採用が年中平均的に発生する中小企業は、そう多くありません。年度末に向けて欠員が出る、繁忙期前にまとめて人を入れる、夏と冬の二山がある。会社ごとに時期は違っても、「この3ヶ月だけ応募対応が回らない」という形で負荷が集中している会社は珍しくないはずです。

そこで浮かぶのが、その期間だけ外部の手を借りるという選択です。ただ、いざ見積もりを取ると「月額いくら」のほかに初期設計費や個別見積りの項目が並び、結局3ヶ月でいくらになるのかが見えにくい。この記事では、短期利用の総額をどう積み上げるかと、その金額が自社にとって割に合うかを判断する材料を整理します。金額はすべて仮の数字であり、実際の費用は応募件数や依頼範囲によって変わります。

3ヶ月分の総額は、月額だけを3倍しても出ない

採用事務局型のサービスの費用は、多くの場合3つの層でできています。

ひとつめが初期設計費です。連絡フローの設計、文面テンプレートの作成、判断基準のすり合わせ、求人媒体からの通知を集約する設定など、立ち上げのための作業にかかる費用で、原則として契約開始時の一度きりです。

ふたつめが月額の基本料。窓口の維持、記録の管理、定例の報告といった、応募が何件あっても発生する土台の部分です。

みっつめが個別見積りの部分。支援内容や工数に合わせて決まる費用です。繁忙期に外注する場合、ここが一番大きく振れます。

短期利用の見積もりで誤差が出やすいのは、①初期設計費を月割りで考えてしまうことと、②個別見積りの部分を通常月の工数で計算してしまうことの2点です。繁忙期は応募が集中する時期なので、平常月の件数で試算すると総額が実態より小さく出ます。

仮の数字で、3ヶ月分を積み上げてみる

弊社の社外採用部を例に、仮の前提で積み上げてみます。前提は「繁忙期3ヶ月、月の応募件数30件、個別見積りの部分を月90,000円と仮定」とします(実際の金額は支援内容・工数に合わせて個別にお見積りします。90,000円はあくまで説明用の仮の数字です)。

項目単価(仮)3ヶ月合計
初回設計費100,000円(初回のみ)100,000円
月額基本料49,800円 × 3ヶ月149,400円
個別見積り分(仮)90,000円 × 3ヶ月270,000円
合計519,400円

3ヶ月で約52万円、月あたりに均すと約17万円です。ここで重要なのは、初期設計費10万円が3ヶ月しかない契約期間に乗るため、月あたりの負担が約3.3万円ぶん上乗せされる点です。同じ設計費でも12ヶ月使えば月あたり約8,300円ですから、短期利用では初期費用が相対的に重く見えます。これは短期契約の構造上、避けにくいことです。

見積もりを取る際は、応募件数の想定を必ず明示してください。「繁忙期は通常月の2〜3倍の応募を見込んでいる」と先に伝えておけば、個別見積り部分の上振れを含んだレンジで提示してもらえます。総額の幅を知らずに契約すると、月末の請求で驚くことになります。

短期だと初期設計費が重く見える。それでも割に合う条件

では、月17万円という仮の金額が高いのか安いのか。社内で回した場合の人件費と単純比較すると、意外と拮抗します。仮に応募1件あたりの対応時間を60分、月30件で30時間、担当者の時間単価を2,500円とすれば月75,000円。この数字だけ並べれば、外注のほうが高く見えます。工数の出し方は社長と総務が採用に使っている時間は、いくらのコストかで整理していますので、自社の素の数字を先に出しておくことをおすすめします。

それでも外注が割に合うのは、この「工数の置き換え」以外の部分に効いてくる場合です。

割に合いやすい状況社内で足りる可能性が高い状況
対応が夜や休日にずれ込み、残業代が発生している日中に手の空く担当者がいる
社長や役員が応募対応をしている(時間単価が高い)事務担当が兼務で対応できている
応募が来ても面接まで進まず、広告費が回収できていない面接設定率が安定している
欠員が続き、現場の残業や機会損失が出ている欠員が出ても現場が回っている
繁忙期を逃すと次の採用機会が半年先になる通年でゆるやかに採用している

特に効いてくるのが、応募が増えるほど取りこぼしが増えるという関係です。月10件なら当日中に折り返せていた会社が、月30件になると翌日以降にずれ、面接設定率が落ちる。広告費をかけて集めた応募が面接に届かないまま消えるので、損失は人件費の比ではなくなります。自社の面接設定率が繁忙期にどれだけ落ちているかは、面接設定率という指標。応募からの歩留まりを測る第一歩を参考に、過去の繁忙月で一度測っておくと判断材料になります。

逆に、応募が月数件にとどまる会社や、繁忙期の時期が読めない会社では、短期契約の初期設計費が重くなりがちです。その場合は、時期を限定せず通年で薄く使う形のほうが月あたりの負担は下がります。

翌年また使う前提なら、残してもらうものを先に決める

繁忙期の外注は、多くの場合「来年もまた同じ時期に来る」性質のものです。ここを見越しておくかどうかで、2年目以降の費用がだいぶ変わります。

初期設計費が一度きりの費用であるということは、裏を返せば設計の成果物が手元に残れば、再開時の立ち上げは軽くなるということです。契約を始める段階で、終了時に何を引き渡してもらうかを決めておいてください。最低限、次の4つです。

  1. 連絡文のテンプレート一式(初回連絡、日程案内、リマインド、見送り連絡、内定後フォロー)
  2. 応募者の対応履歴(誰に、いつ、どの手段で、何を伝えたか)
  3. 判断基準のメモ(書類の見送りライン、何時以降は翌朝に回すか、面接枠の押さえ方)
  4. その期間の数字(応募数、初回連絡までの時間、面接設定率、辞退理由)

これらがあれば、翌年の再開時は「設計をやり直す」ではなく「前年の設計を更新する」になります。再契約時に設計費がどう扱われるかは会社によって違うので、初回の契約前に確認しておくと安心です。また、資料が残っていれば、繁忙期以外の月を社内で回す土台にもなります。外注を続けるか社内に戻すかの線引きは応募対応の外注は、いつ社内に戻すのか。卒業の判断基準で詳しく扱っています。

3ヶ月という期間は、短いようで採用の山をひとつ越えるには十分な長さです。大事なのは、その3ヶ月を「今年をしのぐための出費」で終わらせず、翌年以降の採用の型として残すこと。そう考えると、初期設計費は短期契約への割増ではなく、来年も使う資産への投資として見えてきます。

繁忙期の応募件数の見込みや、自社の場合の総額感を具体的に知りたい方は、お問い合わせフォームからご相談ください。応募後のどこに負荷が集中しているかを伺ったうえで、期間限定の設計と費用のレンジをご提示します。