これまで中途採用だけで人を増やしてきた会社が、「そろそろ新卒も採ってみようか」と考え始める。きっかけは、若手が入ってこない、年齢構成が偏ってきた、現場を引き継ぐ人がいない、といったあたりでしょうか。

ただ、中途採用と同じ感覚で動き始めると、たいてい出遅れます。中途は「欠員が出てから募集し、1〜2ヶ月で入社」が基本ですが、新卒は「入社の1年以上前から動き、内定から入社まで半年以上空く」という時間軸で進みます。この記事では、中途しか採ってこなかった会社が新卒採用を始める場面に絞って、入口の選び方と月別の動き方を整理します。

中途と同じ感覚で動くと、なぜ出遅れるのか

中途採用では、求人を出してから入社までの期間は長くても数ヶ月です。応募が来たら数日以内に面接し、内定を出し、退職交渉を経て入社する。この流れに慣れていると、新卒も「3年生の秋に募集すれば間に合う」と考えがちです。

しかし新卒採用は、学生が動き始める時期そのものが前倒しになっています。大学生であれば3年生の夏にはインターンシップが始まり、秋から冬にかけて業界や企業を絞り込み、3月以降に本格的な選考が動く、という流れが一般的です。高校生の場合はさらに制度的な決まりがあり、学校への求人提出や推薦の時期が年度ごとに定められています。

つまり新卒採用では、「募集を出す時期」ではなく「学生が動く時期」に合わせる必要があります。こちらの都合で3ヶ月前から動いても、そのときにはもう学生の多くは行き先を決め始めている、ということが起こります。

もうひとつ、中途との大きな違いが内定から入社までの空白です。中途なら1〜2ヶ月ですが、新卒は半年から1年近く空きます。この間に辞退が起きやすいことは、内定辞退は直前に起きる。兆候のつかみ方と入社までのフォローでも触れたとおりです。新卒の場合、その空白期間がさらに長くなると考えてください。

入口は3つある。自社に合うものから始める

新卒採用の入口は、大きく3つに分かれます。どれか1つから始めても構いませんし、最初から全部やる必要もありません。

入口特徴向いている会社
就職サイト・新卒媒体広く募集できるが、知名度のある会社と同じ土俵で比較される全国・広域から集めたい。説明会などの手間をかけられる
学校との接点(大学キャリアセンター・高校・専門学校)一度関係ができると継続的に紹介が期待できる。地域密着型に向く地元採用が中心。毎年1〜2名を継続して採りたい
インターンシップ・職場体験学生と早い段階で接点が持てる。受け入れ工数はかかる現場を見せたほうが魅力が伝わる。社員に余力がある

中小企業が最初に手をつけやすいのは、学校との接点です。就職サイトは掲載料がかかるうえ、大手と並んで表示されるため、知名度のない会社は埋もれやすくなります。一方、地元の大学や専門学校、高校の就職担当の先生と関係を作れば、「この条件ならあの子が合うかもしれない」という形で紹介が生まれることがあります。

高校生の採用については、学校経由と本人応募で実務が変わります。この点は高卒・専門卒の応募。学校経由と本人応募で対応が違うで整理していますので、高卒採用を検討されている場合は併せてご覧ください。

月別の作業表。1年がかりで何をするか

ここでは大学・専門学校の新卒(3月卒業・4月入社)を想定し、入社の前々年から入社までの動きを並べます。年度や学校種別によって時期はずれますので、おおよその目安としてお読みください。

時期やること
入社の約1年9ヶ月前(6〜8月)採用人数と求める人物像を決める。インターンを実施するなら企画と受け入れ準備
同(9〜11月)学校のキャリアセンター・就職担当へ挨拶。求人票の原型を作る。就職サイトを使うなら媒体の選定と商談
同(12〜2月)会社説明の資料づくり。先輩社員の協力依頼。選考フローと面接官を決める
入社の約1年1ヶ月前(3月)情報公開・エントリー受付開始。説明会の開催
同(4〜6月)面接・選考。内定出し。この時期の対応スピードが勝負
同(7〜9月)内定者フォロー開始。面談、職場見学、社員との顔合わせ
同(10月)内定式(実施する場合)。卒業論文・国家試験などの状況確認
同(11〜2月)定期的な連絡。入社書類の案内。配属の見通しを伝える
入社月(3〜4月)入社前の最終確認。受け入れ準備。初日の設計

