り返しがかかってくる。ところが、その電話を取ったのは採用のことを何も知らない社員で、「担当の者は席を外しております」とだけ答えて切ってしまった——。中小企業の応募対応で、意外と多いのがこの場面です。
かけ直してきた応募者からすれば、勇気を出して踏み出した一本の電話です。それが「誰に何を伝えればいいのか分からないまま終わった」となれば、会社への印象は確実に一段下がります。しかも困ったことに、この取りこぼしは採用担当者の目に見えません。着信履歴にも残らず、誰も気づかないまま応募が一件消えていきます。この記事では、事情を知らない社員が電話を取っても最低限の対応が成立するように、受け方を「そのまま貼れる形」に整理します。
応募者の電話は、担当者以外が取ることのほうが多い
まず前提として、応募者からの折り返しは時間を選んでくれません。昼休み、夕方、始業直後。担当者が会議に入っている時間、現場に出ている時間、来客中の時間にもかかってきます。
つまり構造的に、応募者の電話は「採用担当以外が取る確率のほうが高い」のです。ここを個人の気配りに任せている限り、対応の質は誰が取ったかで揺れます。丁寧な人が取れば丁寧に、忙しい人が取れば素っ気なく。この揺れそのものが、候補者から見た会社の姿になります。候補者体験を良くすると、なぜ採用成功につながるのかでも触れているとおり、応募後の一つひとつの接点は、単独では小さくても積み上がって印象を形づくります。
やるべきことは、電話応対研修ではありません。取り次ぎ先が不在のときに「何を聞き、何を伝え、どこに残すか」を、3つだけ決めることです。
不在のときに聞くこと・伝えることを3つに絞る
受け手に求めるのは、採用の説明ではありません。応募者を不安にさせずに、担当者につなぐ準備を整えることだけです。具体的には次の3点に絞ります。
1. 名前と電話番号を確認する
「恐れ入ります、お名前とお電話番号をうかがってもよろしいでしょうか」。ここで大事なのは、番号を必ず復唱して確認することです。折り返しがつながらない原因の多くは、聞き間違いか書き間違いです。
2. 応募した求人と、都合のよい時間帯を聞く
「どちらの求人にご応募いただいた件でしょうか」「日中でお電話が取りやすい時間帯はございますか」。この2つを聞いておくと、担当者が折り返すときに一往復減ります。複数の求人を出している会社ほど、前者の一言が効きます。
3. いつ折り返すかを、その場で伝える
これが最も抜けやすく、最も印象を左右する部分です。「担当者から折り返します」だけでは、応募者は待ち時間が読めません。次章で詳しく扱います。
逆に、受け手が答えなくてよいことも決めておきます。給与や勤務条件の詳細、選考の進み具合、面接日程の確定。これらは「担当の者からご説明いたします」で問題ありません。中途半端な回答が後で食い違うほうが、はるかに損失が大きくなります。
折り返しの約束は、時刻を切って伝える
応募者にとって、待つこと自体はさほど苦痛ではありません。苦痛なのは「いつ来るか分からないものを待つこと」です。
| 避けたい言い方 | 言い換え |
|---|---|
| 折り返しご連絡いたします | 本日16時までに、担当の◯◯からお電話いたします |
| のちほどご連絡します | 30分ほどでかけ直させていただきます |
| 担当が戻り次第かけます | 本日中につながらない場合は、明日9時以降にかけ直します |
右側のように時刻を切ると、受け手には「その時刻までに担当者へ伝える」という責任が生まれます。伝言が机の上で一晩眠る事故が減るのは、この副作用のほうかもしれません。
なお、応募者が在職中で日中に出られないケースもあります。その場合は「お電話が難しければ、ショートメッセージでご案内も可能です」と一言添えておくと、連絡手段が一本増えます。電話・SMS・メールの使い分けは応募者に電話がつながらない。SMS・メールを組み合わせた連絡の順番に整理しています。
伝言メモは5項目。それ以上は書かれない
伝言メモの様式を凝ると、忙しい社員は書かなくなります。項目は5つで十分です。
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 受電日時 | 9/4 13:20 |
| お名前 | 山田 太郎 様(フリガナ) |
| 電話番号 | 090-0000-0000(復唱確認済) |
| 応募求人 | 倉庫スタッフ/◯◯サイト |
| 連絡可能な時間帯 | 平日18時以降、土日終日 |
| 折り返し約束 | 本日16時までと伝達 |
紙のメモでも、共有チャットへの投稿でも、共有メールへの転送でも構いません。大切なのは置き場所を一箇所に固定することです。ある人は付箋、ある人は口頭、ある人はチャットという状態だと、担当者は毎回探す羽目になります。
たとえば仮の数字で考えてみます。月に応募が20件あり、そのうち折り返しの着信が8件、そこで対応が滞って連絡が途切れるのが2件だとします。年間で24件。面接に進めていたかもしれない人が、それだけ静かに消えている計算です。あくまで仮の想定ですが、自社の着信履歴を一週間眺めるだけでも、近い景色は見えてくるはずです。
貼り紙にして、電話機の横に置く
ここまでの内容を、A4一枚にまとめて電話機の横に貼ってください。
応募者からのお電話をお受けしたら ① お名前・お電話番号(番号は復唱) ② ご応募の求人名 ③ お電話が取りやすい時間帯 ④ 「本日◯時までに担当の◯◯からお電話いたします」と時刻を切って伝える ⑤ メモは【共有チャットの採用チャンネル】へ。書いたら担当者に一声かける ※ 給与・条件・日程は担当者から回答します
新しく入った社員にも、アルバイトの方にも、これ一枚で伝わります。運用を始めたら、月に一度は「実際に何件の着信があり、何件が折り返せたか」を振り返ってみてください。数字で見ると、貼り紙の効き目が分かります。応募後の各段階を数字で追う考え方は面接設定率という指標。応募からの歩留まりを測る第一歩にまとめています。
とはいえ、貼り紙で救えるのは「取りこぼしを最小にする」ところまでです。応募者が求めているのは、伝言が伝わることではなく、話が前に進むこと。担当者が現場に出ていて数時間戻らない、繁忙期で誰も折り返せない、といった状態が常態化しているなら、受け手の工夫では埋まりません。
社外採用部は、応募の受付から初回連絡、日程調整、面接前後のフォロー、内定・入社フォローまでを社外の採用事務局としてお引き受けするサービスです。応募者からの連絡窓口を一本化すれば、「誰が取っても同じ対応」は仕組みとして担保されます。費用は初回設計費100,000円、月額49,800円〜で、以降は支援内容・工数に合わせて個別にお見積りします。求人広告の出稿そのものではなく、応募が来たあとをどう回すかにお困りでしたら、お問い合わせからご相談ください。代表の佐々木がお話をうかがいます。
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