求人に応募が入り、電話をかけたら「実は、いまの会社に勤めながら副業として関われないかと思って応募しました」と言われる。中小企業の採用現場で、こうした応募は珍しくなくなりました。正社員募集に出したつもりでも、求人検索エンジン経由では募集条件の細部まで読まずに応募ボタンが押されることがあります。
このとき、その場で「うちは正社員だけなので」と切ってしまうのも、逆に話を進めてから条件が合わずに流れてしまうのも、どちらももったいない対応です。副業・兼業希望者は、条件さえ噛み合えば経験のある人材に短時間で関わってもらえる可能性がある一方、確認すべき項目が通常の応募より多くなります。問題は「何を」「いつ」確認するかです。
最初の連絡で、働き方の前提を一度そろえる
副業希望者への対応でつまずきやすいのは、面接まで進んでから「平日は週1日しか動けません」「本業の規定で兼業の届出が要ります」といった前提が出てくることです。面接に使った時間も、面接官を押さえた枠も戻ってきません。
ですから、初回連絡の段階で働き方の前提だけは一度そろえておきます。ここで聞くのは適性ではなく、物理的に成立するかどうかの条件です。聞き方は「選考」ではなく「条件のすり合わせ」として伝えると、相手も身構えずに答えてくれることが多くなります。
| 確認する項目 | 聞き方の例 |
|---|---|
| 稼働できる曜日・時間帯 | 「現在のお仕事と並行される前提で、週にどのくらい、どの時間帯が動かしやすいでしょうか」 |
| 稼働開始の時期 | 「ご参加いただけるとしたら、いつ頃からが現実的でしょうか」 |
| 本業側の兼業の可否 | 「差し支えなければ、現在の勤務先で副業の届出や許可が必要かどうかも教えていただけますか」 |
| 連絡が取りやすい時間帯 | 「お電話やご返信がしやすい時間帯を教えてください。こちらからはその時間に合わせます」 |
| 希望する雇用形態 | 「雇用契約と業務委託、どちらをイメージされていますか」 |
本業側の就業規則の確認は、会社が代わりに調べられる事柄ではありません。本人に確認してもらい、その結果を待つ前提で進めます。許可制の会社であれば、申請から結果が出るまで数週間かかることもあります。このリードタイムを初回で把握しておくと、入社日や稼働開始日の逆算が狂いません。
なお、一度に全部を質問攻めにすると面接のようになってしまいます。電話がつながったならその場で上の3〜4項目を会話の中で聞き、メールやSMSで連絡する場合は項目を箇条書きにして「お手すきのときに」と添える、という使い分けが現実的です。連絡手段の組み立て方は応募者に電話がつながらない。SMS・メールを組み合わせた連絡の順番も参考にしてください。
返事が遅いのは興味がないからとは限らない
副業・兼業希望者は、本業の勤務中に電話に出られず、返信も夜か休日に偏ります。日中に電話をかけて出ない、メールの返事が翌々日になる、といったことが続くと、社内では「熱量が低い」と受け取られがちです。しかし在職しながら応募している以上、反応が遅れること自体は自然な挙動です。
一方で、ここを放置して待つだけにすると、そのまま連絡が途絶えます。追いかけの設計を先に決めておくのが無難です。
- 初回の連絡時に、本人から「連絡が取りやすい時間帯」を聞き取り、以降はその時間に合わせてかける
- 日中に電話する場合は、留守番電話やSMSで「折り返し不要、◯日までにご都合をお知らせください」と一方向で完結する形にする
- 返信期限を一度だけ明示する。「今週金曜日までにお返事がなければ、いったん見送りとして扱わせていただきます」程度の柔らかい期限が扱いやすい
- 追いかける回数の上限をあらかじめ決めておく
何回まで追うかの考え方は返信が来ない候補者を、何回・何日あけて追うかに整理しています。副業希望者の場合は、通常より一段階ゆとりを持たせる代わりに、回数の上限は守るという設計にすると、社内の工数が際限なく膨らみません。
また、面接の設定自体も本業の都合に左右されます。平日夜やオンラインでの一次面接を用意できる会社は、それだけで選択肢に残りやすくなります。会社側が動ける時間を増やせない場合は、せめて「当社が面接を設定できるのはこの曜日とこの時間帯です」と早い段階で開示してください。すり合わせできないまま往復を重ねるより、お互いの時間を守れます。
任せられる仕事を、先に切り出せているか
副業人材との話がまとまらないもうひとつの理由は、会社側に「週に何時間か関わってもらうとしたら、何をお願いするのか」が用意できていないことです。フルタイムの正社員として採る前提で書いた求人票をそのまま当てはめると、業務の一部だけを渡すことができず、結局お断りする流れになります。
切り出しやすいかどうかは、おおよそ次の観点で見分けられます。
- 業務の始まりと終わりがはっきりしている(成果物や完了の定義がある)
- 社内の誰かの判断を毎回待たずに進められる
- 現場に常時いなくても進む。もしくは、来てもらう日が固定できる
- 引き継ぎに必要な情報が、口頭ではなく書いた形で渡せる
逆に、突発対応が多い仕事、社内の人間関係を把握していないと進まない仕事、判断の権限が社長にしかない仕事は、週数時間の関わりでは戦力になりにくいものです。これは本人の能力の問題ではなく、業務の性質の問題です。
自社の仕事をこの観点で見直す作業は、副業人材の受け入れに限らず有効です。業務を書き出して内製と外注の線を引く手順は採用担当の業務を全部書き出してみる。内製と外注の分け方で扱っています。あわせて、募集要件そのものが膨らみすぎていないかの点検には求める人物像は3つに絞る。条件を並べすぎると決められないが参考になります。
断る場合も、その日のうちに伝える
条件が合わないという結論になることもあります。たとえば、現場常駐が必須の職種で、相手が稼働できるのが土曜の午前だけ、といったケースです。この場合は、保留にせずその日のうちに見送りを伝えるほうが、双方にとって誠実です。
伝えるときは、本人の評価ではなく条件の不一致であることを明確にします。「いただいた条件ですと、現在お願いしたい業務の性質と噛み合わないため、今回は見送らせていただきます」といった伝え方で十分です。あわせて、将来フルタイムでの転職を検討される際には改めてご連絡ください、と一言添えておくと、関係が切れずに残ります。副業として接触してきた方が、数年後に本業として戻ってくることもあり得ます。
副業・兼業の応募は、確認項目が多く、連絡の往復も通常より時間がかかります。日中に本業を抱える方へ、相手の都合に合わせた時間に連絡を入れ続けるのは、他の業務を持つ担当者には負担の大きい仕事です。
社外採用部は、中小企業の採用事務局として、求人の運用から応募の受付、初回連絡、日程調整、面接前後のフォロー、内定・入社後のフォローまでを社外から担います。面接そのものと採否の判断は御社に残したまま、連絡や条件のすり合わせといった実務を引き受ける形です。料金は月額49,800円〜、初回設計費100,000円。以降は支援内容と工数に合わせて個別にお見積りします。
多様な働き方の応募にどこまで対応するか決めかねている方も、まずは現状をお聞かせください。ご相談はこちらから承っています。
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