求人原稿を自社で書くとき、多くの方は媒体の管理画面を開いて、上の入力欄から順番に埋めていきます。職種名、雇用形態、給与、勤務時間、休日、そして最後のほうにある「仕事内容」の自由記述欄。ここまで来る頃には気力が尽きていて、「◯◯の製造業務全般」「店舗スタッフとしての接客業務」といった一行で済ませてしまう。そんな経験はないでしょうか。

入力欄の並び順は、媒体が検索しやすいように設計されたものです。求職者が応募を決める順番とは違います。順番を変えるだけで、同じ会社・同じ条件でも原稿の中身は変わります。

上から埋めると、何が起きるのか

給与や勤務時間を先に確定させると、そのあとの仕事内容は「この給与で説明がつく範囲」に引っ張られます。本当は任せたい仕事が幅広くても、月給の数字を先に書いてしまったあとでは、書きすぎると条件と釣り合わない気がして筆が止まります。

逆の順番で書くと、必要な人の像が先に立ち上がります。「この仕事を任せるなら、このくらいの経験は要る」「であれば給与はこの幅になる」と、条件が仕事から逆算されます。結果として、求人票と実際の仕事のずれも小さくなります。応募後に説明が食い違って辞退されるケースは、求人票と面接での説明がずれると、辞退されるでも触れている通り、条件そのものより信頼の問題として響きます。

もうひとつ。仕事内容が具体的な原稿は、応募後の対応を楽にします。「思っていた仕事と違った」という理由の離脱が減り、面接でゼロから説明する時間も短くなるためです。

埋める順番は、この4ステップ

順番書くこと分量の目安
11日の流れ(始業から終業まで)原稿の中心。最も字数を使う
2誰と働くか(チーム構成・教える人)3〜5行
3求める条件を3つに絞る必須3つ以内
4給与・シフト・休日事実を正確に

1. 1日の流れは、時刻を入れて書きます。「8:00 朝礼と当日の担当確認/8:30 ◯◯の作業開始/12:00 休憩(社内の休憩室、弁当持参の人が多い)」というように、時刻と行動をセットにします。求職者は「自分がその場にいる絵」を見たくて原稿を読みます。抽象的な業務名の羅列ではこの絵が浮かびません。

2. 誰と働くかは、人数構成と教育担当です。「部署は5名、20代から50代まで。最初の1ヶ月は先輩が隣について教えます」。中小企業の求人で、ここを書いている会社はそれほど多くありません。知名度で勝負できないときほど効く情報です。この考え方は「うちは知名度がないから」と言う前にできる候補者対応にも通じます。

3. 求める条件は3つまでに絞ります。条件を並べるほど、面接後の判断が毎回割れます。絞り方の手順は求める人物像は3つに絞る。条件を並べすぎると決められないにまとめています。

4. 給与とシフトは最後です。ここまで書いたあとなら、「この仕事にこの金額」という説明が自分の中で成立しているはずです。

社内の誰に聞くか

原稿を書くのは経営者や総務の方でも、材料を持っているのは現場です。聞く相手は次の3人に分かれます。

特に重要なのが1人目です。経営者が思い描く仕事内容と、実際に手を動かしている人の1日は、しばしば違います。

現場社員への15分ヒアリング、質問例

会議室に呼ぶ必要はありません。休憩時間に15分もらえれば足ります。メモを取りながら、次の順で聞いてみてください。

  1. 「昨日は何時に来て、最初に何をしましたか」(昨日のことを聞くと、具体的な答えが返ってきやすくなります)
  2. 「午前中で一番時間を使う作業は何ですか」
  3. 「お昼はどこで、誰と食べていますか」
  4. 「午後は午前と比べて、やることは変わりますか」
  5. 「一日のうち、一番気を使うのはどの場面ですか」
  6. 「入ったばかりの頃、何が一番わからなかったですか」
  7. 「それができるようになるまで、どのくらいかかりましたか」
  8. 「新しく入る人がいたら、最初の1ヶ月は誰が何を教えますか」
  9. 「この仕事で、やっていて良かったと思う瞬間はありますか」
  10. 「逆に、入る前に知っておいたほうがいいことは何ですか」

10番目の答えは、そのまま原稿に書くかどうかの判断が必要です。ただ、書かずに隠しても入社後に必ず知られます。面接前の段階で伝えておくほうが、結果として早期離職は減りやすくなります。

ヒアリングの答えは、きれいな文章に直さず、話し言葉のままメモしておきます。「夏場の午後が一番しんどい。でも17時には必ず終わる」といった言葉は、整えるより生のまま原稿に入れたほうが伝わります。

原稿を直すべきか、対応を直すべきか

ここまで書いたうえで、ひとつ前提を添えておきます。原稿を磨いても、応募が来たあとの対応が追いつかなければ採用にはつながりません。

たとえば仮の数字で、月10件の応募があり、面接に進むのが2件という会社があったとします。この場合、原稿を直して応募を15件に増やすより、面接に進む割合を上げるほうが早く効きます。逆に応募が月1件しか来ていないなら、原稿と掲載内容を見直す番です。どちらに手を付けるかは、面接設定率という指標。応募からの歩留まりを測る第一歩で紹介している数字を見ると判断しやすくなります。

原稿を書き直したときは、同時にいくつも変えないことをおすすめします。仕事内容の書き方を変えた月は、給与や媒体はそのままにしておく。そうすれば、応募数や応募者の質が変わったとき、何が効いたのかを読み取れます。

まとめ

求人原稿は、入力欄の順番ではなく、求職者が知りたい順番で書く。1日の流れ、誰と働くか、求める3条件、そして給与とシフト。材料は現場社員への15分のヒアリングで集まります。

ただ、この作業に半日かけられる会社ばかりではないことも承知しています。原稿づくりから、応募が来たあとの受付・初回連絡・日程調整・面接前後のフォローまで、人を増やさずに回す方法を探している場合は、社外に採用事務局を置くという選択肢もあります。社外採用部は月額49,800円〜、初回設計費100,000円から、採用の局面に合わせて担当をアサインする形でご支援しています。面接と採否の判断は御社に残したまま、その前後の実務を外に出せます。

自社の求人原稿と応募後の流れ、どちらから手を付けるべきか迷っている方は、こちらからご相談ください。