「採用の窓口を誰かに任せたい」と考えたとき、社内を見渡して、比較的手が空いていそうな人に声をかける。経営者としては自然な決め方です。ただ、任された側には本業があります。採用の連絡は「今日でなくてもいい仕事」に見えやすく、気づけば応募の通知が数日読まれないまま、ということも起こりえます。

この記事では、社内で採用担当を一人決める場面に絞り、若手・ベテラン社員・管理職(社長の右腕)の3タイプを比べます。そのうえで、誰を選ぶにしても見ておきたい条件と、兼務させる場合に先に決めておきたい業務量の上限を整理します。任命された方が最初に何をするかは初めて採用担当を置いた会社の、最初の90日で扱っているので、ここでは「選ぶ側」の判断に絞ります。

「手が空いていそうな人」で選ぶと止まる理由

手が空いている状態は、多くの場合一時的です。本業が忙しくなったとき、最初に削られるのは期限が見えにくい採用の連絡になりやすいものです。

一方で、応募者は他社にも同時に応募していることがあります。連絡が1日遅れるだけで、先に返事をくれた会社へ気持ちが傾くこともあります。つまり採用は、担当者の都合に合わせて待ってくれない仕事です。

さらに、選んだ理由や任せる範囲を伝えないまま任命すると、担当者は判断のたびに社長の返事を待つことになります。人選で見るべきなのは「空いているか」ではありません。「連絡の時間を確保できるか」「判断の範囲をどこまで持てるか」「候補者からどう見えるか」の3点です。

若手・ベテラン・管理職、3タイプを比べる

若手社員ベテラン社員管理職・社長の右腕
候補者からの見え方年齢の近い応募者には話しやすい。条件の質問に即答できないと頼りなく映ることがある仕事の中身を具体的に語れるため、安心感を持たれやすい会社を代表する立場として受け取られ、条件の話もその場でしやすい
時間の取りやすさ予定は比較的空けやすい。ただ、上の人からの依頼で崩されることがある現場の主力だと日中につかまりにくい会議や外出が重なり、連絡が止まる時間帯ができやすい
社長との距離遠い。相談のたびに待ちが生じやすい長年の関係があれば相談しやすい近い。決裁が速い
気をつけたい点判断の範囲を明確に渡す現場の繁忙期と採用の山が重ならないか確認する不在時の代わりを決めておく

どのタイプが正解というより、募集の中身との相性で考えるのが現実的です。若手を採る募集なら、年齢の近い若手が窓口になると応募者が質問しやすくなります。経験者の中途採用なら、仕事の中身を語れるベテランの強みが活きます。条件の交渉が出やすい職種では、その場で話を進められる右腕が向いています。

一人に全部を求めず、「連絡は若手、判断の相談先は右腕」と組み合わせる方法もあります。この場合は、どこまで若手が決めてよいかを紙1枚にしておくと、待ちが減ります。

向いているかは「連絡を後回しにしない人か」で見る

タイプ以上に大切なのは、その人の日頃の仕事ぶりです。採用担当に最も求められるのは、話のうまさよりも、届いた連絡をその日のうちに動かす習慣です。日常業務の中で、次の点を確かめてみてください。

人当たりや言葉づかいは、連絡文のテンプレートや電話の台本で後から補えます。ところが、後回しにしない習慣は型だけでは補いにくい部分です。この点を人選の軸に置くと、判断がぶれにくくなります。

なお、採用担当に採否の判断まで求める必要はありません。面接や合否は社長や決裁者が持つと決めておけば、担当者は連絡と段取りに集中できます。任命するときに、その線引きを本人に伝えておきましょう。

兼務させるなら、業務量の上限を先に決める

兼務の担当者に「できる範囲で」と頼むと、範囲は本業の忙しさに合わせて縮んでいきます。任命と同時に、上限を数字で決めておくことをおすすめします。

仮の数字で考えてみます。応募1件につき、初回連絡から日程調整、前日の連絡、面接後のフォローまでで合計60分かかるとします。担当者が採用に使える時間を1日30分、週5日とすると週2.5時間、月4週で10時間です。この場合、月10件前後がひとまずの上限の目安になります。

ただし、1件の60分は数日に分かれて発生します。初回連絡が同じ日に重なると、30分の枠では足りない日も出てきます。1日のどの時間に対応するかは総務が採用を兼務するときの時間割。応募対応の時間を固定するを、1件あたりの作業の分解は応募10件を1人で回すと何時間かかるのかを参考に、自社の数字で置き換えてみてください。

上限とあわせて、次の2つも決めておくと運用が崩れにくくなります。

社内に適任が見つからないとき

ここまで比べても、「連絡を後回しにしない人」が本業で手一杯だったり、そもそも社内に候補がいなかったりすることもあります。その場合は、採用担当の役割を社外に持つという選択肢もあります。

社外採用部は、中小企業向けの採用事務局です。求人・媒体・スカウトの運用や学校・紹介会社との接点づくりといった母集団形成から、応募の受付、初回連絡、日程調整、面接前後のフォロー、内定・入社フォローまでを代行します。担当は、人事機能・候補者対応・学校まわりなど採用の局面に合わせて当社からアサインします。一人分の人件費の範囲で、複数の役割を使い分けられるのが特徴です。面接そのものと採否の判断は、御社にお任せします。

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