「4月には一人増やしたい」。そう決めたところまでは良いのですが、実際に求人を出すのは年明けや、下手をすると2月・3月になってから、という会社は少なくありません。そして面接まで進んで良い方に出会えても、その方が在職中だと「退職の手続きがあるので、入社は6月からでお願いできますか」という話になります。採用そのものは成功しているのに、欲しかった時期には間に合っていない。この形の失敗は珍しくありません。
採用スケジュールは、掲載開始日から前に進めるのではなく、入社してほしい日から後ろ向きに積み上げると輪郭がはっきりします。この記事では、必要な期間を4つのブロックに分けて逆算表をつくる手順と、遅れが出たときにどこを縮められるかを整理します。
逆算は「入社日」から4つのブロックを積む
まず紙を一枚用意して、右端に「入社してほしい日」を書きます。そこから左に向かって、次の4つの期間を並べていきます。
- 入社準備期間:内定承諾から入社日まで。在職者は現職への退職申し出と引き継ぎが入る
- 意思決定期間:内定通知から承諾の返事をもらうまで
- 選考期間:初回連絡から面接、合否判断まで
- 募集期間:掲載開始から応募が集まるまで
この4つを足したものが、掲載開始日から入社日までに最低限必要な日数です。ここで多くの会社が過小に見積もるのが1番目、つまり内定を出したあとの期間です。選考を急ぐ意識はあっても、「決まったあとにかかる時間」は日程表に入っていないことが多いのです。
仮の数字で逆算表を引いてみる
たとえば、4月1日入社を目標にした中途採用を考えてみます。以下はあくまで仮の数字で、業種や職種によって伸び縮みするものとしてご覧ください。
| 工程 | 期間の目安(仮) | この期間に起きること |
|---|---|---|
| 募集期間 | 3〜4週間 | 掲載開始、応募が断続的に届く |
| 選考期間 | 2〜3週間 | 初回連絡、日程調整、面接1〜2回、合否判断 |
| 意思決定期間 | 1週間前後 | 内定通知、条件提示、候補者の検討 |
| 入社準備期間 | 4〜8週間 | 退職の申し出、引き継ぎ、有給消化、入社手続き |
合計すると、およそ10〜16週間。4月1日から逆算すると、遅くとも12月中旬から1月初旬には掲載を始めておきたいという計算になります。「2月に出せば間に合うだろう」という感覚とは、1〜2ヶ月のずれがあります。
ここで注意したいのは、募集期間の3〜4週間は「応募が来るまでの時間」であって、「応募が来てから動き出すまでの時間」ではないことです。掲載初週に届いた応募への対応が遅れれば、その分だけ全体が後ろにずれます。応募が来たその日に動けているかどうかは、応募後1時間以内の初回連絡が、採用の歩留まりを変える理由でも触れているとおり、スケジュール全体に効いてきます。
在職者は「採れたのに間に合わない」が起きやすい
離職中の方であれば、内定から2週間程度で入社できることもあります。一方、在職中の方は事情が違います。就業規則で「退職の申し出は1ヶ月前まで」と定めている会社が多く、そこに引き継ぎと有給消化が乗ります。繁忙期の真っただ中であれば、「区切りがつく時期まで待ってほしい」と言われることもあります。
つまり、在職者を採る前提で組むなら、内定から入社までに1〜2ヶ月の空白があるものとしてスケジュールを引いておくほうが安全です。この空白を見込まずに動くと、良い方を採用できたのに配属は2ヶ月先、その間の現場の負荷は変わらない、という結果になります。
逆算表を引く段階で決めておきたいのは、次の2点です。
- 入社日に融通が利くのか、動かせない日なのか(4月の新規案件開始に間に合わせる必要があるのか、多少ずれても構わないのか)
- 在職者・離職中の方、どちらを主に想定するのか(想定が変われば必要な期間が1ヶ月単位で変わります)
また、この空白期間は候補者の気持ちが揺れる時間でもあります。現職から引き止められたり、他社の選考が進んだりするのもこの時期です。空白を短くできないなら、そのあいだの連絡設計で埋めることになります。内定から入社までの連絡頻度。多すぎ・少なすぎの境目もあわせてご覧ください。
遅れが出たとき、どこを縮められるか
逆算表どおりに進まないことは、むしろ普通です。応募が想定より来ない、面接官の予定が押さえられない、判断が割れて合否が出ない。遅れが出たときに、どこなら縮められるかをあらかじめ決めておくと、慌てずに済みます。
縮めやすいのは、社内都合で伸びている工程です。
- 選考回数:一次・二次と分けている場合、一次と二次を同日に続けて実施する、あるいは職種によっては1回に統合する。往復が1回減るだけで、日程調整の待ち時間ごと1〜2週間縮むことがあります(判断の考え方は中小企業の選考は何回が適切か。一次・二次を分ける判断に整理しています)
- 日程調整:候補日を「ご都合を教えてください」と尋ねる形から、こちらから3つ提示する形に変える。やりとりの往復が減ります
- 合否連絡:面接から連絡までの社内滞留を、期限を決めて詰める
逆に、縮めるとあとで跳ね返りやすいのが入社準備期間です。「前職を早く辞めてください」とこちらから押し込むと、候補者が現職と揉めたり、心証を悪くしたまま入社したりすることがあります。ここは縮めるのではなく、想定に織り込む場所です。
募集期間についても、応募が来ないからといって掲載費を積み増す前に、いま来ている応募が面接まで進んでいるかを確認したほうが早い場合があります。
逆算表は、社内で共有してはじめて効く
逆算表をつくる本当の目的は、日程を決めることそのものではなく、社内の誰もが「今どこが遅れているか」を同じ地図で見られるようにすることにあります。掲載開始日、初回連絡の期限、面接の実施週、内定通知の目標日。これを一枚にして、社長と実務担当が共有している会社は、遅れに気づくのが早いものです。
とはいえ、逆算表を引いた後に残るのは、応募一件ごとの受付、初回連絡、日程調整、面接前後のフォローといった細かな実務です。ここが止まると、どれだけ精密な逆算表も意味をなしません。私たちTalencoの「社外採用部」(サービス責任者:佐々木純平)は、まさにこの応募後の対応を社外の採用事務局としてお引き受けしています。月額49,800円〜、初回設計費100,000円から、御社の採用スケジュールに合わせた連絡フローを設計します。
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