応募者に送るメールの文面は、総務担当のパソコンの「デスクトップ」にあります。求人票の最新版は、媒体の管理画面にログインしないと確認できません。面接の案内文は、過去に送ったメールの送信済みフォルダから探します。残業時間を聞かれたときの答えは、社長の頭の中にあります。

書いたものが無いわけではないのです。あるのに、それぞれ別の場所にあって、必要になるたびに誰かが探している。この「探す時間」は一件ごとは数分でも、応募のたびに、担当が替わるたびに、何度も発生します。この記事では、新しく何かを作る話ではなく、すでにある文書をどこに置き、どう整理しておくかに絞って整理します。

散らばっていること自体が、対応を遅らせる

応募者から電話がかかってきて、「募集要項に書いてあった手当について詳しく聞きたい」と言われたとします。求人票の原稿が手元にすぐ出てこなければ、「確認して折り返します」になります。折り返しが夕方になれば、相手はもう別の会社と話しているかもしれません。

散らばった状態では、こうしたことが起きやすくなります。

とくに求人票と口頭説明のずれは、条件そのものより信頼を損なう形で効いてきます(求人票と面接での説明がずれると、辞退される)。原稿と連絡文が同じ場所にあれば、書いてあることと言っていることを突き合わせるだけで防げる話です。

共有フォルダ1つ、ファイル1本に集める

やることは単純です。採用に関する文書の置き場所を1か所に決め、その中に1本のファイルを作って、中身を章立てで並べます。

フォルダはクラウドでも社内サーバーでも構いません。大事なのは「採用のことはここを見る」と全員が言える場所が一つあることです。ファイルはWordでもGoogleドキュメントでもExcelでも、社内で開ける形式で構いません。

中身の構成は、応募者と接する順番に並べると迷いません。

章入れるもの
0. 目次・更新日各章の見出しと、最後に直した日付
1. 募集中の求人媒体名、職種、掲載中の条件(給与・勤務時間・休日)
2. 応募受付自動返信の文面、応募が届く通知先
3. 初回連絡電話の第一声、SMS・メールの文面
4. 面接案内日程確定メール、会場までの道順、持ち物・服装
5. よく聞かれる質問と答え残業、休日、シフト、昇給、教育体制
6. 面接後〜内定合否連絡の文面、内定時に渡す書類の一覧

既存の文書をコピーして貼るだけで、半日もかからず形になります。新しく書き起こすのは5章の「よく聞かれる質問と答え」くらいでしょう。これは社長や現場責任者に口頭で聞いて、一問一答で書き留めれば十分です。

冒頭に目次と更新日を置くのは、見る人が「これは今も有効な情報か」を判断できるようにするためです。更新日が1年前のままなら、読む人は条件を疑ってかかります。日付が入っているだけで、どこを確認すべきかの判断がつきます。

なお、応募受付から面接設定までの手順そのものを文書化する話は別の論点です。手順を書く段階から始めたい場合は応募対応マニュアルの作り方。1日で書ける最小構成をあわせてご覧ください。この記事で扱っているのは、すでに手元にある文書の置き場所と整理です。

誰が更新するかを決めておく

集約したファイルは、放っておくと必ず古くなります。時給を上げた、休日を変えた、面接場所が変わった。現物は変わっているのに、ファイルの中だけ古い条件が残っている状態は、散らばっていたときより危険です。全員がそこを信じて読むからです。

決めておくことは3つだけで足ります。

1. 更新する人を1人決める 章ごとに分けず、一人が全体を触る形が運用しやすいものです。総務担当でも構いません。情報の出どころは社長や現場でも、書き換える手は一つにまとめます。

2. いつ直すかを決める 「条件を変えた日」と「掲載を出す前」の2つを基本にします。たとえば募集を出す前に必ず1章と5章を読み返す、と決めておくだけで、古い条件のまま応募を受けてしまう事故が減ります。

3. 直したら更新日を書き換える 中身を直して日付を直し忘れると、信頼できるファイルではなくなります。日付の書き換えまでをワンセットにしてください。

この運用ができていると、担当者が替わったときの引き継ぎが別作業になりません。日々の記録と文書がそのまま引き継ぎ資料になる考え方は、採用担当が辞めたら止まる会社。応募対応の引き継ぎ設計でも触れています。

紙で持つ場合は、置き場所と差し替えを決める

パソコンを日常的に開かない職場もあります。電話の近くに人がいて、その人が応募者からの着信を受ける。そうした環境では、紙で持つほうが実際に使われます。

紙にする場合は、次の3点を決めておくと運用が崩れにくくなります。

紙で持つ場合でも、元のデータは共有フォルダに置いておきます。紙は印刷物、データが原本という関係を崩さないことです。条件を聞かれたときに誰が出ても同じ答えを返せる状態は、電話の一次対応の質にもそのまま効いてきます(誰が電話に出ても同じ対応にする。応募者からの着信の受け方)。

まずは「探した時間」を思い出すところから

今週、採用に関する何かを探した場面を思い出してみてください。メールの送信済みフォルダをさかのぼった、媒体の管理画面にログインした、社長に電話で確認した。その一つひとつが、集約されていれば発生しなかった時間です。

仮に、応募1件あたり10分探しているとします。月に10件応募があれば100分。年間では20時間近くになります。あくまで仮の数字ですが、半日で作れるファイル1本が消せる時間としては、小さくありません。

作ること自体は難しくありません。難しいのは、作ったものを古びさせずに回し続けることのほうです。更新する人を決め、直すタイミングを決め、日付を書き換える。この3つが続く体制になっているかを、一度確認してみてください。

社外採用部は、中小企業の採用事務局として、母集団形成から応募の受付・初回連絡・日程調整・面接前後のフォロー、内定や入社までのフォローを社外から担います。連絡文や案内の整備、情報の置き場所の設計もその一部です。面接そのものと採否の判断は御社が行い、それ以外の実務をこちらで引き受ける形です。料金は月額49,800円〜、初回設計費100,000円。以降は支援内容と工数に合わせて個別にお見積りします。

「文書を整える時間が取れないまま応募だけ来ている」という状況でしたら、一度ご相談ください。現状の持ち物を見せていただくところから始められます。

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