求人を出していると、応募とは別に「一度見学させてもらえませんか」「職場の雰囲気を見てから考えたいのですが」という問い合わせが届くことがあります。電話のこともあれば、媒体のメッセージ機能やホームページの問い合わせフォームから来ることもあります。
こうした連絡は、対応する側からすると少し扱いに困るものです。応募者ではないので選考のフローに乗せられない。かといって断るのももったいない。結果として「では今度ご都合のよいときに」と曖昧に返したまま、連絡が途切れてしまう。あるいは見学には来てもらえたものの、案内して終わりで、その後どうなったのか分からない。応募前の問い合わせは、受け方を決めていない会社ほど取りこぼしやすい入口です。
「まず見学したい」は、応募の一歩手前の合図
見学を希望する人は、その会社に関心がないわけではありません。むしろ関心があるからこそ、応募という形で名前と経歴を出す前に、自分の目で確かめておきたいと考えています。働く場所の雰囲気、設備の古さ新しさ、そこにいる人の表情。求人票の文字では分からない部分を見てから決めたい、という慎重さの表れです。
特に、転職回数を重ねたくない方、通勤距離が微妙な方、未経験から業種を変えようとしている方、ご家族の了解を得てから動きたい方などは、この段階を挟みたがる傾向があります。言い換えれば、見学の問い合わせをしてくる人は、入社後のミスマッチを自分でも避けようとしている人でもあります。
ですから、「見学だけの人」と区別して扱うのではなく、応募の一歩手前にいる候補者として受けるほうが自然です。求人を出して応募を待つことだけが母集団形成ではありません。見学や問い合わせという形で接点ができた人も、立派な母集団の入口です。
問い合わせを受けた日の案内。順番を間違えない
見学の問い合わせへの返しで差がつくのは、案内の順番です。ありがちなのは、先に「応募いただければ面接の際に職場もご覧いただけます」と返してしまうこと。相手は応募を保留したくて連絡しているので、ここで条件を付けると引いてしまいます。
逆に、「いつでもどうぞ」とだけ返すのも、相手を動かしません。日時が決まらない誘いは実現しにくいものです。
順番としては、(1) 見学を歓迎する姿勢を先に伝える、(2) こちらから具体的な日時候補を2〜3件出す、(3) 当日の所要時間と見られる範囲を伝える、(4) 応募の話は当日または当日以降に置く、という流れが無理がありません。
文例です。
○○様 お問い合わせありがとうございます。ぜひ一度ご覧いただければと思います。 現場が落ち着いている時間帯ですと、下記あたりでご案内できます。 ・10月14日(火)14:00〜 ・10月16日(木)10:30〜 ・10月18日(土)11:00〜 所要30〜40分ほどで、作業場と休憩室をご覧いただき、現場の責任者から仕事の流れをご説明します。服装は普段着で構いません。 ご都合が合わない場合は、ご希望の曜日・時間帯をお知らせください。
ポイントは、この段階では履歴書も応募も求めないことです。氏名と連絡先、来られる日時が分かれば足ります。応募前に書類を求めると離脱が起きやすいのは、通常の応募対応と同じ構造です(履歴書はいつ求めるべきか。応募直後に頼むと離脱する)。
なお、問い合わせへの返事が数日後になると、見学への関心そのものが冷めます。応募者への初回連絡と同じく、当日中の返信を基本にしたいところです(応募後1時間以内の初回連絡が、採用の歩留まりを変える理由)。
当日は何分で、どこまで見せるか
見学は、長ければよいというものではありません。相手はまだ応募すらしていない立場なので、2時間拘束されると負担に感じます。一方で10分で終わると「見た」という実感が残りません。仮の目安として、30〜45分程度で組むと収まりがよくなります。
たとえば40分で組む場合の配分です。
| 時間 | 内容 |
|---|---|
| 0〜5分 | 挨拶、来訪のお礼、当日の流れの説明 |
| 5〜20分 | 職場の案内(実際に働く場所、休憩室、更衣室、駐車場) |
| 20〜30分 | 現場の責任者から仕事の流れ・一日の動き方の説明 |
| 30〜38分 | 質問を受ける時間 |
| 38〜40分 | 今後の進め方の案内、見送り |
※これは仮の時間配分です。業種や拠点の広さに合わせて調整してください。
見せる範囲で迷ったら、「入社したらその人が実際に使う場所」を基準にすると決めやすくなります。働く場所そのものに加え、休憩室・更衣室・トイレ・駐車場といった生活動線は、見た人の印象を大きく左右します。逆に、応接室だけで話して帰ってもらうと、見学の意味が薄れます。
