応募数も、面接に進んだ人数も、辞退の連絡も、記録は取っている。けれど月末に見返しても「今月は少なかったな」で終わってしまう。次に何を変えるかが決まらないまま、また同じ1ヶ月が始まる——採用のご支援に入ると、こうした状態の会社によくお会いします。
数字が足りないのではなく、数字を見る場と、その場で決めることが決まっていないだけ、というケースが多いのです。この記事では、月1回30分・参加者2名で回す採用の振り返り会議を、議題の固定と議事メモのひな形という形でご提案します。長い分析レポートは要りません。
数字を集めても打ち手が決まらない理由
打ち手が決まらない会議には、だいたい共通点があります。
ひとつは、見る項目が多すぎることです。媒体別の応募数、職種別の内訳、閲覧数、応募単価。並べれば並べるほど「どれから手をつけるか」の議論が始まり、結論が出ないまま時間切れになります。
もうひとつは、決めるべきことが定義されていないことです。「もう少し様子を見ましょう」「広告も検討しましょうか」で終わる会議は、実行されるアクションがゼロなので、翌月も同じ数字を眺めることになります。
そして三つめが、参加者が多すぎることです。関係者を全員集めようとすると日程が合わず、四半期に一度の大掛かりな会議になってしまう。採用は月単位で動く活動なので、間隔が空くほど手遅れになりやすくなります。
つまり、項目を絞り、決めることを1つにし、人数を減らす。この3点だけで会議は動き出します。
参加者は社長と実務担当の2名で足りる
理想を言えば現場の面接官も入ったほうがよいのですが、揃わないから開けない、が一番もったいない結果を生みます。まずは判断できる人(社長・役員)と、実際に応募者へ連絡している人(総務・管理部門の担当者)の2名で固定しましょう。
この2名で足りる理由ははっきりしています。応募後の対応で詰まっている場所を知っているのは実務担当だけであり、面接枠を増やす・条件を変える・費用を使うといった判断ができるのは経営側だけだからです。この2人が同じ数字を30分だけ一緒に見れば、報告と決裁が同時に終わります。
現場の面接官には、決まったことを共有すれば十分です。全員の合意を取りにいくより、決めて動かして翌月に見直すほうが速く進みます。社長の時間の使いどころについては社長が採用面接だけに集中すると、採用は強くなるでも触れています。
開催タイミングは、月初の第1週。前月分の数字が締まった直後に、30分だけカレンダーに固定してしまうことをおすすめします。
見るのは3つだけ。応募数・面接設定率・辞退理由
30分で扱える情報量には限りがあります。議題は次の3点に固定してください。
| 見る項目 | 何がわかるか | 読み取りの目安 |
|---|---|---|
| 前月の応募数 | 母集団の量。求人側の問題かどうか | 前月・前年同月と比べて増減しているか |
| 面接設定率(面接実施数÷応募数) | 応募後の対応で取りこぼしていないか | 前月から下がっていないか |
| 辞退・離脱の理由 | どの段階で、なぜ人が抜けたか | 同じ理由が2件以上重なっていないか |
応募数だけを見ていると、話は「広告を追加するか」に流れがちです。そこに面接設定率を並べると、いま来ている応募を活かせているかどうかが同時に見えます。計算の仕方と記録方法は面接設定率という指標。応募からの歩留まりを測る第一歩にまとめました。
たとえば仮の数字で、応募20件・面接実施6件なら面接設定率は30%です。翌月に応募が12件へ減っても、面接実施が6件のままなら設定率は50%に上がっています。応募数だけ見れば悪化、対応の質で見れば改善、という読み方ができるわけです。どちらを問題として扱うかで打ち手はまったく変わります。
3つめの辞退理由は、数字ではなく言葉で残します。「連絡が遅かった」「他社が先に決まった」「勤務時間が想定と違った」。件数が少ないうちは集計の必要はなく、そのまま並べるだけで傾向が見えます。同じ理由が2件以上重なったら、それが翌月に手をつける候補です。
決めるのは「次の1ヶ月に変える1つ」だけ
会議の出口は1つに絞ります。**次の1ヶ月で変えることを、1つだけ決める。**複数決めても実行されませんし、複数変えると翌月にどれが効いたのか判別できなくなります。
変える1つは、できるだけ小さく、担当者と期限がはっきりするものにしてください。
- 応募通知が届いたら、その日のうちに一次連絡を入れる(担当・今月中)
- 毎週水曜の16〜18時を面接枠として仮押さえする(担当・来週から)
- 面接前日にリマインドのSMSを送る運用を始める(担当・次の面接から)
- 不採用連絡を1週間以内に必ず出す(担当・今月中)
「応募を増やす」「候補者体験を良くする」といった大きな目標は、そのままでは実行できません。誰が・いつ・何をするかまで落とし込めているかを、会議の最後に必ず確認してください。なお、応募数の少なさが議題に上がったときの順番については応募が少ない会社が、応募を増やす前にやるべきことが参考になります。
議事メモは1枚。ひな形をそのまま使う
記録は、A4半分で十分です。毎月同じ枠に書き込むだけにしておくと、前月分と並べたときに変化が読めます。
■ 採用振り返り( 年 月分) 参加:社長/ 所要30分
1. 前月の数字
応募数 件(前月 件)
面接実施数 件 → 面接設定率 %(前月 %)
内定 件/入社 件
2. 辞退・離脱(誰が、どの段階で、理由)
・
・
3. 先月決めた「変える1つ」はできたか
□ できた □ 途中 □ できなかった(理由: )
4. 今月変える1つ
内容:
担当: 期限:
大事なのは3番の欄です。前回決めたことができたかを冒頭で確認する習慣がないと、決めっぱなしが積み上がっていきます。できなかった場合は責めるのではなく、「なぜできなかったのか」を1分だけ話してください。多くは意思の問題ではなく、日中に手が空かない・判断する人が捕まらないといった構造の問題です。
3ヶ月ほど続けると、自社がどこで詰まりやすいかの傾向が見えてきます。応募数が読めないのか、初回連絡が遅れるのか、面接後に離脱するのか。感覚を数字に置き換える視点は候補者体験を測る指標。感覚を数字に置き換える5つの物差しにも整理していますので、慣れてきたら見る項目を1つだけ足すのもよいと思います。
振り返りを続けると、「変えるべきことは分かっているが、日々の業務の中では手が回らない」という結論に行き着く会社が少なくありません。応募の受付、初回連絡、日程調整、面接前後のフォロー——決めた運用を毎日欠かさず回す部分こそ、外に持たせやすい領域です。
社外採用部は、応募が来たあとの候補者対応を御社の採用事務局として代行するサービスです。月額49,800円〜(初回設計費100,000円で、以降は支援内容・工数に合わせて個別にお見積りします)で、まずは自社の数字と詰まりどころの整理からご一緒します。振り返り会議で出てきた「変えたい1つ」がある方は、お問い合わせからお気軽にご相談ください。
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