現場の平均年齢が上がり、一番腕のいい職人があと数年で定年を迎える。そろそろ若い人を入れないと技能が途切れる——そう分かっていながら、求人を出しても応募がない、あるいは来ても続かない。従業員十数名の金属加工や板金の工場では、よく聞く話です。
技能職の採用が難しいのは、募集の出し方が悪いからというより、若い人に届く入口を会社が持っていないことが多いためです。ここでは、入口を4つのルートに分けて手間と立ち上がりを整理し、未経験者に自社の仕事をどう見せるか、そして教える側のベテランをどう巻き込むかまで、順を追って考えます。
若手に届く入口は4つある。それぞれ時間軸が違う
技能職の若手を採る入口は、大きく4つに分かれます。重要なのは、どれが優れているかではなく、結果が出るまでの時間が違うという点です。
| ルート | 手間 | 立ち上がり | 向いている状況 |
|---|---|---|---|
| 工業高校 | 求人票提出・学校訪問。年1回の周期 | 1〜2年。初年度は関係づくり | 18歳から育てたい。寮や通勤手段がある |
| 職業訓練校 | 施設への情報提供・見学受け入れ | 数ヶ月〜1年 | 20〜30代の転職者。基礎を学んだ人が欲しい |
| ハローワーク | 求人票作成と更新。費用はかからない | 数週間〜 | すぐ1人欲しい。地元の経験者も含めて探す |
| 地域のつながり | 社員・取引先・商工会への声かけ | 不定期。タイミング次第 | 継続的に声をかけ続けられる |
ここでよくあるのが、「来月までに1人」と焦ってハローワークだけに賭け、応募がないまま半年が過ぎるパターンです。実際には、すぐ効く入口と、2年後に効く入口を同時に動かしておくのが現実的です。学校への求人票は今年出しても採用は来年以降ですが、出さなければ来年も再来年もゼロのままです。
高校への求人票の出し方は高校・専門学校への求人票提出。学校とのつき合い方の基本に手順をまとめていますので、あわせてご覧ください。ハローワーク経由の応募は媒体とは実務が違うため、ハローワーク経由の応募は、対応の仕方が違うも参考になります。
職業訓練校という、見落とされやすい入口
工業高校に比べて、職業訓練校(ポリテクセンターや都道府県の職業能力開発施設)は中小企業からの接触が少ない傾向があります。ここには、前職を辞めて金属加工や溶接を学び直している20代・30代が通っています。基礎的な工具の扱いや図面の読み方を学んだ状態で、しかも自分の意思で技能職を選んだ人たちです。
やることはシンプルで、最寄りの施設に連絡し、求人情報を掲示してもらえるか、見学や説明の機会があるかを聞きます。訓練には修了時期があるため、その時期の少し前に接触できると噛み合いやすくなります。
学校も訓練校も、共通して見ているのは「この会社に生徒を送って大丈夫か」という一点です。給与や休日の条件はもちろんですが、教える体制があるか、過去に入った人が続いているかを気にします。初年度から応募が来るとは限りません。それでも訪問し、工場を見てもらい、顔を覚えてもらうことが翌年の紹介につながりやすくなります。
未経験者には、機械名ではなく「一日」と「製品の行き先」を見せる
求人票に「NC旋盤・マシニングセンタ・ベンダー曲げ」と書いても、未経験の20歳には何も伝わりません。かといって「アットホームな職場」では、他社と区別がつきません。
技能職の未経験者に効きやすいのは、次の3点です。
1. 一日の流れを時刻入りで書く 朝礼が何時で、どの作業を何時間、昼休みはいつ取れて、終業は何時か。残業が月にどれくらいあるのか。曖昧にせず書くほど、候補者は自分の生活を想像できます。
2. 作った製品がどこへ行くかを言う 「鉄を曲げる仕事」ではなく、「この部品が◯◯の機械に入っている」「建物のこの部分に使われる」と言えると、仕事の意味が立ち上がります。守秘上書けない場合でも、業界や用途のレベルまでなら伝えられることが多いものです。
3. 1年目・3年目に何ができるようになるかを書く 最初の数ヶ月は何をして、いつ頃から一人で機械を動かせるのか。資格取得の支援があるなら、どの資格を何年目に取る人が多いか。技能職を選ぶ人は「手に職がつくか」を見ているので、ここが具体的なほど伝わります。
そして、写真です。工場の外観だけでなく、機械と、実際に作業している手元と、製品そのもの。スマホで構いません。撮り方は求人に載せる写真を、スマホで撮るときの決め方に整理しています。
文字で読ませるより、見学に来てもらうほうが早いこともあります。応募前の「まず見てみたい」という問い合わせをどう受けるかは、応募の前に職場見学を受ける。問い合わせ段階の受け方をご覧ください。
教える側のベテランを、採用の前に巻き込む
若手が入ったあとに「誰が教えるんだ」と現場でもめる。これは技能職の採用でとても起きやすいことです。ベテランは自分の仕事を抱えており、教えることが評価されていないと感じていれば、新人は歓迎されません。
巻き込み方のコツは、大きく頼まず、小さく頼むことです。
- 「若手を育ててくれ」ではなく、「見学に来る子に、この機械の説明を10分だけしてほしい」
- 「指導係になってくれ」ではなく、「最初の2週間、朝の30分だけ見てやってほしい」
- 「求人を手伝ってくれ」ではなく、「この仕事の面白いところを一言で言うと何ですか」と聞く
最後のひとつは、求人原稿の材料にもなります。ベテランが自分の言葉で語った一言は、経営者が考えたキャッチコピーより候補者に届くことがあります。
もうひとつ、ベテランに伝えておきたいのは「あなたが引退する前に、技能を残す人を入れたい」という目的です。人手不足の穴埋めではなく、技能継承のための採用だと分かれば、態度が変わる方もいます。現場の巻き込み方の順番は現場が採用に協力してくれない。巻き込み方の順番で詳しく扱っています。
入口を増やすほど、応募後の対応が追いつかなくなる
4つのルートを動かすと、応募の入り口がばらけます。学校からは電話、ハローワークからは紹介状を持った来社、求人サイトからはメール通知。しかも、工場は日中稼働していて、社長も工場長も機械の前にいます。
応募から面接設定までの間に数日空くと、若い候補者は別の会社に決めてしまいます。せっかく学校や訓練校との関係を作っても、応募後の初動で落としてしまえば、翌年の紹介も細くなります。ここを支えるには、
- 応募の通知先を一箇所にまとめる
- 折り返しの時間帯をあらかじめ決めて、求人票にも書いておく
- 面接枠を週のどこかに仮押さえしておく
といった段取りが要ります。製造現場の兼務体制でこれを回す型は製造業の採用。総務兼務のままでも回る応募対応の型に、面接枠の作り方は面接枠が取れない。現場が忙しい会社の面接枠の作り方にまとめています。
とはいえ、社長と工場長が現場に立ちながら、学校訪問も訓練校への連絡も応募対応も、というのは現実には難しいものです。社外採用部は、求人・媒体運用やスカウト、学校・紹介会社との接点づくりといった母集団形成から、応募の受付・初回連絡・日程調整・面接前後のフォロー、内定と入社のフォローまでを、御社の採用事務局として引き受けます。面接そのものと採否の判断は御社に残し、その前後を社外から支える形です。料金は月額49,800円〜、初回設計費100,000円。支援内容に応じて個別にお見積りします。
「学校と関係を作りたいが手が回らない」「応募は来るのに面接まで進まない」。そんな段階でしたら、まずは現状をお聞かせください。ご相談はお問い合わせから承ります。
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