採用に失敗した記憶があると、「いきなり正社員で雇うのは怖い」という気持ちが残ります。書類と1〜2回の面接だけで、この人と何年も一緒に働けるかを決めなければならない。その重さから逃れる方法として、紹介予定派遣という選択肢が目に入ってくることがあります。
まず数ヶ月派遣として働いてもらい、お互いに納得できたら直接雇用に切り替える。仕組みとしては理にかなって見えます。ただ、中小企業がこれを使うときに見落としやすいのは、「見極める期間」は同時に「見極められる期間」でもあるという点です。この記事では、費用が発生する順序、見極めに使える時間、本人に断られる可能性という3つの角度から、直接採用と比べて整理します。
紹介予定派遣は「判断を後ろにずらす」仕組み
紹介予定派遣は、労働者派遣と職業紹介を組み合わせた仕組みです。一定期間を派遣社員として働いてもらい、その後に直接雇用へ移行することを前提として派遣を受け入れます。派遣で働いてもらえる期間は法令上の上限があり、無期限に様子を見続けることはできません(最長6ヶ月とされています)。
通常の派遣と違う点として、受け入れ前に候補者と面談を行ったり、履歴書を確認したりすることが認められています。つまり「会ってから決める」という手順自体は直接採用と似ています。違うのは、そこで下す判断が「雇う/雇わない」ではなく、「まず数ヶ月一緒に働いてみるかどうか」になることです。
ここが長所であり、同時に注意点でもあります。採否の判断が後ろにずれるぶん、判断の材料は増えます。しかしその数ヶ月のあいだ、会社側も評価される側に立ち続けることになります。
費用は「いつ」発生するか。直接採用との違い
紹介予定派遣でよく誤解されるのが、「採用が決まるまで費用がかからない」という理解です。実際には、派遣期間中は派遣料金が毎月発生し、直接雇用へ移行する段階で紹介手数料が別途かかるのが一般的な形です。料率や計算方法は派遣会社ごとに異なるため、契約前の見積もりで確認してください。
発生の順序を直接採用と並べると、違いがはっきりします。
| 直接採用(求人媒体など) | 紹介予定派遣 | |
|---|---|---|
| 採用前 | 掲載費・応募対応の社内工数 | 派遣会社との調整工数 |
| 働き始めてから | 自社の給与 | 派遣料金(毎月) |
| 直接雇用の時点 | — | 紹介手数料 |
| 入社しなかった場合 | 掲載費は戻らない | 派遣料金は戻らない |
仮の数字で考えてみます。派遣料金が月50万円相当、6ヶ月受け入れて直接雇用に至らなかったとすると、その間の支払いは300万円です。もちろんその期間は実際に働いてもらっているので、丸ごと無駄になるわけではありません。ただし「採用コスト」として見るなら、成果報酬のように後払いで済む仕組みではない、という理解が要ります。
自社で採用する場合のコストと比べるには、広告費だけでなく社内の工数も金額に換算しておくと判断しやすくなります。この考え方は社長と総務が採用に使っている時間は、いくらのコストかで整理しています。
見極める時間は増えるが、選ばれ続ける時間も増える
紹介予定派遣の最大の利点は、数ヶ月の実務を通して相互に判断できることです。面接では分からない仕事の速さ、周囲との相性、指示の受け取り方が見えます。採用判断の精度という意味では、面接を何回重ねるよりも情報量は多くなります。
一方で、直接雇用への移行には本人の同意が要ります。会社が「ぜひ来てほしい」と思っても、本人が断れば終わりです。そして派遣期間中、本人は自社の内側を毎日見ています。残業の実態、人間関係、教育の有無、将来の見通し。求人票では見えなかったものが、すべて見えます。
ここで起きやすいのが、「評価する側」のつもりでいるうちに、相手の気持ちが離れていくという状況です。放置されている、誰も声をかけてくれない、正社員との扱いの差が大きい。そうした印象が積み重なると、移行の打診をした時点で断られることがあります。
防ぎ方は、内定から入社までの空白期間を埋める発想に近いものです。定期的に短い面談を置き、本採用の判断基準と時期を先に伝えておく。この進め方は試用期間をどう説明するか。不安にさせない伝え方で触れている考え方と重なります。「様子を見ている」と伝わるか、「迎え入れる準備をしている」と伝わるかで、結果は変わりやすくなります。
合う職種と、合いにくい職種
紹介予定派遣が向くかどうかは、職種の性質でかなり分かれます。
合いやすいのは、事務・経理・総務・カスタマーサポートなど、派遣市場に登録者が多く、仕事の切り出しがしやすい職種です。1〜2ヶ月で業務に入れるため、数ヶ月の実務で判断材料が揃います。都市部であれば候補者の層も厚くなります。
合いにくいのは、次のような場合です。
- 有資格者や専門職(介護、医療、整備、施工管理など)。そもそも派遣での登録者が少なく、紹介予定派遣の枠で候補者が出てこないことがあります
- 現場作業・ドライバー職など、地域密着で採用する職種。派遣会社の対応エリアと自社の所在地が噛み合わないことがあります
- 幹部候補・後継者候補。数ヶ月の派遣就業では判断しきれず、本人側も「まず派遣で」という条件を受け入れにくいものです
- 小規模で、教える人が1人しかいない職場。派遣期間中のフォローに手が回らず、放置になりやすくなります
また、派遣会社に候補者がいなければ、そもそも話が始まりません。自社の職種と地域に合う派遣会社を探すところから時間がかかる点は、見込んでおいたほうがよいでしょう。候補者を連れてきてもらう仕組み全般の比較は、人材紹介と社外採用部は、何が違うのかもあわせてご覧ください。
どの方法を選んでも、残る仕事がある
紹介予定派遣を使うと、求人掲載と応募受付の手間は減ります。しかし、受け入れ前の面談日程を組み、派遣期間中に様子を聞き、直接雇用の打診をして、入社手続きを整える。この一連の対応は自社に残ります。むしろ、数ヶ月にわたって一人の候補者と向き合う分、接点の管理は長期戦になります。
そして現実には、紹介予定派遣だけで必要な人数を揃えられる会社は多くありません。自社募集を並行して走らせることになり、応募対応は結局続きます。採用は「点」ではなく「線」。応募から定着までを一本でつなぐでも触れたとおり、入口の仕組みを変えても、人がつながり続ける手間そのものは消えません。
社外採用部は、中小企業の採用事務局として、母集団形成から応募の受付、初回連絡、面接の日程調整、面接前後のフォロー、内定・入社後のフォローまでを社外から引き受けます。面接そのものと採否の判断は御社に残していただき、それ以外の実務を担います。料金は月額49,800円〜、初回設計費100,000円。支援内容と工数に合わせて個別にお見積りします。担当は採用の局面に応じて当社からアサインするため、一人分の人件費で複数の役割を使い分けられます。
紹介予定派遣を検討しているが自社に合うか判断がつかない、並行して自社募集も回したい。そうした段階でも構いません。ご相談はこちらからどうぞ。
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