外注を決めるところまでは進んだのに、いざ始めようとすると「で、何を渡せばいいんでしょうか」で止まってしまう。契約は済んでいるのに、最初の応募に対応できる状態になるまで何週間もかかってしまった、という話は珍しくありません。

止まる理由ははっきりしています。応募対応に必要な情報は、求人原稿は総務、給与の実態は経理、面接に出られる日は現場、最終判断は社長というように、社内のあちこちに分かれて存在しているからです。この記事では、任せる前に用意しておきたい5点を、誰が出すのか・どのくらい時間がかかるのか・揃っていないときはどう埋めるのかまで含めて整理します。

立ち上げが遅れるのは、情報が「社内のどこか」にあるから

採用の実務を外に出すとき、多くの会社は「資料を作らなければ」と考えます。ところが実際に必要なのは、新しく作る資料ではなく、すでに社内の誰かの頭の中や引き出しにある情報を、言葉にして一か所に集めることです。

たとえば「土曜は面接できますか」という質問。答えを知っているのは工場長かもしれませんし、店長かもしれません。この一問の確認に社内で3日かかると、その間に届いた応募への返答も3日遅れます。立ち上げ期の遅れは、そのまま最初の応募者の体験に跳ね返っていきます。

もうひとつ、情報が曖昧なまま走り出すと、求人に書いてあることと実際の説明がずれやすくなります。これは候補者の不信につながりやすい部分です(参考:求人票と面接での説明がずれると、辞退される)。立ち上げ時に時間をかけて確認しておく価値がある理由は、ここにもあります。

用意する5点。誰が出すかまで決める

準備するのは次の5点です。「作る」ではなく「口頭で答えられる状態にする」で十分なものも含みます。

用意するもの中身出せる人所要時間の目安
①求人原稿掲載中・掲載予定の原稿一式、過去に使った原稿総務・媒体担当15分(ファイルを集めるだけ)
②給与・シフトの実態実際の提示レンジ、残業の実態、シフトの組み方、休みの取り方経理・現場責任者60分
③面接可能枠誰が面接官で、何曜日の何時なら出られるか社長・現場責任者30分
④決裁ライン書類選考・合否・条件提示を誰が決めるか、不在時は誰か社長30分
⑤よくある質問の答え候補者から毎回聞かれることへの回答面接経験者60分

合計すると、おおよそ3時間半。一度に取るのが難しければ、30分ずつ分けても構いません。大事なのは「来週の打ち合わせまでに②を出す」のように、項目ごとに担当と期限を決めてしまうことです。

②の給与・シフトは、求人原稿に書いてある内容ではなく「実際どうなっているか」を言葉にします。たとえば月給25万〜30万円と出していても、未経験なら実際は25万円から、経験3年なら27万円前後、といった運用があるはずです。この幅を共有しておかないと、候補者から条件を聞かれたときに毎回社内確認が必要になり、返答が1日単位で遅れていきます。

③の面接可能枠は、応募が来てから探すのではなく、先に押さえておくものです。「毎週火曜と木曜の16時〜18時」のように決まっていれば、応募当日に候補日を提示できます(参考:面接枠が取れない。現場が忙しい会社の面接枠の作り方)。

④の決裁ラインは、立ち上げ時に最も省略されがちで、最も効く項目です。書類を見送る判断を誰がしてよいのか、条件を少し上げる相談は誰に上げるのか。ここが曖昧だと、すべての判断が社長に集まって滞留します(参考:採用の決裁ラインの決め方。誰が最終判断するかで連絡は速くなる)。

揃っていないときの埋め方

5点すべてが整っている会社のほうが少数です。揃っていない場合の埋め方を挙げます。

①求人原稿がない(これから出す)場合
過去に使った原稿、ハローワークの求人票、手書きのメモでも構いません。何もなければ、現職の社員1名を思い浮かべて「その人が普段やっている仕事」を箇条書きにするところから始めます。

②給与・シフトの実態が人によって違う場合
直近で入社した2〜3名の実際の条件を並べてみると、運用の幅が見えてきます。「原則はこう、例外はこの範囲まで」と書き分けておけば、当面はそれで回ります。

③面接可能枠が決められない場合
まずは2週間分だけ仮で押さえます。「来週の水曜14時」「再来週の金曜17時」のように、具体的な日時を2〜3個決めるだけでも、応募当日の返答が変わります。埋まらなければ解放すればよいので、確定させる必要はありません。

④決裁ラインが社長一人に集中している場合
全部を委譲する必要はありません。「書類の明らかな不適合だけは担当判断」「合否と条件は社長」と、一段階だけ切り出します。社長が出張や現場で不在のときの暫定ラインも、あわせて決めておきます。

⑤よくある質問の答えがまとまっていない場合
直近の面接で実際に聞かれたことを思い出し、3つだけ書き出します。残業、休み、入社後の教育。この3つが出てこない会社はまずありません(参考:面接で候補者から聞かれることに、答えを用意しているか)。

完璧を待たず、7割で渡して走りながら埋める

5点すべてを完璧に揃えてから始めようとすると、立ち上げ自体が先送りになります。実務としては、①③④の3点が最低限そろっていれば、応募を受けて面接を設定するところまでは動かせます。②と⑤は、最初の数件の応募に対応する中で、実際に聞かれた質問を記録しながら埋めていくほうが、精度の高いものになりやすいでしょう。

社外採用部では、この立ち上げの作業そのものを初回設計として一緒に進めます。ヒアリングで引き出して文章に起こす部分は当方で行いますので、御社に残るのは「答える」ことと「決める」ことです。初回設計費100,000円、以降は月額49,800円〜、支援内容と工数に合わせて個別にお見積りします。応募の受付から初回連絡、日程調整、面接前後のフォロー、母集団形成の運用まで、採用の局面に応じた担当をこちらからアサインします。面接そのものと採否の判断は、御社にお任せする部分です。

まずは「うちの場合、この5点はどこまで揃っているか」を見ていただくところからで構いません。足りない部分の埋め方も含めて、こちらからご相談ください。