面接の日程が入るたびに現場を止め、社長や工場長が一時間座る。採用が続く時期は、それが週に何度も重なります。「一次面接だけでも外の人に任せられないか」と調べ始めると、面接代行、一次面接アウトソース、面接官派遣といったサービスが出てきます。

結論から申し上げると、中小企業の場合は「面接そのものを丸ごと外に出す」よりも、面接の前後の手間を外に出したほうが噛み合うことが多いと感じています。ただしこれは面接代行が悪いという話ではなく、規模と面接の役割の違いによるものです。この記事では、面接代行サービスの中身を二つの型に分けて整理したうえで、自社がどちらを検討すべきかの判断軸を示します。

面接代行には「スクリーニング型」と「見極め型」がある

面接代行と呼ばれるサービスは、実際にやっていることが大きく二つに分かれます。

スクリーニング型見極め型
目的明らかに条件に合わない方を除き、母集団を絞る適性・経験・志向を深く掘り、採否の判断材料をつくる
面接時間15〜30分程度が中心45〜60分程度
面接官コールセンターや専任スタッフ人事経験者・有資格者など
主な成果物通過/見送りの判定、簡単なメモ評価レポート、推奨コメント
相性の良い状況応募が大量に来る、要件が明確選考回数が多い、専門職の見極めが必要

スクリーニング型が力を発揮するのは、応募が多すぎて社内で会いきれないときです。要件が「この資格を持っているか」「この時間帯に勤務できるか」のように言葉で書き切れる場合、外部の面接官でも判定にぶれが出にくくなります。

見極め型は、職務経歴の深掘りや構造化面接の設計まで含めて任せる形です。母集団が大きく、複数の面接官で同じ基準を保つ必要がある企業ほど価値が出ます。

逆に言えば、どちらの型も「応募が十分にあり、絞り込む必要がある」ことを前提にしています。月に数件から十数件の応募を、いかに落とさず入社までつなぐかが課題の会社とは、前提が噛み合いません。

中小企業の一次面接は、同時に「会社を売る場」になっている

もうひとつ、規模にかかわらず効いてくる論点があります。中小企業の面接は、見極めの場であると同時に、会社の魅力を伝える場を兼ねているという点です。

知名度で選ばれることが少ない会社では、候補者が「この会社で働く自分」を具体的に想像できるかどうかが、その後の辞退率に効いてきます。それを担保するのは、待遇の説明よりも、社長や現場責任者が語る仕事の中身、任せたい役割、数年後の姿です。ここは代行しにくい部分です。外部の面接官は会社の情報を渡された範囲でしか話せず、踏み込んだ質問が来たときに「確認して折り返します」となります。候補者から見ると、熱意が薄い会社に見えてしまうことがあります。

さらに、社員数が多くない会社では、社長が候補者の人柄を見て決めたい、というのが本音であることが少なくありません。外部が一次面接をして通過者だけを社長に回す形にすると、社長が「自分で会えば採っていたかもしれない人」を見ないまま終わる可能性が生まれます。応募が限られている会社では、この機会損失が重く出ます。

面接そのものの質を上げたい場合は、代行を検討する前に社内側のつまずきを点検したほうが早いことも多いものです(面接官トレーニングの前に。中小企業の面接で本当に多いつまずき)。

では、何を外に出せるのか

面接1時間のために社内が使っている時間を分解すると、面接そのものより前後のほうが長い、という構造がよく見えてきます。仮の数字で、応募1件あたりの目安を置いてみます。

工程社内の負担の目安外に出しやすいか
応募の受付・初回連絡10〜20分(不在なら再架電)出しやすい
日程調整(候補日提示〜確定)15〜30分、往復2〜4回出しやすい
面接前の案内・前日リマインド5〜10分出しやすい
面接の実施30〜60分出しにくい
面接後のフォロー・合否連絡10〜20分一部出しやすい
内定〜入社までの連絡断続的に発生一部出しやすい

面接1件につき、前後で1時間近くが消えている計算になります。しかもこの時間は、電話がつながらない、返信が来ない、面接官の予定が埋まっているといった理由で細かく分断され、他の仕事の合間に押し込まれます。だから初回連絡が翌日になり、候補日の提示が遅れ、辞退が起きます。

社長の時間を面接だけに集中させるという考え方は、この構造を踏まえたものです(社長が採用面接だけに集中すると、採用は強くなる)。面接を手放すのではなく、面接以外を手放す。応募数が限られる会社では、こちらのほうが効き目が見えやすいと感じています。

なお、面接枠がそもそも確保できていない場合は、外注の前に枠の運用を決めておく必要があります(面接枠が取れない。現場が忙しい会社の面接枠の作り方)。

判断の順番を決めておく

自社がどちらを検討すべきか、次の順に確認してみてください。

  1. 応募は足りているか。 月の応募が数件から十数件で、そのうち面接に至る割合が低いなら、課題は絞り込みではなく取りこぼしです。面接代行の出番ではありません。
  2. 面接で辞退が出ているか、面接前に消えているか。 面接に来た方の評価は悪くないのに数が少ないなら、前後の対応が原因である可能性が高くなります。
  3. 要件が言葉で書けているか。 「経験より人柄」で決めている場合、外部の面接官に判定を委ねると基準がぶれます。まず社内で要件を言語化するほうが先です。
  4. 社長が面接に出られる時間はあるか。 月に数件なら、面接だけ残して他を外すほうが現実的です。応募が毎月数十件規模で、社長が到底会いきれないなら、スクリーニング型の検討余地があります。

私たちが提供している社外採用部は、応募の受付・初回連絡・日程調整・面接前後のフォロー・内定と入社のフォローを外でお預かりする採用事務局です。面接そのものは代行しません。会社を語る場面と採否の判断は社内に残し、その周りの連絡と段取りを外に出す設計です。料金は月額49,800円からで、初回に業務の設計費として100,000円、以降は支援内容・工数に合わせて個別にお見積りしています。

サービスの区分けが分かりにくいときは、代行の範囲がどこまでかを整理した記事も参考になります(採用代行(RPO)と採用事務局は何が違うのか)。

まとめ

面接代行は、応募が多く要件が明確な会社にとって有効な選択肢です。一方、応募数が限られ、面接が会社を伝える場も兼ねている中小企業では、面接を外に出すより、面接の前後にかかる連絡と調整を外に出したほうが噛み合いやすくなります。

いま何が詰まっているのかを一度言葉にしてみると、どちらを検討すべきかは見えてきます。自社の応募件数と面接までの歩留まりをもとに整理してみたいという方は、ご相談フォームからお気軽にお声がけください。サービス責任者の佐々木純平がお話を伺い、外に出すべき工程と社内に残すべき工程の線引きから一緒に考えます。