「うちも採用サイトを作ったほうがいいのでしょうか」というご相談をいただくことがあります。制作会社から提案を受け、見積もりを見て迷っている。あるいは同業他社が立派な採用ページを公開しているのを見て、自社の遅れを感じている。そんな状況ではないでしょうか。
採用サイトは、作る価値のあるものです。ただし、それが効いてくるのは採用活動のどの段階なのか、そして自社がいまその段階にいるのかは、発注前に一度立ち止まって確認する価値があります。数十万円から数百万円という金額は、中小企業の採用予算の中では決して小さくありません。同じ金額を別の場所に使ったほうが、早く人が採れることもあります。
採用サイトが働くのは、どの瞬間か
採用サイトが力を発揮する場面は、大きく2つに分かれます。
ひとつは、求人媒体やハローワークで自社を見つけた人が、応募するかどうかを迷っている瞬間です。募集要項だけでは会社の雰囲気がわからない。だから会社名で検索し、採用ページを読み、応募ボタンを押すかどうかを決める。ここで背中を押せれば、応募数が増えます。
もうひとつは、応募したあと、面接に行くかどうかを迷っている瞬間です。応募者は面接前に会社を調べます。このとき採用サイトがあれば、不安を先回りして打ち消すことができます。
つまり採用サイトは「応募の手前」と「応募と面接のあいだ」の両方で働きます。ところが制作の提案は、たいてい前者、つまり応募を増やす文脈で語られます。ここにズレが生まれやすいのです。
効く会社と、効きにくい会社
自社がどちらかを切り分けるために、次の質問に答えてみてください。
| 確認すること | 採用サイトが効きやすい | 先に応募後を直したほうが早い |
|---|---|---|
| 月の応募数 | ほとんど来ていない | 何件かは来ている |
| 面接まで進む割合 | 応募があれば面接にはなる | 応募はあるが面接に至らない |
| 初回連絡までの時間 | 応募当日に連絡できている | 翌日以降になることがある |
| 辞退の理由 | 「他社に決まった」が多い | 連絡が途絶える・当日来ない |
| 応募者からの質問 | 仕事内容や社風を細かく聞かれる | そもそも会話まで到達しない |
右側の列に当てはまる項目が多いほど、採用サイトを作っても状況は大きく変わりにくいと考えられます。理由は単純で、その会社の詰まりは「応募が来ないこと」ではなく「来た応募を面接まで運べていないこと」にあるからです。立派なサイトを作っても、応募後の連絡が翌々日になる構造はそのまま残ります。
逆に、左側に当てはまるなら制作は投資として意味を持ちます。応募が来たら面接になる会社は、入口を広げた分がそのまま面接数に変わっていくからです。
仮の数字で、順番の違いを見てみる
ここからは仮の数字で考えます。実際の数値は会社ごとに異なりますので、あくまで考え方の整理としてお読みください。
たとえば月に応募が10件あり、そのうち面接まで進むのが3件の会社があるとします。採用サイトを作って応募が15件に増えたとしても、面接まで進む割合が同じままなら、面接は4〜5件です。増えた分の応募対応の手間も増えます。
一方、応募数はそのまま10件で、応募後の連絡を当日中に入れ、候補日を先に提示する形に変えたとします。面接まで進む件数が3件から6件になれば、サイトを作った場合より多くの候補者に会えることになります。しかもこちらは、掲載費も制作費も増やしていません。
もちろんこれは仮の話で、応募後の対応を直せば面接が必ず倍になるわけではありません。ただ、応募が限られている会社ほど、1件の取りこぼしが結果に占める重みが大きいという構造は共通しています。自社の面接設定率がいくつなのかを知らないまま制作を決めるのは、順番として惜しいと感じます。この指標の測り方は面接設定率という指標。応募からの歩留まりを測る第一歩で整理していますので、あわせてご覧ください。
応募後を直すほうが早い場合の、具体的な順番
先に応募後を直すと決めた場合、手をつける順番はおおむね次のようになります。
- 応募から面接までの流れを一枚に描く。 どこで人数が減っているかを見ます。応募から入社までのフロー図を描くと、課題は一目でわかるで手順をまとめています
- 初回連絡までの時間を測る。 応募通知が届いてから最初の電話・SMSまで何時間かかっているか。ここが一日以上空いているなら、まずここです(応募後1時間以内の初回連絡が、採用の歩留まりを変える理由)
- 面接枠を先に押さえる。 応募が来てから面接官の予定を探すと、候補日の提示が遅れます
- 面接前日のリマインドを入れる。 日程確定から当日までの空白を埋めます
ここまでは、外部への発注がなくても社内の運用変更で着手できる範囲です。手をつけてから効果が見えるまでの期間も、制作に比べれば短く済むことが多いと感じています。そのうえで、人手が足りずに回らないなら外部の手を借りる、という順番になります。
それでも採用サイトを作るなら
応募数そのものが足りない会社、あるいは仕事の中身が求人票だけでは伝わらない会社は、制作に進んで構いません。その場合、ひとつだけ意識しておきたいことがあります。
採用サイトは、応募を集める道具であると同時に、応募した人が面接までの間に読み返す資料でもあるということです。一日の仕事の流れ、実際の勤務例、選考がどう進みどれくらいで連絡が来るのか。こうした情報が載っていると、応募後の不安を静かに減らしてくれます。見栄えの良い写真やメッセージよりも、こちらのほうが辞退防止には効きやすいものです。
そして、サイトを公開したあとに応募が増えたら、その応募を受ける体制が追いついているかを確認してください。入口を広げた結果、対応しきれずに取りこぼしが増えては本末転倒です。応募が増える前提で動くなら、受け皿の準備は同時に進めておきたいところです。応募数が少ない段階での打ち手の順番については応募が少ない会社が、応募を増やす前にやるべきことでも触れています。
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「制作に進むべきか、先に応募後を直すべきか」の切り分けだけでも構いません。自社の状況をどう判断すればよいか迷われている方は、こちらからお気軽にご相談ください。サービス責任者の佐々木純平が、御社の数字を一緒に確認いたします。
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