求人媒体を2つ、3つと増やしたところ、応募自体は届くようになった。けれど、どこに何件来ていて、どれに返事をしたのかが分からなくなってきた——そんな状態に心当たりはないでしょうか。A媒体の管理画面、B媒体からの通知メール、自社サイトのフォーム、そして直接かかってくる電話。窓口が4つあれば、確認する場所も4つになります。
「応募の取りこぼし」を追いかけていくと、原因が担当者の怠慢だったことはほとんどありません。多くは、情報が置かれている場所が分散していて、誰も全体を見られない構造になっていた、というだけです。この記事では、通知の集約先を一つ決めることと、その日の未対応が一覧で分かる状態をつくること。この2点に絞って、特別なツールを買わなくても組める最小構成をご紹介します。
抜け漏れは「媒体の中」ではなく「媒体と媒体のあいだ」で起きる
見落としが起きる場所には、いくつか決まったパターンがあります。
ひとつめは、通知メールが特定の個人アドレスにしか届いていないケースです。その方が外出や休暇で不在になると、応募が届いていること自体を誰も知りません。ふたつめは、媒体の管理画面にログインしないと応募内容が読めないタイプです。通知メールには「1件の応募がありました」としか書かれておらず、忙しい日はログインが後回しになります。
みっつめが、同一人物が複数媒体から応募してくるケース。A媒体で日程調整を進めている最中に、B媒体側の応募に気づいた別の担当者が「はじめまして」と連絡してしまう。候補者から見れば、社内が連携していない会社に映ります。四つめは、電話応募や紹介経由など、そもそもどの画面にも記録が残らない応募です。
つまり抜け漏れは、それぞれの媒体の内側ではなく、媒体と媒体のあいだ、あるいは記録の外側で起きています。媒体を1つ減らしても解決しませんし、媒体を増やすほど「あいだ」の数は増えていきます。
まずやること1:通知の集約先を一つ決める
最初の一手は、すべての応募通知を一つの受信箱に集めることです。順番として、ここを先にやります。
具体的には、各媒体の管理画面で通知先メールアドレスを設定し直し、saiyo@(自社ドメイン) のような共有アドレスに寄せます。多くの媒体は通知先を複数登録でき、個人アドレスと併記することも可能です。自社サイトのフォームも同じ宛先へ。電話応募だけはメールに乗りませんから、受けた人が同じアドレス宛に「◯月◯日◯時、△△様よりお電話。連絡先は〜」と一通送る運用にしておきます。手間は1分ほどですが、これで全応募が一箇所に並びます。
共有アドレスにすると、こんな効果があります。
| 変わること | 具体的に何が起きるか |
|---|---|
| 不在時の停止がなくなる | 担当者が休んでも別の人が受信箱を開ける |
| 対応の重複が見える | 誰かが返信すれば送信済みが共有される |
| 引き継ぎが要らなくなる | 過去のやり取りがスレッドで追える |
| 履歴が会社に残る | 退職や異動でデータが消えない |
なお、媒体の管理画面内メッセージでしかやり取りできない仕様の媒体もあります。その場合は「通知が来たら、応募者名と媒体名だけを共有アドレスに転送する」ルールにしておくと、少なくとも「どこに何件来ているか」は一箇所で把握できます。応募内容の全文を移す必要はありません。
まずやること2:その日の未対応が一覧で分かる状態にする
集約先を決めただけでは、まだ半分です。受信箱に並んでいても、どれが未対応でどれが完了かは、開いて読まないと分かりません。ここで必要になるのが、応募一覧です。
Excelやスプレッドシートで十分に成立します。列は、これくらいで足ります。
- 応募日時/媒体名/氏名/連絡先/応募職種
- 初回連絡日時(誰が、どの手段で)
- ステータス(未対応/連絡中/面接調整中/面接確定/終了)
- 次アクションと期限
- 備考(他媒体からの重複応募など)
肝は、ステータスと「次アクション」の2列です。この2つがあると、朝いちばんにファイルを開けば、今日誰に何をすべきかが一覧で見えます。逆にこの2列がないと、単なる応募者名簿になってしまい、抜け漏れの防止には効きません。
運用のコツを3つだけ。ひとつは、応募が来たら内容を精査する前に、まず1行足すこと。判断は後でよく、記録が先です。ふたつめは、氏名と電話番号で重複を確認する習慣。同一人物の複数媒体応募は、思っているより起きます。みっつめは、ステータスを更新する時間を1日1回決めておくこと。夕方5分で構いません。
数字の記録が溜まってくると、応募から面接までどれくらい進んでいるかも見えてきます。詳しくは面接設定率という指標。応募からの歩留まりを測る第一歩もあわせてご覧ください。
ツールを入れるかどうかの判断
「採用管理システムを入れれば済むのでは」と考える方もいらっしゃると思います。実際、応募の一元化はツールが得意とする領域です。ただ、導入を検討する前に確認しておきたいことがあります。
集約先と一覧という2つの型が社内で回っていない状態でツールを入れると、「入力されないシステム」ができあがりやすくなります。まずExcelと共有メールで1〜2ヶ月回してみて、行数が増えて手作業が追いつかなくなったタイミングで検討する。この順番のほうが、失敗が少ないように感じています。ツールと人の役割分担については採用管理システムを入れれば、応募対応は解決するのかで整理しています。
もうひとつ。一元管理は「見落とさない」ための仕組みであって、「早く連絡する」仕組みではありません。一覧に未対応が5件並んでいても、誰も電話をかける時間がなければ結果は同じです。仮の数字ですが、応募が月20件あり、1件あたり初回連絡と日程調整に30分かかるとすれば、月10時間。ここを誰が持つのかは、別の問題として考える必要があります。社長と総務が採用に使っている時間は、いくらのコストかで、その工数を金額に置き換える手順をまとめています。
今週やるなら、この順番で
大掛かりな整備は必要ありません。順番はこうです。
- 共有メールアドレスを1つ用意する(既存のものでも可)
- 各媒体の管理画面で、通知先にそのアドレスを追加する
- スプレッドシートを1枚つくり、上記の列を並べる
- 直近1ヶ月の応募を、覚えている範囲で書き出してみる
- 未対応のまま止まっている人がいないか、必ず確認する
4と5をやると、多くの会社で「連絡したつもりで止まっていた応募」が1〜2件は出てきます。そこから始めれば十分です。
社外採用部では、応募の受付から初回連絡、日程調整、面接前後のフォローまでを社外の採用事務局としてお引き受けしています。媒体をまたいだ応募の受け止めと記録の設計も、初回設計の中で一緒に組み立てます。月額49,800円〜、初回設計費100,000円から。自社の応募がいまどこで止まっているか整理したい段階でも構いませんので、お気軽にご相談ください。
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