「このままでは人が足りない」と分かっていても、新卒と中途のどちらに手を付けるかで迷っている会社は少なくありません。新卒は若い人が入って組織が変わりそうだが、時間も手間もかかる。中途はすぐ戦力になりそうだが、採用費が高くつく。どちらも正しそうに見えて、決めきれないまま年度が進んでいく、という状況です。

限られた予算と工数を二つに薄く分けると、どちらも中途半端になりやすくなります。まずはどちらかに寄せる判断を先にしておきたいところです。ここでは「人が必要になる時期」「教育体制の有無」「既存社員の年齢構成」という3点で振り分ける手順を整理します。

判断の前に、新卒と中途は「別の商品」だと捉える

新卒採用と中途採用は、同じ「採用」という言葉でくくられますが、かかる時間も、相手の動き方も、社内に必要な準備もまったく違います。

新卒は、応募から入社まで1年前後の時間がかかります。学校や就職サイトへの働きかけから始まり、内定を出してからも入社まで数ヶ月から半年ほど空きます。つまり、いま動き出しても戦力になるのは来年か再来年です。一方で、採用単価は中途より抑えられることが多く、同時期に複数名を採りやすいという特徴があります。

中途は、求人を出してから入社まで数ヶ月というのが一般的な感覚でしょう。在職中の方であれば退職交渉に1〜2ヶ月かかりますから、「来月から来てほしい」はなかなか実現しません。それでも新卒に比べれば圧倒的に早い。代わりに、応募者は同時に複数社を見ており、連絡が遅れればそのまま他社に決まります。

この違いを押さえたうえで、自社がどちらの時間軸で動くべきかを考えます。

1つめ:人が必要になるのは、いつか

最初に確認するのは時期です。これがいちばん単純で、いちばん効きます。

「今すでに欠員が出ている」「半年以内に退職予定者がいる」「受注が決まっていて人を充てないと回らない」——このいずれかに当てはまるなら、中途から着手するのが筋です。新卒を採っても、その穴は今年埋まりません。

逆に「いまは何とか回っている」「3年後に今の中核メンバーが抜ける」「将来の幹部候補がいない」という状態であれば、新卒に投資する時間的余裕があります。新卒採用は、来期以降の組織のかたちを先に仕込む行為です。

判断がつきにくいのは、「今も苦しいが、将来はもっと苦しい」というケースでしょう。この場合は、まず中途で足元の穴を塞ぎ、その対応が回り始めてから新卒の準備に入る順番が現実的です。欠員を抱えたまま1年がかりの採用を始めると、現場の疲弊が先に限界を迎えます。入社日から逆算してスケジュールを引く考え方は「4月までに1人」を逆算する。採用スケジュールの引き方にまとめています。

2つめ:教える人と時間が、社内にあるか

次に見るのは教育体制です。新卒は、ほぼ例外なく「何も知らない状態」で入ってきます。仕事を教える人と、教える時間が社内にないまま新卒を迎えると、本人は放置され、早い段階で辞めていくことになりやすいものです。

確認したいのは、立派な研修制度があるかどうかではありません。次の3つです。

これらに答えられないうちは、新卒より中途、それも「ある程度自走できる経験者」のほうが社内の負荷は小さくなります。経験者を待つか未経験を育てるかという判断そのものは経験者を待つか、未経験を採って育てるかでも扱っています。

逆に、教える役割を担える中堅社員がいて、その人自身にとってもマネジメント経験になるという状況なら、新卒を迎える意味は採用以上のものになります。

3つめ:既存社員の年齢構成を書き出す

3点目は年齢構成です。社員名簿を開いて、全員の年齢を5歳刻みで並べてみてください。10分で終わります。

ここで見るのは、「山がどこにあるか」と「空白がどこにあるか」です。50代に山があって30代が空白、という形になっている会社は珍しくありません。この場合、いま中途で30代を採っても、5年後にはまた同じ問題が繰り返されます。定期的に若手が入る流れを作らないと、年齢構成は一方向に進んでいきます。

一方、各年代にばらつきなく人がいて、単に特定部署の頭数が足りないだけなら、中途で埋めるほうが早くて確実です。

見ているもの中途に寄せる新卒に寄せる
人が必要な時期半年以内に必要1年後以降でよい
教育体制教える人と時間が取りにくい教える役割を担える社員がいる
年齢構成特定部署の頭数不足若手層がまるごと空いている

3点のうち2つ以上が同じ側に寄れば、そちらから着手します。きれいに割れた場合は、1つめの「時期」を優先してください。来年の話より、今年回らないことのほうが重いためです。

両方やるなら、山を重ねない

「どちらもやりたい」という会社も当然あります。その場合に気をつけたいのは、予算ではなく工数のほうです。応募対応・日程調整・面接設定といった実務は、新卒でも中途でも同じ人が担うことになりがちで、山が重なった月に破綻します。

新卒採用は、年間の動きがある程度決まっています。学校への求人票提出や就職サイトの公開時期、説明会、選考のピークは毎年ほぼ同じ時期に来ます。だからこそ、中途のほうを「新卒の山を外した時期」に置くという組み方ができます。

高卒・専門卒の採用では、学校経由の応募と本人応募で対応がまったく違います。こちらは高卒・専門卒の応募。学校経由と本人応募で対応が違うを参照してください。年間の波への備え方は採用の繁忙期だけ回らない。年間の波にどう備えるかにまとめています。

どちらから手を付けるかを決めたあとに残るのは、実際に応募を受け、連絡し、面接日を組むという日々の実務です。社外採用部は、新卒・中途のどちらの局面にも、学校との接点づくりから応募受付・日程調整・面接前後のフォロー、内定から入社までの連絡までを、御社の採用事務局として担当します。面接と採否の判断は御社に残したまま、その手前と後ろを外に出すという形です。料金は月額49,800円〜、初回設計費100,000円。支援内容と工数に合わせて個別にお見積りします。

新卒と中途、どちらから手を付けるか迷っている段階でも構いません。自社の状況を一度整理してみたい方は、こちらからご相談ください。