見せないほうがよい場面もあります。繁忙のピークで現場が殺気立っている時間帯、トラブル対応中、安全上の理由で立ち入りを制限している区画などです。無理に見せるより、時間帯をずらすほうが結果はよくなります。現場を見せる段取りの考え方は、業種によっては事前の手配が必要です(入社前に現場を見せる。建設業の見学案内の組み方)。
当日は、案内役を誰にするかも決めておいてください。社長が全て対応できればよいのですが、難しい場合は、実際に一緒に働くことになる責任者のほうが、相手には伝わりやすいことが多いです。事前に「この日の14時に見学の方が来ます。30分ほどお願いします」と伝えておくだけでも、当日の受け答えが変わります。
見学後、いつ・どんな一言で連絡するか
見学の問い合わせで最も取りこぼしが起きるのは、見学が終わったあとです。案内した側は「来てくれたし、応募するなら向こうから来るだろう」と考える。相手は「見せてもらったが、自分から応募したいと言うのは気が引ける」と考える。双方が待って、終わります。
見学は応募ではないので、会社から連絡していけない理由はありません。むしろ、来訪のお礼を兼ねた一言があるかないかで、その後の動きが変わります。連絡する期間の目安としては、当日中か翌日までに一本、その後1週間ほど反応がなければもう一本。そこで反応がなければ追わない、という線引きにしておくと、担当者も迷わずに済みます。
当日または翌日の文例です。
本日はお越しいただきありがとうございました。 実際にご覧いただいて、気になる点などございましたら、いつでもご連絡ください。 もしご検討いただけるようでしたら、次は面接という形で改めてお時間をいただければと思います。その場合は□□(媒体名)からご応募いただくか、このメールにご返信いただければこちらで手続きいたします。 ご無理のないタイミングで構いませんので、またご連絡いただけますと幸いです。
ここでは、「応募してください」ではなく「応募する方法はこれです」と道筋だけを示しています。見学に来た人は、応募の意思が固まりきっていないことが多いので、決断を迫るより、迷ったときの進み先を用意しておくほうが動いてもらえます。
1週間後に送る場合は、新しい情報を一つ添えると自然になります。「先日ご質問のあったシフトの件、改めて確認しましたので補足します」「来月から新しい設備が入りますので、ご関心があればまたご覧ください」といった具合です。用件のない連絡は送りづらいものですが、用件は作れます。
そして、応募に至らなかった場合も記録を残してください。問い合わせ日、きっかけになった媒体、見学日、話した内容、見送りの理由。これがあると、半年後に募集を再開したときに声をかけられます(応募者の記録は何を残せばいいのか。最低限の6項目)。
応募前の接触を、受けられる体制にしておく
見学の受け方を決めても、実際に問い合わせが来るのは日中、現場や接客で手が離せない時間帯です。折り返しが夕方になり、日程候補を出すのが翌日になり、そのまま流れる。これは応募対応で起きていることと同じ構造です。
対策としては、問い合わせの受け先を一箇所に決めること、見学に使える時間帯をあらかじめ週の中で仮押さえしておくこと、そして返信の文面を用意しておくことです。文面が手元にあれば、日時を差し替えるだけで数分で返せます。面接枠と同じように、見学枠も事前に押さえておくと候補日が出しやすくなります。
私たち「社外採用部」は、中小企業の採用事務局として、求人や媒体の運用といった母集団形成から、応募・問い合わせの受付、初回連絡、日程調整、面接前後のフォロー、内定・入社後のフォローまでを社外から担っています。職場見学の問い合わせを受けて日程を組み、当日の案内役への連絡を入れ、見学後のフォロー連絡まで続ける、といった実務もここに含まれます。面接そのものと採否の判断は御社にお任せし、それ以外の手を動かす部分を引き受ける形です。
料金は月額49,800円〜、初回設計費100,000円。その後は支援する範囲と工数に合わせて個別にお見積りします。担当は採用の局面に応じて当社からアサインしますので、一人分の人件費で複数の役割を使い分けていただけます。
「見学したいという連絡は来るのに、そこから先に進んでいない」という自覚があれば、流れを整理するところからご相談ください。ご相談はこちらから承ります。
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