退職が重なった、新しい現場が立ち上がる、事業を少し広げたい。理由はさまざまですが、「今期は3人採りたい」という場面は中小企業にも定期的に訪れます。そのときまず頭に浮かぶのは、「1人採るのに前回これくらいかかったから、3人なら3倍か」という計算ではないでしょうか。

結論から言えば、この見積もりは半分当たっていて、半分外れています。費用のなかには人数が増えてもほとんど変わらないものと、人数以上に膨らむものが混ざっているからです。そして多くの会社でつまずくのは、金額として見えやすい前者ではなく、見えにくい後者のほうです。

人数が増えても増えない費用、人数以上に増える費用

採用にかかるものを、ざっくり3つに分けてみます。

分類内容3人採用になったときの動き
まとめられる費用求人原稿の作成、媒体への掲載、会社説明の資料、連絡文テンプレートほぼ変わらない。1本の掲載で複数名の募集ができる
半分まとめられる費用面接枠、面接官の拘束時間、職場見学の案内同じ日に複数名を入れれば移動や準備の手間は共有できる
人数分かかる費用応募1件ごとの電話・SMS・日程調整・リマインド・合否連絡・入社手続き応募数に比例して増える。むしろ比例以上に増えやすい

求人広告は、1名募集でも3名募集でも掲載料が3倍になるわけではありません。同じ原稿で複数名を募集でき、面接も「毎週水曜の午後に3枠」とまとめれば、面接官が段取りを切り替える手間は1人ずつバラバラに実施するより少なくて済みます。この部分だけを見れば、複数名採用は明らかに効率的です。

一方で、応募者一人ひとりへの連絡は、人数分そのまま発生します。しかも、応募が同じ週に集中すると、1件あたりにかかる時間まで伸びていきます。応募10件を1人で回すと何時間かかるのかでも触れたように、件数が増えると「誰にどこまで連絡したか」を確認する時間や、取り違えを防ぐ確認作業が上乗せされるためです。

歩留まりが落ちると、安くなるはずが高くつく

複数名採用で起きやすいのは、応募が増えたのに対応が追いつかず、面接まで進む割合が下がることです。

仮の数字で考えてみます。1名採用のとき、応募10件のうち6件が面接に進み、最終的に1名が入社したとします。面接設定率は60%です。ここで3名採用に切り替え、応募が30件届いたとしましょう。対応体制が変わらないまま件数だけ3倍になると、初回連絡が翌日以降にずれ、面接設定率が仮に35%まで落ちることがあります。すると面接に進むのは約10件。1名あたりの面接数は1名採用時と同じ6件を割り込み、採用までたどり着かない可能性が出てきます。

足りなければ掲載を追加するか、期間を延ばすことになります。つまり、まとめられるはずだった掲載費が2回分かかり、応募1件あたりの対応時間も増え、結果として1人あたりの採用単価は上がります。採用単価の計算方法と下げ方で整理した通り、分母である採用人数が伸びなければ、どれだけ広告を足しても単価は下がりません。

「3人採るから3倍の予算を」という発想が危ういのは、ここです。増やすべきは広告費ではなく、増えた応募をさばく力のほうであることが少なくありません。

先に数字で確認する3ステップ

人数を増やすと決めたら、求人を出す前に次の順で確認してみてください。

1. いまの面接設定率を出す

過去の採用で、応募何件に対して何件が面接まで進んだか。この1つの数字が、必要な応募数を決めます。計算と記録の仕方は面接設定率という指標にまとめています。

2. 必要な応募数を逆算する

仮に、面接設定率50%、面接から内定が3件に1件、内定承諾が8割だとします。1名採用に必要な応募数は、1 ÷ 0.8 ÷ 0.33 ÷ 0.5 で、おおよそ8件。3名なら24件前後が目安になります。

3. その応募数を処理できるか確かめる

応募24件を、たとえば1ヶ月で受けるとします。1件あたり電話・SMS・日程調整・リマインド・結果連絡で合計40分かかるとすれば、16時間。面接官の時間はこれとは別に必要です。この16時間を、誰がいつ出すのか。ここまで出して初めて、3人採用のコストが見えてきます。

確認項目1名採用(仮)3名採用(仮)
必要な応募数8件24件
応募対応の工数約5時間約16時間
面接実施回数4回12回
掲載費1回分1回分(まとめられる)

※いずれも仮の数字です。自社の歩留まりに置き換えて計算してみてください。

増員のときに先に強化すべき工程

この試算から見えてくるのは、複数名採用で先に手を入れるべきなのが「応募を集める工程」ではなく「応募が届いたあとに詰まる工程」だということです。優先度の高い順に挙げると、次のようになります。

いずれも大きな投資ではありませんが、応募が集中してからでは整える時間が取れません。求人を出す前の週にやっておく作業です。

一人分の人件費で、増員期だけ体制を厚くする

とはいえ、年に一度あるかないかの増員のために、採用担当を一人雇うのは現実的ではありません。かといって、総務や社長が通常業務のまま3倍の応募対応を抱えれば、どこかで対応が雑になります。

社外採用部は、中小企業の採用事務局として、この部分を社外から引き受けるサービスです。求人・媒体・スカウトの運用といった母集団形成から、応募の受付、初回連絡、日程調整、面接前後のフォロー、内定・入社フォローまでを、採用の局面に合わせて担当をアサインして支援します。一人分の人件費で、新卒・中途、候補者対応や学校まわりといった複数の役割を使い分けられる点が特徴です。面接そのものと採否の判断は御社に残りますので、社長や現場責任者の時間は「会って見極める」ことに集中できます。

料金は月額49,800円〜、初回設計費100,000円。以降は支援内容と工数に合わせて個別にお見積りします。応募1件あたりの従量課金ではないため、応募が集中する月でも費用が跳ね上がりません。

「今期は複数名採りたいが、いまの体制で回るか分からない」という段階でかまいません。自社の歩留まりと必要な応募数を一緒に並べるところから、お問い合わせよりご相談ください。