面接の終わりに「何かご質問はありますか」と聞く。ここまでは、どの会社でもやっていることだと思います。問題はその先です。返ってきた質問に、その場の空気で答えていないでしょうか。残業の実態を聞かれて「まあ、月によりますね」と流す。離職率を聞かれて言葉に詰まる。同じ質問を別の日に別の面接官が受けて、まったく違う答えを返している。

候補者が面接で聞いてくることは、実はほとんど決まっています。決まっているのなら、答えも先に用意しておける。この記事では、よく聞かれる質問を並べたうえで、事実を曖昧にせず伝えるための原則と、社内で答えをそろえておく「1枚メモ」の作り方を整理します。

候補者が聞いてくることは、だいたい決まっている

面接に同席したり、面接後の候補者に感想を聞いたりすると、質問の中身は驚くほど似通っていると言われます。多くは、待遇の細部というより「入社後の生活が想像できるか」を確かめるための質問です。

よく聞かれること候補者が本当に確かめたいこと
残業はどれくらいですか繁忙期にどこまで振れるのか。生活が崩れないか
休みは取りやすいですか制度の有無ではなく、実際に取っている人がいるか
前任の方はなぜ辞めたのですか自分も同じ理由で辞めることにならないか
未経験でも大丈夫ですか放置されないか。誰が教えてくれるのか
昇給はありますか何をどれだけやれば上がるのか
どんな人が活躍していますか自分がこの職場になじめそうか

見ていただくと分かるとおり、右側の列はどれも「不安」です。候補者は会社を評価しにきているというより、自分がここで働く姿を確かめにきている。だからこそ、答えの精度がそのまま信頼の量に変わります。

面接官ごとに答えが違うと、条件より先に信頼が崩れる

一次面接では「残業はほとんどありません」と言われたのに、二次面接では「まあ、繁忙期は月30時間くらいはありますかね」と言われる。候補者からすると、どちらが本当なのか分からない以前に、この会社は社内で話が通っていないのだ、という印象が残ります。

厄介なのは、これが条件の不満ではなく信頼の問題として蓄積することです。残業30時間そのものは受け入れられる人でも、「聞くたびに答えが変わった」という記憶は選考の最後まで残ります。同じことは求人票と面接のあいだでも起こります。詳しくは求人票と面接での説明がずれると、辞退されるでも触れていますが、ずれの正体は嘘ではなく、社内で答えを決めていないことにあります。

面接官の質問技法を磨く前に、まずここを揃える。順番としてはそのほうが効きやすい場面が多いと感じています。面接の周辺で起きやすいつまずきは面接官トレーニングの前に。中小企業の面接で本当に多いつまずきにまとめました。

事実を曖昧にせず伝える、3つの原則

1. 平均で答えず、幅と時期で答える

「残業は月平均10時間です」と言われても、候補者の不安は消えません。平均は、繁忙期の40時間と閑散期のゼロを混ぜて薄めた数字だからです。

たとえば仮の数字ですが、「通常月は月5〜10時間、決算期にあたる3月と9月は20〜30時間になることがあります」と答えたほうが、候補者は自分の生活に当てはめて考えられます。数字が大きいことより、想像できないことのほうが辞退につながりやすいためです。

2. 都合の悪い事実は、対処とセットで出す

「前任者はなぜ辞めたのか」という質問に、答えを濁すのが一番よくありません。人が辞めたこと自体は、どんな会社にもあります。

「前の方はご家庭の事情で遠方に転居されました」「別の方は、想像より現場作業の比率が高いと感じて半年で退職されました。その反省があるので、今回は入社前に必ず現場を見ていただくようにしています」。事実と、それに対して会社が何を変えたかをセットにする。これだけで、答えは言い訳ではなく説明になります。

3. 分からないことは、その場で作らない

面接官が答えを持っていない質問は必ず出ます。社会保険の細かい扱い、資格取得の補助の上限、シフトの例外運用。ここで曖昧な推測を口にすると、あとから訂正することになり、訂正そのものが不信の材料になります。

「確認して、明日中にメールでお答えします」と言い切り、そのとおりに連絡する。約束を守る一往復が加わるだけで、候補者の見る目は変わります。面接後の連絡の重要性については面接後の「連絡します」で終わらせない。24時間以内の本音確認もあわせてご覧ください。

答えをそろえる「1枚メモ」の作り方

大がかりな資料は要りません。A4一枚に、よく聞かれる質問と会社としての答えを書き出すだけです。項目は次の6つ程度で足ります。

作り方は、社長と現場責任者の2人で30分取るだけで構いません。口頭で答えを出し合うと、その場で食い違いが見つかります。そこが、まさに候補者に伝わっていたズレです。

書くときのコツは、きれいな言葉に整えないことです。「有給は取りやすい環境です」ではなく「前月までに申請してもらえれば基本的に通ります。直近では2名が連続3日取得しました」と、事実の形で残す。抽象的な表現は、面接官によって解釈が変わり、また答えがばらけます。

このメモは、面接官が持つ資料であると同時に、応募受付や初回連絡の段階で候補者から質問を受けたときの答えにもなります。半年に一度、内容が現状と合っているか見直せば十分です。

質問に答えることは、選考の一部です

候補者からの質問は、面接の余った時間に処理する付録ではありません。会社が誠実かどうかを候補者が判断している時間です。同じ質問に同じ事実で答えられる会社は、規模や知名度に関係なく信頼を積み上げていきます。

とはいえ、面接の前後には日程調整も、確認事項の折り返しも、合否連絡も発生します。社長や総務が兼務で回している会社ほど、この「一往復」が後回しになりがちです。社外採用部では、応募の受付から初回連絡、日程調整、面接前後のフォロー、内定・入社フォローまでを採用事務局としてお引き受けしています(月額49,800円〜、初回設計費100,000円、以降は支援内容・工数に合わせて個別にお見積り)。面接そのものと最終判断は社内に残したまま、その周りの連絡だけを外に出す形です。

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