新卒採用に取り組む中小企業の方から、「この時期に内定を出しても、どうせ大手の結果を待たれるのではないか」という迷いをよく聞きます。だから面接が終わっても結論を保留し、二次面接を挟み、社長の予定が空くのを待つ。そうしているうちに、学生から「他社に決まりました」と連絡が来る。
新卒の学生は複数社を同時に受けていて、手元に内定が1つあるかゼロかで心理状態がまったく違います。中小企業が勝てるとすれば、知名度でも初任給でもなく、「結論を出す速さ」と「出したあとに関係を保つ力」です。この記事では、いつ内定を出すか、そして出した内定をどう承諾までつなぐかを整理します。
「大手の結果待ち」を理由に遅らせても、得るものは少ない
内定出しを遅らせる会社には、だいたい共通した理由があります。「学生が大手の結果を待っている状態で出しても意味がない」「もっと良い学生が後から来るかもしれない」「社長の最終面接の日程が空かない」。
このうち、最初の2つは考え直す余地があります。学生が大手の結果を待っている段階で内定を出すことには、辞退されるリスク以上の意味があります。学生にとって最初の内定は、就職活動の緊張をほどく出来事です。その会社の印象は、他社と比べる基準になります。早く出した内定が辞退されることはありますが、遅く出した内定は、そもそも検討の土俵に乗らないことのほうが多いのです。
3つ目の「日程が空かない」は、理由というより運用の問題です。面接官の予定を応募が来てから探していると、候補日の提示が遅れ、選考全体が後ろにずれます。面接枠が取れない。現場が忙しい会社の面接枠の作り方で触れているように、あらかじめ週の決まった時間に枠を仮押さえしておく運用に変えるだけで、選考期間は短くなります。
自社の選考を「短く設計する」という発想
新卒の内定時期を早めたいなら、内定を出す判断だけを早めるのではなく、選考の設計そのものを短くするほうが現実的です。確認したいのは次の3点です。
| 項目 | 確認すること |
|---|---|
| 選考回数 | 2回で足りないか。3回目は本当に判断に必要か |
| 面接の間隔 | 一次から二次まで何日空いているか |
| 合否の決裁 | 誰が決めるか。その人が不在のとき誰が代わるか |
新卒の場合、学生が確認したいのは「人」と「仕事の中身」です。回数を増やすより、1回の面接に現場社員を同席させる、面接後に職場を案内する、といった濃度の上げ方のほうが効くことが多いものです。中小企業の選考は何回が適切か。一次・二次を分ける判断も参考にしてください。
仮の数字で考えてみます。一次面接から二次面接まで10日、二次から合否連絡まで7日かかる会社は、学生の手元に結論が届くまで2週間以上かかります。同じ時期に受けている他社が5日で出していれば、比較の順番で後手に回ります。一方、一次から二次を3日、合否を翌日に出せば、全体で1週間を切ります。同じ面接回数でも、間隔だけで1週間以上の差がつきます。
早く出した内定を、承諾まで保たせる
早く出すということは、学生が他社の選考を続けている段階で内定を出すということです。だからこそ、出したあとの接点が結果を左右します。
まず、内定を伝えるときに「なぜあなたなのか」を具体的に言葉にします。面接のどの発言や態度が評価につながったのかを一言添えるだけで、学生の受け止め方は変わります。条件だけを事務的に伝える通知は、他社の条件と並べて比較される材料にしかなりません。この点は内定通知の出し方で承諾率は変わる。伝え方とスピードで詳しく扱っています。
次に、返事の期限です。期限を切らないと学生は判断を先送りし、他社の結果が出るまで動きません。一方、短すぎる期限は「急かされている」という圧力になり、かえって離れる原因になります。2週間程度を目安に伝え、「それまでに他社の結果が出ない場合は相談してください」と添えておくと、学生から状況を言ってもらいやすくなります。
そして、返事を待つ間を放置しないことです。何も連絡がない期間が続くと、学生の中で会社の存在感は薄れていきます。社内の様子を伝える短い連絡、現場社員との短い顔合わせ、見学の再案内など、負担の軽い接点を置いておくと、比較の場面で思い出してもらえます。内定者と現場社員を入社前につなぐ。顔合わせの置き方も合わせてご覧ください。
承諾後も就活を続ける学生に、どう向き合うか
新卒採用でよく起きるのが、承諾書を出したあとも学生が就職活動を続けているという状況です。これを裏切りのように受け取ると、関係が悪くなるだけで、辞退を防ぐ効果はほとんどありません。
現実には、承諾は法的に退路を断つものではなく、学生本人も周囲から「もう少し見たほうがいい」と言われていることがあります。会社側ができるのは、就活を禁じることではなく、迷っている内容を話してもらえる関係を保つことです。
- 「他にも受けているところはありますか」と、責める意図なく聞いておく
- 迷いの中身が待遇なのか、仕事内容なのか、家族の意見なのかを分けて聞く
- 答えられる部分はその場で、確認が必要な部分は期限を決めて返す
家族の意向が絡む場合は、本人経由で読める資料を渡す方法もあります。内定者の家族が反対している。家族の納得をどう得るかで整理しています。
また、承諾後の辞退は突然に見えて、連絡の返信が遅くなる、質問が減るといった変化が先に出ていることが多いものです。兆候の拾い方は内定辞退は直前に起きる。兆候のつかみ方と入社までのフォローにまとめています。
早く出す体制は、社内の役割分担で決まる
内定を早く出せるかどうかは、判断力よりも段取りで決まる部分が大きいものです。面接枠が先に押さえてあるか、合否の決裁者が決まっているか、内定通知の文面と書面が用意してあるか、通知後のフォロー連絡を誰がいつ入れるか。これらが決まっていない会社は、どれだけ急ぐ気持ちがあっても、実務の各所で数日ずつ失います。
とはいえ、新卒採用は学校との接点づくりから内定後の長い空白期間のフォローまで、工程が多く、中小企業の兼務担当が片手間で回し切るのは簡単ではありません。社外採用部は、求人・媒体の運用や学校との接点づくりといった母集団形成から、応募の受付・日程調整・面接前後のフォロー・内定後のフォローまでを、採用事務局として社外から担います。面接そのものと採否の判断は御社に残していただき、その判断を速く下せる状態を外から整える形です。料金は月額49,800円〜、初回設計費100,000円。支援内容に応じて個別にお見積りします。
「今年の新卒は、結論を早く出せる体制で臨みたい」とお考えでしたら、こちらからご相談ください。いまの選考の流れを伺ったうえで、どこを短くできるかからご一緒に整理します。
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