「応募対応にどれくらい時間をかけていますか」とお聞きすると、多くの経営者が「そんなに時間はかかっていないと思う」とお答えになります。電話は3分、メールは5分。一つひとつは短い作業なので、感覚としては当然です。

ところが実際に工程を書き出して積み上げてみると、月10件の応募でも半日から丸一日分の時間が消えていることが少なくありません。この記事では、応募1件に何回の接触が発生し、それが10件でどれだけの時間になるのかを分解します。人を増やすか外に出すかを考える前の、素の数字づくりとして読んでいただければと思います。

応募1件に、何回の接触が発生しているか

まず「1件の応募が完了するまで」に発生する作業を並べてみます。以下はあくまで仮の目安で、業種や職種によって前後します。ご自身の会社の実態に置き換えながら見てください。

工程1件あたりの回数の目安1回あたりの時間(仮)
応募通知の確認・応募内容の確認1回3分
初回の電話1〜3回3分
SMS・メールでの初回連絡/折り返し依頼1〜2通5分
面接枠の社内確認(面接官の予定確保)1〜2回5分
日程調整のやり取り2〜4往復3分
前日のリマインド1回3分
面接後の連絡・合否連絡1〜2回5分
不採用連絡1回5分
記録・社内共有都度5分

注目していただきたいのは、回数に幅がある行です。電話も日程調整も、一発で決まれば1回ですが、つながらなければ2回、3回と増えます。応募対応の工数は「作業の種類」ではなく「うまくいかなかった回数」で膨らむ、という性質があります。

電話がつながらない前提での連絡設計については、応募者に電話がつながらない。SMS・メールを組み合わせた連絡の順番もあわせてご覧ください。

10件分を積み上げてみる

すべての応募が同じ時間を消費するわけではありません。面接まで進む人と、途中で連絡が取れなくなる人、不採用になる人では工程数が違います。ここでも仮の数字で積み上げてみます。

たとえば月10件の応募のうち、面接まで進むのが4件、面接に至らないのが6件だとします。

合計すると、60分 × 4件 + 25分 × 6件 = 390分、およそ6.5時間。面接そのものの時間(1件30〜60分)は別途かかりますから、面接4件を加えれば、月に8〜10時間程度が応募対応に使われている計算になります。

これは「月10件」というごく控えめな応募数での話です。しかも1日あたりに直せば20〜30分程度なので、日々の感覚としてはほとんど意識に上りません。まとまった時間として認識されないまま、他の業務の合間に少しずつ削られていく。これが応募対応の工数が見えにくい理由です。

この時間を金額に置き換える手順は、社長と総務が採用に使っている時間は、いくらのコストかで詳しく扱っています。まず時間の量を出し、次に単価を掛ける、という順番で見ていただくと整理しやすくなります。

20件、30件では、時間は倍以上に伸びやすい

ここが本題です。応募が10件から20件になったとき、必要な時間は単純に2倍にはならず、それ以上に伸びることが多くあります。理由は3つあります。

1つ目は、追いかけ連絡の重複です。 件数が増えると初回連絡が後回しになり、応募からの経過時間が延びます。時間が経つほど電話はつながりにくくなり、1件あたりの接触回数が2回、3回と増えていきます。つまり件数が増えると、1件あたりの単価そのものが上がるという構造です。初動の速さがなぜ効くのかは応募後1時間以内の初回連絡が、採用の歩留まりを変える理由で解説しています。

2つ目は、管理そのものが仕事になることです。 5件なら頭の中で覚えていられます。20件になると「誰にどこまで連絡したか」「返事待ちはどれか」を確認する作業が毎回発生します。作業の前に状況を思い出す時間が、件数分だけ積み上がっていきます。

3つ目は、応募が集中する時間帯が同じであることです。 応募は夜間や週末に届きやすく、対応できるのは平日日中。件数が増えても処理できる時間帯の幅は変わらないため、月曜の朝に未対応が渋滞します。渋滞した分だけ初回連絡が遅れ、1つ目の理由に戻ってくる、という循環になりがちです。

だからこそ、応募が増えたときに「今までと同じやり方で頑張る」だけでは追いつきにくくなります。件数が増える局面は、やり方を変える判断の分岐点でもあります。

増員か、外注か。判断の入口として

積み上げた時間を前に、まず切り分けていただきたいのは次の3点です。

その時間は誰の時間か。 同じ8時間でも、パート事務の8時間と社長の8時間では意味が違います。社長の時間が面接ではなく日程調整に使われているなら、金額以前に配分の問題です(社長が採用面接だけに集中すると、採用は強くなる)。

その時間は毎月あるか。 年間を通じて安定して10件来るのか、繁忙期だけ30件に跳ねるのか。恒常的なら人を増やす選択が成立しますが、波があるなら固定費を増やす判断は慎重にしたいところです。

その時間のうち、判断が要る仕事はどれか。 採否の判断や条件交渉は社内に残す仕事、受付・初回連絡・日程調整・リマインドは手順化できる仕事です。この線引きは採用担当の業務を全部書き出してみる。内製と外注の分け方にまとめています。

社外採用部は、この後者――応募の受付から初回連絡、日程調整、面接前後のフォロー、内定・入社フォローまでを社外の採用事務局としてお引き受けするサービスです。料金は月額49,800円から、初回に設計費100,000円をいただき、以降は支援内容・工数に合わせて個別にお見積りします。応募が増えた月だけ工数が膨らむ、という波にも合わせて相談できます。

まずは自社の応募件数と工程を書き出して、時間を積み上げてみてください。そのうえで「この時間の使い方でよいのか」と迷われたときは、お問い合わせからご相談ください。御社の応募件数をうかがったうえで、どこまでを外に出せるか、サービス責任者の佐々木が一緒に整理いたします。