事務を1名、現場を2名、ついでにパートも募集しておこう。人手が足りない会社では、複数の職種を同時に募集することはごく普通に起こります。ところが掲載を始めてしばらくすると、「あの応募、誰が連絡したんだっけ」「これは事務の応募だと思っていたら現場だった」といった取り違えが出てきます。応募の総数はそれほど多くないのに、妙に手が回らない。そんな感覚を持たれている方は少なくないはずです。

複数職種の同時募集でつまずくのは、応募が増えるからというより、応募ごとに「次にやること」が変わるからです。この記事では、職種が混ざったときに何が起きるのかを整理したうえで、受け先と担当の分け方、管理の持ち方、そして優先順位の決め方までをまとめます。

増えるのは件数ではなく、手順の種類

仮の数字で考えてみます。事務の応募が月5件、現場が月5件。合計10件なら、1職種で10件来るのと同じ負荷に思えます。しかし実際にはそうなりにくいものです。

事務の応募なら、平日日中に電話がつながりやすく、面接は事務所で30分、面接官は総務責任者。現場の応募なら、本人が在職中で夕方以降しか出られず、面接は現場所長の予定を押さえる必要があり、保有資格や入社可能時期を先に確認しておきたい。正社員とパートでも、連絡の速度感や選考回数の考え方が変わります。このあたりは正社員とパート、応募対応の手間はどう違うかでも触れていますが、同じ「応募対応」という言葉でも、中身は別の仕事です。

職種が2つになれば、連絡の型も、聞くべき項目も、押さえる面接枠も2種類になります。兼務で採用を見ている方の頭の中で、この2種類が毎回切り替わる。取り違えはここで起きます。

職種違いの応募に、気づかない

もっとも多いつまずきが、「そもそも職種が違うことに気づかないまま対応する」というものです。

求人媒体の応募通知メールは、求人タイトルが件名の後ろのほうに入っていたり、どの求人への応募かが本文を開かないと分からなかったりします。通知が1日に何通も届けば、件名だけ見て「また応募が来たな」と流してしまうこともあります。そのまま事務用のテンプレートで返信し、面接案内まで送ってしまってから間違いに気づく、という事故は十分に起こり得ます。

もう一段たちが悪いのが、「自分の担当ではない職種の応募だと思い込んで、誰も動かない」パターンです。総務担当は現場の応募だと思い、現場責任者は総務が受けていると思っている。その間、候補者は何日も待たされます。応募後の初動が遅れると何が起きるかは応募後1時間以内の初回連絡が、採用の歩留まりを変える理由に整理していますが、複数職種の同時募集では、この遅れが「忙しさ」ではなく「境界の曖昧さ」から生まれます。

さらに、同じ方が事務とパートの両方に応募してくる、といった重なりも起こります。別々の担当がそれぞれ連絡を入れてしまうと、候補者から見た会社の印象は一気に下がります。

受け先と一次対応の担当を、職種ごとに決めておく

対策はシンプルで、掲載を始める前に「職種ごとに、誰がどこで受けるか」を決めてしまうことです。決めるのは次の3点で足ります。

決めること事務(正社員)の例現場(正社員)の例パートの例
応募通知の受け先採用用の共有メール(全職種で共通)同左同左
一次対応の担当総務担当総務担当(内容確認は現場責任者)総務担当
面接枠平日10〜16時/週2枠平日17時以降・土曜午前/週2枠平日10〜15時/随時

ここでの要点は、通知の受け先は職種をまたいで1か所にまとめ、分けるのは「対応手順」のほうだという点です。受け先を職種ごとにバラバラのメールアドレスや担当者の個人宛に分けると、休みや不在のたびに止まります。受け先の一元化については複数媒体の応募をどこで一元管理するか。抜け漏れが起きる場所もあわせてご覧ください。

そのうえで、一次対応の担当を職種ごとに明記します。「現場の応募も、まずは総務が受けて電話する。資格の判断が必要なものだけ現場責任者に回す」と線を引いておけば、お見合いは起きにくくなります。面接枠を職種別に先に確保しておくのも効きます。応募が来てから面接官の予定を探し始めると、職種が増えるほど調整が長引きます。

管理表は1枚。増やすのは行ではなく「列」

職種ごとに別のファイルを作る会社がありますが、これはおすすめしにくい方法です。ファイルが分かれると、全体で今何人が選考中なのかが分からなくなり、同一人物の重複応募にも気づけません。

管理表は1枚にして、そこに「職種」の列を1つ足す。これだけで十分です。最低限持っておきたい列は、応募日時・媒体・職種・初回連絡の日時・現在のステータス・次にやることと期限、といったところです。項目の考え方は応募者の記録は何を残せばいいのか。最低限の6項目にまとめています。

1枚にまとめておくと、職種列で並べ替えるだけで「現場の応募は5件来ているが、面接まで進んだのは1件」といった偏りが見えます。職種ごとに歩留まりは違って当然で、どちらが詰まっているかを知らないまま広告費を足しても、詰まっている側は詰まったままです。

優先順位を先に決めておくと、迷いが消える

最後に、これが実は一番効きます。どの職種を優先するかを、応募が来る前に決めておくことです。

同じ日に事務と現場の応募が1件ずつ届き、手が1つしかない。このとき、どちらに先に電話するか。その場で考えると、だいたい「対応しやすいほう」「書類の印象が良いほう」に流れます。しかし会社として本当に困っているのが現場の欠員なら、優先すべきは現場です。

優先順位は、次のような観点で決められます。

決めたら、「現場の応募は当日中に電話。事務の応募は翌営業日の午前までに連絡」のように、対応期限の差として言葉にしておきます。すると、応募がまとまって届いた日でも迷いません。応募が重なった日の順番づけ自体については同じ日に応募が5件来たとき、どの順で連絡するかも参考になります。

もう一つ、優先順位を決める過程で「この職種は今期は見送る」という判断が出ることもあります。手が足りない状態で3職種を並行させるより、2職種に絞って確実に面接まで運ぶほうが、結果として早く埋まることもあります。


複数職種の同時募集は、やり方が悪いのではなく、設計せずに始めると混ざるというだけのことです。受け先は1か所に、手順は職種ごとに、管理は1枚に、優先順位は先に。この4つを紙1枚にしておくだけで、取り違えと放置はかなり減らせます。

とはいえ、職種ごとに連絡の型を用意し、面接枠を押さえ、日程を調整していく作業は、本業と兼務のまま回し切るには負荷の大きい仕事でもあります。社外採用部は、中小企業の採用事務局として、求人や母集団づくりから応募の受付・初回連絡・日程調整・面接前後のフォロー、内定・入社後のフォローまでを社外からお引き受けしています。面接そのものと採否の判断は御社に残したまま、その前後の実務を複数職種分まとめて整えることができます。料金は月額49,800円〜、初回設計費100,000円で、支援内容に応じて個別にお見積りします。

同時募集で手が回らなくなっているようでしたら、こちらからお気軽にご相談ください。いまの募集職種と社内の体制をうかがったうえで、どこから整えるべきかをご提案します。