求人を出せば応募はある。けれど面接まで進まない、あるいは面接はしたのに「他社に決まりました」と言われる。求人票の時給や給与を見直しても、結果があまり変わらない。そんな状況が続いているとしたら、問題は自社の中だけでは見えていないかもしれません。
求職者は、たいてい1社だけに応募していません。通勤できる範囲にある似た条件の会社を何社か並べて、同じ週のうちにまとめて応募します。つまり御社は、応募が届いたその瞬間から、近隣の数社と同時に比べられている最中にいます。この記事では、何で比べられているのか、そして条件以外のどこで差がつくのかを整理します。
比較は「応募ボタンを押したあと」に本格化する
求人を見ている段階での比較は、実はそれほど厳密ではありません。給与、勤務地、休日、仕事内容。この4つがおおむね許容範囲に入っていれば、求職者はとりあえず応募します。複数社に応募するのは、迷っているからではなく、まだ判断材料が足りないからです。
判断材料が集まり始めるのは、応募したあとです。どこから最初に連絡が来たか。その電話で何を聞かれ、何を教えてもらえたか。面接はいつに設定されたか。この段階で初めて、求職者の中に「この会社はこういう会社らしい」という像ができます。
ここで起きやすいのが、順番による脱落です。求職者が3社に応募して、うち1社が当日中に電話をくれて今週末の面接が決まったとします。残りの2社が翌々日に連絡したとき、その人の中ではすでに本命が決まっています。条件がほぼ同じなら、わざわざ後から出てきた会社の面接を受ける理由は薄い。応募後の初動がなぜ効くのかは応募後1時間以内の初回連絡が、採用の歩留まりを変える理由でも整理していますが、同じ地域に競合がいるほど、この差は決定的になりやすくなります。
比べられている相手の求人を、一度ちゃんと読む
自社がどう見えているかを知るには、求職者と同じ画面を見るのが早道です。媒体で自社の職種名と勤務地エリアを検索し、上から並んでいる求人を5〜10件ほど印刷するか、画面を保存してください。それが、御社と同時に応募されている可能性が高い会社です。
読むときの観点は、次の3つに絞ると比較しやすくなります。
| 読む観点 | 具体的に見るところ | 自社で考えること |
|---|---|---|
| 条件で並ばれているか | 給与・時給の幅、休日数、勤務時間、通勤手段 | 大きく負けている項目はあるか。並んでいるだけの項目はどれか |
| 情報量で差があるか | 1日の流れ、写真の点数、未経験者の受け入れ、教育の記述 | 同じ条件なら、情報が多いほうが選ばれやすい |
| 応募後の案内があるか | 「応募後◯日以内にご連絡します」「面接は平日夜も可」などの記述 | 応募後の動きを先に見せている会社はあるか |
多くの場合、条件そのものは地域内で大きくは離れていません。同じ商圏で同じ職種を募集していれば、相場はおのずと近づくからです。つまり、条件を数十円・数万円動かして勝ちに行くより、条件以外の部分を整えるほうが現実的なことが多い、という結論になりやすい。時給・給与を上げれば応募は増えるのか。上げる前に確認する3つでも触れていますが、条件改定は既存社員との整合も発生するため、順番としては後ろに置いて構いません。
条件が並んだとき、求職者が見ている3つのこと
では、条件が横並びのとき何が決め手になるのか。応募者の立場で考えると、おおよそ次の3点に集約されます。
1. 連絡が来るまでの時間 最初に連絡をくれた会社は、それだけで「自分に関心がある会社」として記憶されます。逆に数日空いた会社は、入社後も連絡が遅い会社なのではないかと受け取られることがあります。応募者は社内の事情を知りませんから、連絡の速さをそのまま会社の姿勢として読みます。
2. 最初のやり取りで、疑問がどれだけ解けたか 求人票だけでは分からないことは必ず残ります。残業は実際どのくらいか、土曜は月何回か、未経験でも本当にやれるのか。この種の疑問に初回の電話やメールで答えが返ってくると、その会社の情報だけが具体的になります。比較表の中で、1社だけマスが埋まっている状態です。
3. 面接日が、どれだけ近いか 面接日が来週の後半、あるいは再来週になると、その間に他社の面接が入り、そこで決まってしまうことがあります。初回連絡が速くても面接が遠ければ、結局は追い抜かれます。この待機期間の扱いは応募から面接まで何日空いていいか。長すぎる待機が辞退を生むで詳しく扱っています。
この3点は、どれも求人広告費を増やさずに動かせる部分です。そして、どれも「誰かが応募に気づいて、その日のうちに動く」という一点にかかっています。
勝てる土俵を、応募後につくる手順
比較される前提で考えると、やることは意外と単純です。順番に並べると次のようになります。
第一に、面接枠を先に押さえておく。 応募が来てから面接官の予定を探す運用では、候補日の提示自体が遅れます。毎週決まった曜日・時間に仮の面接枠を置き、埋まらなければ前日に解放する。この運用があるだけで「今週の木曜か金曜はいかがですか」と即答できるようになります。詳しくは面接枠が取れない。現場が忙しい会社の面接枠の作り方をご覧ください。
第二に、初回連絡で伝える内容を決めておく。 その場で答えられず「確認して折り返します」が続くと、情報が揃わないまま時間だけが過ぎます。よく聞かれる項目——残業の実際、休日の取り方、入社後の教育、試用期間の扱い——について、答えを1枚のメモにまとめ、電話を取る人全員が同じ内容を言える状態にしておきます。求人票と面接での説明がずれると、辞退されるで触れているとおり、ここで説明が食い違うと、条件以前に信頼が落ちます。
第三に、応募を受け取る人と時間を決めておく。 速さは根性では出ません。誰が、1日のどの時間に応募を確認し、連絡するか。これを予定表に固定しておかないと、忙しい日ほど後回しになります。
仮の数字で考えてみます。月に応募が10件あり、そのうち面接まで進むのが3件だとします。面接設定率は30%です。これが50%になれば、同じ応募数で面接は5件になります。応募を10件から17件に増やすのと、同じ応募数で対応を直すのと、どちらが手が届きやすいか。多くの中小企業では後者です。
比較に勝ち続けるには、止まらない仕組みが要る
難しいのは、ここまでの打ち手がどれも「毎回できていること」を前提にしている点です。社長や総務の方が本業の合間に対応している限り、忙しい週には初動が遅れます。そして求職者は、御社が忙しかった週かどうかを知りません。遅れた1回が、そのまま1人の採用を逃す形になります。
社外採用部は、中小企業の採用事務局として、求人・媒体・スカウトの運用や学校・紹介会社との接点づくりといった母集団形成から、応募の受付・初回連絡・日程調整・面接前後のフォロー、内定や入社後のフォローまでを社外から担う体制です。面接そのものと採否の判断は御社に残していただきます。候補者と会って決めるのは経営者の仕事で、そこへ至るまでの手間と速度を外から支えるのが私たちの役割だと考えています。
料金は月額49,800円〜、初回設計費100,000円。以降は支援内容と工数に合わせて個別にお見積りします。採用の局面に応じて担当をアサインしますので、一人分の人件費で複数の役割を使い分けられます。
近隣の他社と条件で差がつけられないなら、応募後の動きで差をつけるしかありません。自社の初動がいま何日かかっているか分からない、という段階でも構いません。お問い合わせはこちらから、現在の状況をお聞かせください。サービス責任者の佐々木とともに、どこから手を付けるべきかを一緒に整理します。
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