新卒を採ってみようと決めたものの、就職サイトに掲載するのか、地元の高校や専門学校に求人票を出すのかで手が止まっていませんか。どちらも「新卒採用」と呼ばれますが、お金の出方も、応募してくる人も、忙しくなる時期も違います。

この記事では、二つの入口を4つの観点で並べて比べます。そのうえで、採りたい職種と社内の教育体制から入口を選ぶ手順を整理します。新卒採用全体の年間の流れは「中小企業が新卒採用を始めるとき、何月から何をするか」で扱っているため、ここでは「どちらの入口から入るか」の判断に絞ります。

就職サイトと学校経由、4つの違いを並べる

まずは違いを一枚の表にまとめます。

比較の観点就職サイト(大卒が中心)学校経由(高校・専門学校)
費用掲載料やオプション料が、応募の有無にかかわらず先に発生する。プランによって金額に幅があるハローワークを通じた高卒求人には掲載料がかからない。その代わり、書類作成や学校訪問に社内の時間を使う
届く層サイトに登録し、自分で検索して比べる学生。地域や業種をまたいで他社と並べて見られるその学校の生徒・学生。進路指導の先生やキャリア担当の助言を受けながら応募先を考える
動く時期サイト上の情報公開、説明会、選考の流れに沿って進む。大手企業の選考と同じ時期に比べられる高卒は応募・選考の開始時期が毎年定められている。専門学校は学校ごとに受付の時期や方法が異なる
関係づくりの手間学校との関係づくりは不要。そのぶん、学生一人ひとりへの連絡を自社で積み上げる先生との関係が土台になる。初年度は応募につながらなくても、訪問と報告を続ける手間がある

就職サイトは「お金を先に払い、学生と直接やり取りする入口」、学校経由は「お金は抑えられるが、学校との関係に時間をかける入口」と捉えると整理しやすくなります。高卒求人の日程や、地域によって設けられている応募のルールは年度ごとに確認が必要です。管轄のハローワークと学校には必ず確認してください。

費用の発生時期を中途採用と比べたい場合は、「新卒1人にいくらかかるか。中途と費用構造が違う」もあわせてご覧ください。

採りたい職種から、入口の候補を絞る

次に、採りたい職種で候補を絞ります。ここでは「どの入口がその職種の人と出会いやすい仕組みになっているか」で考えます。

資格や専門の技能が前提になる職種(調理、美容、自動車整備、介護、保育など)は、該当する学科を持つ専門学校が第一候補です。学科と職種が直結しているため、求人票の内容が学生に伝わりやすくなります。

入社後に現場で育てる前提の職種(製造、技能職、物流、施工管理の補助など)で、地元から通える人に長く勤めてほしい場合は、地域の高校が候補になります。学校は地元企業を進路先として紹介する役割も担っているため、自社の仕事を先生に理解してもらえれば、生徒に勧めてもらえる可能性があります。

営業・企画・管理部門など、広い範囲から比べて選びたい職種や、地域外からの転居も含めて受け入れられる場合は、就職サイトが候補になります。学校単位では出会えない層に届く反面、他社と並べて比べられる前提で求人内容を作る必要があります。

一つの職種に二つの候補が残ることもあります。その場合は、次の教育体制で決めます。

教育にかけられる体制で、最終的に決める

同じ「新卒」でも、入社時点で教えることの量が違います。

高卒の新入社員には、仕事の手順だけでなく、報告の仕方や通勤、初めての給与明細の見方など、社会人としての基本から伝える場面が出てきます。保護者とのやり取りが発生することもあります。教育担当を一人決め、最初の数か月は毎日声をかけられる体制が組めるかが判断の分かれ目です。

専門卒は基礎知識を学んできていますが、学校で習ったことと自社の現場のやり方の違いを埋める時間が要ります。大卒は自分で調べて動くことを期待しやすい一方、職務経験はないため、任せる範囲を段階的に広げる設計が必要です。

もう一つ見ておきたいのが、選考期間中の連絡に使える時間です。就職サイトは応募が入るたびに説明会の案内や日程調整が発生し、連絡の量が自社の作業時間に直結します。学校経由は時期がまとまっていて、先生とのやり取りが中心になります。

判断の手順をまとめると次のとおりです。

  1. 職種から、入口の候補を一つか二つに絞る
  2. 入社後に教育担当を置けるか、どの程度手厚く教えられるかを確認する
  3. 選考期間中に、連絡や学校対応に割ける社内の時間を見積もる
  4. 2と3の条件に合う入口を一つ選ぶ

初年度は一つに絞り、2年目に広げる順番

初めての年は、入口を一つに絞ることをおすすめします。理由は三つあります。

一つ目は、忙しくなる時期が重なりやすいことです。就職サイトの選考と高卒求人の選考が同じ時期に動くと、兼務の担当者では連絡が追いつかなくなることがあります。二つ目は、手間とお金の両方が中途半端になりやすいことです。学校との関係は1年目は種まきの性格が強く、就職サイトは費用が先に出ます。両方に少しずつ手をかけると、どちらの成果も見えにくくなります。三つ目は、振り返りの数字が混ざることです。どの入口から何人応募があり、何人が面接に進んだかを分けて記録できないと、翌年の判断材料になりません。

2年目に広げるときは、次の順番で考えると無理がありません。

学校への求人票の出し方や先生とのつき合い方は「高校・専門学校への求人票提出。学校とのつき合い方の基本」で詳しく解説しています。

社外採用部では、就職サイトの運用や学校まわりの接点づくりといった新卒の母集団形成から、応募の受付・日程調整・内定者フォローまでを、社外の採用事務局として代行・支援しています。面接そのものと採否の判断は御社に残したまま、入口選びの段階からご相談いただけます。どちらの入口から始めるか迷われている場合は、お問い合わせからお気軽にご連絡ください。