この表を見て驚かれるのは、「選考そのものは数ヶ月なのに、前後の準備とフォローが1年以上ある」という点だと思います。新卒採用の工数の大半は、エントリー前の準備と、内定後のフォローに費やされます。

とくに内定から入社までの半年以上をどう過ごすかは、承諾率と入社率を左右しやすい部分です。内定から入社までの連絡頻度。多すぎ・少なすぎの境目で扱っている連絡設計の考え方は、新卒の長い空白期間にもそのまま当てはまります。

最初は「1人採用」から始める

新卒採用を始めるとき、「何人採るか」で迷われる方は多いと思います。結論から言えば、初年度は1人から始めるのが現実的です。

理由は3つあります。ひとつは、受け入れる現場の余力です。新卒は入社時点でできる仕事がほとんどありません。教える人を社内に確保できなければ、採った後に困ります。2人採れば、教育工数も2人分かかります。

ふたつめは、採用活動そのものの工数です。仮の数字ですが、説明会を1回開き、エントリーが20件あったとして、全員に初回連絡を入れ、面接日程を組み、合否連絡を出し、内定者に半年フォローする。中途採用1名分の比ではない作業量になります。初年度は「やりきれる量」を優先したほうが、翌年につながります。

みっつめは、辞退を前提に多めに内定を出すと、全員承諾されたときに受け入れられないことです。新卒は内定辞退が起きやすい一方で、全員が残ることもあります。

1人採用から始めて、年間の流れを一度通してみる。そこで見えた詰まりどころを翌年に直す。この積み重ねのほうが、初年度にいきなり3人採ろうとして途中で止まるより確実です。

既存の中途採用と、業務が二重になる

新卒採用を始めると、中途採用の実務がなくなるわけではありません。むしろ、年間を通じて走り続ける新卒のフローと、欠員が出るたびに動く中途のフローが、同じ担当者の上に重なります。

中途採用であれば、応募が来てから動けばよい。しかし新卒は、応募が来ていない時期にも学校訪問や資料づくり、内定者フォローといった作業が発生します。この「応募がないのに仕事がある」状態が、兼務の担当者にとっては一番つらいところです。総務や管理部門の方が片手間で両方を回そうとすると、どちらかが止まります。

止まりやすいのは、締切のない仕事です。学校への挨拶回り、内定者への定期連絡、説明会資料の更新。急ぎの応募対応に押し出されて後回しになり、気づけば学生が動く時期を過ぎている、ということが起こります。

ここを防ぐには、新卒の年間スケジュールを先にカレンダーに置き、動く時期と担当を決めてしまうことです。採用業務のどこを社内でやり、どこを外に出すかという切り分けについては、採用担当の業務を全部書き出してみる。内製と外注の分け方もあわせてご覧ください。


新卒採用は、始めると決めた年に結果が出るものではありません。学校との関係づくりも、内定者フォローの型も、2年目、3年目に効いてきます。だからこそ、初年度に無理のない規模で、年間の流れを一度最後まで通すことが大切です。

社外採用部は、中小企業の採用事務局として、母集団形成(求人・媒体・スカウトの運用、学校や紹介会社との接点づくり。新卒・中途いずれも)から、応募の受付・初回連絡・日程調整・面接前後のフォロー、内定者フォローから入社までをお手伝いしています。面接そのものと採否の判断は御社が担い、それ以外の実務を社外から支える形です。採用の局面に合わせて当社から担当をアサインしますので、一人分の人件費で複数の役割を使い分けていただけます。

料金は月額49,800円〜、初回設計費100,000円。以降は支援内容・工数に合わせて個別にお見積りします。新卒採用をこれから始めるにあたって、何から手をつければよいか整理したいという段階でも構いません。お気軽にご相談ください。