「一次は現場の責任者、二次は社長」という流れを、なんとなく前から続けている。あるいは逆に「うちは社長面接一回きり」で通してきたが、本当にそれで見極められているのか不安がある。選考回数は、多くの中小企業で明確な理由なく決まったまま動いていません。

ただ、選考回数は候補者の離脱に直結する変数です。回数を1つ増やすということは、日程調整をもう1往復増やし、候補者が「ここまでにして他社に決めよう」と考えるタイミングをもう1つ作るということでもあります。この記事では、1回で決めるか2回に分けるかを、職種の重さ・決裁者の数・候補者の在職状況の3点で判断する考え方と、2回にする場合の間隔・間のフォローを整理します。

選考回数を1つ増やすと、何が増えるのか

選考が1回増えることで増えるのは、面接の時間だけではありません。実際には次の4つがまとめて増えます。

  1. 日程調整の往復(候補日の提示、返信待ち、確定連絡)
  2. 面接官のスケジュール確保(社内の調整コスト)
  3. 候補者が会社に来る手間(半休の取得、移動時間)
  4. 次の連絡までの「待たされる時間」

仮の数字で考えてみます。一次面接の翌日に結果を出し、二次の候補日を提示し、返信を待って確定し、実施する。この流れがスムーズに進んでも1週間から10日はかかります。もし合否判断に3日、候補日の返信に2日かかれば、二次面接は一次の2週間後です。その間に他社の内定が出れば、候補者はそちらで意思決定を終えている可能性が高くなります。

つまり選考回数の議論は、「何回会えば見極められるか」だけの話ではなく、「その回数を、候補者が待てるスピードで回せるか」という体制の話でもあります。日程調整そのものが詰まりやすい会社では、回数を増やすほど不利になります。調整が止まる構造については中小企業の面接日程調整が空中分解する理由と直し方で詳しく整理しています。

1回か2回か。3つの判断軸

回数は「会社として何回」ではなく、「この求人は何回」で決めるほうが実態に合います。判断の軸は次の3つです。

判断軸1回に寄せてよい場合2回に分けたい場合
職種の重さ定型業務が中心。試用期間で見極めが利く管理職・専門職。判断ミスの影響が大きい
決裁者の数社長または責任者ひとりで決められる現場責任者と経営者の両方の合意が要る
候補者の在職状況在職中で平日の時間が取りにくい離職中、または時間の融通が利く

職種の重さは、採用を誤ったときの影響で測ります。パート・アルバイトや、業務範囲が明確な現場職は、面接1回+試用期間での確認という組み立てで十分機能することが多いものです。一方、部門を任せる管理職や、社内に評価できる人がいない専門職は、複数の目で見る価値があります。

決裁者の数は、実務上いちばん見落とされやすい軸です。「社長が最後に会わないと決まらない」会社で一次を現場に任せると、必然的に2回になります。逆に、社長が一人で決めているのに形式的に一次を挟んでいるなら、その一次は削れます。誰が最終的にYesと言うのかを先に確認してください。

候補者の在職状況は、負担の見積もりです。在職中の候補者にとって、平日日中に2度会社を訪ねるのは想像以上に重い。夜間・土曜の面接枠を用意できないなら、回数を減らすか、1回をオンラインにするかの検討が要ります。

3つの軸のうち2つ以上が「2回に分けたい」側に振れるなら2回、そうでなければ1回に寄せる。おおまかにはこの目安で判断できます。

1回に集約するなら、面接の中身を組み替える

1回にするというのは、単に二次を削ることではありません。削った分の情報を1回の中に入れ直す作業が要ります。

まず、面接時間を長めに取ります。仮に、これまで一次30分・二次40分でやっていたなら、1回60分に組み替える。その中で「現場責任者が15分同席する」「後半に職場を見てもらう」といった形にすれば、複数の視点は残せます。実際に働く場所を見てもらう時間は、候補者側の判断材料としても大きいものです。

次に、当日中に決める体制をつくります。1回に集約する最大の利点は、面接した日のうちに結論を出せることです。面接直後に決裁者が5分だけ集まって判断する、と決めておくと、翌日には内定連絡を出せます。ここまで速いと、候補者の意思決定の順番が変わることがあります。

そして、1回にした分だけ、面接後の連絡を厚くします。1回しか会っていない相手に「あとは連絡を待ってください」だけでは、関係が薄いまま時間が過ぎます。面接後のフォローの具体については面接後の「連絡します」で終わらせない。24時間以内の本音確認を参考にしてください。

2回に分けるなら、間隔と「間のフォロー」を決める

2回にすると決めたなら、次に決めるのは間隔です。一般には、一次から二次までの間隔は1週間以内を目安にすると流れが途切れにくくなります。10日を超えると、候補者の熱量は目に見えて下がります。

そのために、順番を逆にします。一次の日程を組む段階で、二次の候補日も仮押さえしておく。「一次の1週間後の火曜と木曜の夕方、社長の枠を空けておく」と決めておけば、一次の翌日には二次の日程を提示できます。決裁者のカレンダーを先に押さえるかどうかで、間隔は1週間にも3週間にもなります。

そして、一次と二次の間を空白にしないことです。この期間にできる連絡は、たとえば次のようなものです。

特に二次の面接官が誰なのかを事前に伝えておくと、候補者は準備ができ、当日の会話の密度も上がります。「社長が出てくると聞いていなかった」という状態は、候補者の緊張だけを高めてしまいます。前日連絡の中身は面接前日のリマインドメール例文。送る内容と気をつけたい一言にまとめています。

回数を変えたら、面接設定率で確かめる

選考回数の設計は、一度決めて終わりではありません。変えたあと、実際に歩留まりが良くなったかを見る必要があります。

見るのは、応募から一次面接までの設定率と、一次から二次への進行率の2つです。回数を2回から1回に減らしたのに応募からの設定率が変わらないなら、詰まっているのは回数ではなく初回連絡のスピードや日程調整の進め方かもしれません。逆に、一次から二次への進行率が低いなら、間隔とフォローに手を入れる余地があります。この測り方は面接設定率という指標。応募からの歩留まりを測る第一歩で解説しています。

選考回数は、見極めの精度と候補者の負担のバランスをとる設計です。「多いほど慎重」でも「少ないほど良い」でもありません。自社が誰の合意で決めているのか、その求人でどこまでのリスクを取れるのかを起点に決めていくと、判断がぶれにくくなります。


社外採用部は、応募の受付から初回連絡、日程調整、面接前後のフォロー、内定・入社フォローまでを、貴社の採用事務局として代行するサービスです。選考回数を2回にしても間隔が空かないよう、日程の先出しと間のフォローまで含めて設計します。料金は月額49,800円〜、初回設計費100,000円(以降の費用は支援内容・工数に合わせて個別にお見積りします)。求人広告の運用そのものではなく、いま来ている応募を入社までつなぐ部分を担います。

自社の選考フローが何回で、どこで時間が空いているのか。一度一緒に整理してみませんか。ご相談はこちらからお気軽にどうぞ。