「面接をしたいのは山々だが、うちには面接できる場所がない」。事務所は社員の机で埋まっていて、応接セットもない。現場事務所はプレハブで、隣の声がそのまま聞こえる。そんな理由で面接の設定をためらったり、とりあえず近くのカフェで済ませたりしている会社は少なくありません。
面接場所の話は意外と後回しにされがちです。日程が決まってから「さて、どこでやろうか」と慌てる。その結果、当日になって場所が変わる、騒がしい席で込み入った話ができない、といったことが起こります。面接場所は設備の問題ではなく、候補者にどんな体験をしてもらうかという問題です。ここでは選択肢ごとの向き不向きを整理します。
候補者が見ているのは、部屋の立派さではない
まず前提として、中小企業の面接で「応接室が立派でなかったから辞退した」という話は、あまり聞きません。候補者が気にしているのは別のところです。
ひとつは、落ち着いて話せるかどうか。周囲に人がいて聞かれている状況では、前職を辞めた理由や希望条件といった、本来聞きたいことを候補者は話せません。もうひとつは、自分のために時間と場所が用意されていたかという感覚です。行ってみたら席が空いていなくて立ち話になった、というのは、部屋が狭いこと以上に印象を損ないやすい出来事です。
つまり判断軸は「広さ・きれいさ」ではなく「静かさ・確保されているか」。この2点を満たせるなら、会議室がなくても面接は成立します。
4つの選択肢を、印象と機密性で比べる
現実的な選択肢は次の4つです。それぞれの特徴を整理します。
| 場所 | 候補者に与える印象 | 機密性 | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| 社内の一角(休憩室・打合せ机) | 職場の雰囲気が伝わる。雑然としていると不安を与えやすい | 低〜中。時間帯の調整が要る | 現場を見てもらいたい職種、パート・アルバイト |
| 貸会議室・レンタルスペース | 中立で落ち着く。ただし会社の空気は伝わらない | 高い | 在職中の中途候補者、管理職ポジション |
| オンライン | 移動負担がなく初動が速い。温度は伝わりにくい | 双方の環境次第 | 一次選考、遠方・在職中の候補者 |
| 現場事務所・店舗のバックヤード | 実際の職場が分かる。騒音や来客に左右される | 低い | 現場配属が前提の職種 |
社内の一角を使う場合は、面接の時間帯を業務の谷間に寄せるだけで条件が大きく変わります。昼休みの喧騒を避ける、来客が重なる時間を外す。それだけで「静かさ」の問題はかなり解消します。
現場事務所を使うのは悪い選択ではありません。むしろ、入社後に働く場所をそのまま見てもらえる利点があります。ただし、他の職人や社員が出入りする場所で給与や家庭の事情を話すのは避けたいところです。込み入った話をする10分だけ別室や車内に移る、といった運用でも構いません。
オンラインを選ぶかどうかは、候補者の状況によって変えて構いません。判断の目安は一次面接をオンラインにすべき候補者、対面がいい候補者で整理しています。
カフェで面接するなら、決めておくこと
カフェ面接そのものを否定はしません。事務所から遠い候補者に来てもらう場合など、合理的な場面はあります。ただし、そのまま使うと事故が起きやすいので、いくつか決めておいてください。
- 店と席を事前に下見する。ボックス席か、隣との距離があるか。混雑時間帯も確認します
- 予約できる店を選ぶ。満席で立ち話、が最も避けたい展開です
- 給与・前職・健康状態といった個人情報に踏み込む話は最小限にする。周囲に聞こえる場所では、候補者も正直に話せません
- 代金は会社が払う。ここを候補者に払わせると、印象は一気に下がります
- 書類を広げすぎない。履歴書を机に置いたまま席を立つ、といったことがないように
そして、カフェを使うのは一次面接までにとどめ、条件のすり合わせや最終面接は自社の場所で行う。この線引きをしておくと、候補者の受け取り方はずいぶん変わります。
場所が簡素でも、事前案内で印象は落ちない
同じ「休憩室での面接」でも、事前に何を伝えているかで候補者の受け取り方は変わります。何も言わずに通されると「軽く扱われた」と感じ、先に伝えてあれば「聞いていたとおり」になります。
面接日程が決まったら、次の内容を案内文に入れてください。
- 住所と目印。地図リンクだけでなく「◯◯銀行の向かい、白い2階建て」のように文章でも書く
- 入口と受付の方法。「正面入口からお入りいただき、事務所の者にお声がけください」
- 駐車場の有無と停める位置。現場や店舗なら特に重要です
- 場所の実態を先に伝える一言。「弊社は小さな事務所のため、打合せスペースでの面接となります。ご了承ください」
- 当日つながる携帯番号
4つ目を書くことをためらう方がいますが、隠すより先に言ったほうが信頼されやすいものです。会社の規模を正直に伝えることは、マイナスにはなりません。案内文の詳しい組み立ては面接会場にたどり着けない。道順案内が当日キャンセルを生むもあわせてご覧ください。
貸会議室を使う場合は、建物名・フロア・部屋番号まで書きます。ビル内で迷って遅刻、というのはよくある話です。
場所の確保まで、誰が手配していますか
面接場所の問題は、設備投資の話に見えて、実際は段取りの話です。誰が部屋を押さえ、誰が案内文を書き、誰が当日の鍵を開けるのか。これが決まっていないと、面接のたびに社長が調整することになります。
社外採用部では、応募の受付から日程調整、面接前後のフォローまでを採用事務局として代行しています。面接場所の案内文の作成や前日リマインドも含め、候補者との連絡まわりを引き受ける形です(月額49,800円〜、初回設計費100,000円、以降は支援内容・工数に合わせて個別にお見積り)。社長や現場の責任者には、面接そのものに集中していただく。その分担のつくり方は社長が採用面接だけに集中すると、採用は強くなるでも触れています。
会議室がないことは、採用ができない理由にはなりにくいものです。静かに話せる時間を確保し、それを先に伝える。まずはそこからで十分です。面接前後の段取りにお困りでしたら、お問い合わせからお気軽にご相談ください。サービス責任者の佐々木純平が、御社の状況をうかがったうえで進め方をご提案します。
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