求人媒体やエージェント経由でエンジニアの応募が届いた。経歴を見るかぎり悪くない。ただ、使っている言語やフレームワークが自社の案件と合うかどうかは、開発部長に見てもらわないと判断がつかない。そう思って社内チャットに経歴書を流したまま、返事が来たのは二日後——。中小のIT・システム開発会社で、この流れは珍しいものではありません。

そして二日後に「一度会ってみましょう」と決まって連絡すると、すでに「他社で選考が進んでおりまして」と返ってくる。応募は取れているのに面接まで進まない会社の多くは、書類の見極めが甘いのではなく、見極めが終わるまで候補者を待たせている点でつまずいています。

エンジニアの応募は「同時進行」が前提になっている

エンジニア採用が他職種と違うのは、候補者がほぼ確実に複数社を並行して見ている点です。転職サイト、スカウト媒体、エージェント、知人からの紹介。これらを同時に走らせ、先に面談日が確定した会社から順に話が進んでいきます。

しかも在職中の方が大半です。平日の日中は自社の開発業務があり、面談に使えるのは夜か土日、あるいは有給を取った日に限られます。つまり候補者の「面談に使える枠」自体が少なく、その少ない枠は早く声をかけた会社から埋まっていきます。

ここで効いてくるのは、選考の丁寧さよりも先に「いつ会えるかが決まっているかどうか」です。二日後に届いた丁寧な文面よりも、当日に届いた「今週木曜の19時か、来週火曜の19時はいかがでしょうか」のほうが、候補者の予定表に残ります。初動の速さが歩留まりに効く理屈は応募後1時間以内の初回連絡が、採用の歩留まりを変える理由でも整理しています。

返信が遅れる原因は、担当者の怠慢ではなく構造にある

応募対応が遅れる会社の多くは、担当者がサボっているわけではありません。むしろ「技術的な判断は自分にはできない」という真っ当な認識が、かえって連絡を止めています。

構造を分解すると、だいたい次のようになっています。

  1. 応募通知が総務または社長宛に届く
  2. 技術要件に合うか分からないので、開発責任者に経歴書を転送する
  3. 開発責任者は客先常駐やリリース対応で、チャットを見るのが夜
  4. 「悪くないと思います」と返ってくるのが翌日〜翌々日
  5. そこから初めて候補者へ連絡し、日程調整を始める

一件ずつ見れば誰も悪くありません。しかし候補者側から見れば、応募してから最初の反応まで二日間、無音の時間が続いたことになります。この間に他社の面談が入れば、こちらの優先順位は自然に下がります。

直すべきは「開発責任者にもっと早く見てもらう」ことではありません。現場の負荷は変わらないからです。直すのは、技術判断を待たなくても出せる連絡を、先に出してしまうという手順のほうです。

一次返信と技術確認を、別の仕事として切り分ける

応募対応を「書類を見て合否を決めてから連絡する」一本の流れで捉えると、必ず現場の判断待ちが挟まります。これを二本に分けます。

工程担当目安の時間内容
一次返信事務・総務・事務局応募当日受付の御礼、担当者名、カジュアル面談の候補日を3つ提示
技術確認開発責任者翌営業日まで経歴書を見て、見送り/面談可/要相談の3択で返す
面談前の共有事務・総務・事務局面談2日前まで確認したい技術領域を面談担当へ引き継ぐ

一次返信の段階では、まだ採否を決めていません。決めていないからこそ、その日のうちに出せます。ここで伝えるのは「応募を受け取ったこと」「誰が担当するか」「いつなら話せるか」の3点で足ります。

技術確認は翌営業日でも構いません。仮に「面談前に見送りと判断した」場合は、提示した日程を取り下げる連絡を丁寧に入れればよいだけです。実際には、一次返信で日程を押さえたうえで見送りになる件数はそれほど多くなく、むしろ面談枠が空振りするコストより、返信が遅れて候補者を失うコストのほうが重いことが多いと感じています。

なお、見送り判断を誰が最終的に下すのかが曖昧だと、この二本立ても機能しません。判断者と裁量の決め方は採用の決裁ラインを決める。誰が最終判断するかで連絡は速くなるにまとめています。

選考の前に、カジュアル面談を一段置く

エンジニア採用では、いきなり一次面接を設定するより、30分程度のカジュアル面談を先に置いたほうが日程が決まりやすくなります。理由は単純で、候補者側のハードルが低いからです。

そして会社側にとっても、経歴書だけでは読み取れない部分——どの工程を担当してきたのか、どんな開発体制を好むのか——を、本人の言葉で確認できます。書類の技術確認に二日かけるより、30分話したほうが早いことも少なくありません。

カジュアル面談の枠は、応募が来てから探すのではなく、あらかじめ週に何コマか仮押さえしておく運用が向いています。枠の作り方は面接枠が取れない。現場が忙しい会社の面接枠の作り方を参考にしてください。オンラインと対面の使い分けについては一次面接をオンラインにすべき候補者、対面がいい候補者もあわせてどうぞ。

初回連絡に何を書くかで、面談の出席率が変わる

同じ「日程を送るだけ」の連絡でも、書く内容によって候補者の温度は変わります。エンジニアの方が知りたがる情報は、ある程度決まっています。

使用技術:言語やフレームワーク、クラウド環境、バージョン管理の方法。求人票に書いてあっても、担当する案件で実際に何を使うのかを一行添えるだけで具体性が出ます。

開発体制:自社開発か受託か、常駐があるか。チームの人数、レビューの有無、設計工程に関われるか。ここが曖昧なまま面談に来てもらうと、当日に認識のずれが露見して双方の時間を使います。

リモート可否と働き方:週何日出社か、フルリモートの可否、コアタイム。条件面の中でも、候補者が比較軸にしやすい項目です。曖昧に濁すより、「原則週2日出社、案件により変動」のように現状を素直に書いたほうが信頼されます。

たとえば仮の数字で、月に応募が8件あるとします。そのうち初回連絡が翌々日になっている件が半分あれば、4件分の面談機会が構造的に失われている計算になります。広告費を積んで応募を10件に増やすより、この4件を取り戻すほうが先だという見方もできます。


エンジニアの応募対応は、技術が分かる人でないと務まらないように見えて、実際に速さを左右しているのは受付・一次返信・日程調整という事務工程です。ここを社内の誰かの手が空くまで待たせている限り、返信はどうしても遅れます。

社外採用部は、応募の受付から初回連絡、日程調整、面談前後のフォロー、内定・入社フォローまでを社外の採用事務局としてお引き受けするサービスです(月額49,800円〜、初回設計費100,000円、以降は支援内容・工数に合わせて個別にお見積り)。技術の見極めは御社の開発責任者に残したまま、その手前の「待たせない連絡」だけを外に出す、という組み立て方ができます。サービス責任者の佐々木純平が、現在の応募の流れをうかがったうえで設計をご提案します。

応募は来ているのに面談が組めていない、という状態が続いているようでしたら、お問い合わせからご相談ください。