面接の時間になって受付に出てみたら、候補者がひとりではなく、お母さまと並んで立っている。あるいは、高齢の応募者が奥さまと一緒に来られて「私も一緒に聞いてよろしいですか」と言われる。そんな場面に出くわして、断るのも角が立つし、そのまま通すのも違う気がして、対応に迷ったことはないでしょうか。

同伴者が現れるのは、高卒・専門卒などの若年層、そしてシニア層の採用で比較的よく起こります。その場で判断しようとすると、担当者によって扱いがばらつき、候補者にも同伴者にも中途半端な印象が残ります。あらかじめ「こういうときはこうする」と決めておけば、慌てずに済みます。

同伴者が来るのは、不信ではなく不安のあらわれ

まず前提として、同伴者が来ること自体を警戒しすぎる必要はありません。多くの場合、その背景にあるのは会社への不信ではなく、単純な不安です。

十代の応募者であれば、保護者にとっては「どんな会社で働くのか」が最大の関心事です。学校経由ではなく本人が求人サイトから応募した場合は、学校の先生というフィルターも通っていませんから、保護者が自分の目で確かめたいと考えるのは自然なことです(ルートによる違いは高卒・専門卒の応募。学校経由と本人応募で対応が違うでも整理しています)。

シニア層の場合は、体力面や勤務時間、通勤の安全について家族が気にしていることが多いようです。清掃やビルメンテナンスの職種でも、配偶者が同行されるケースがあります。本人は乗り気でも、家族が納得していないと入社直前で話が止まることがあり、家族の不安はいずれどこかで向き合う必要があるものです。

そう考えると、同伴者が来たという事実は「家族の不安が可視化された機会」でもあります。追い返すのではなく、どう扱うかを設計しておくほうが得策です。

同席させるか、待合で待ってもらうか

とはいえ、最初から最後まで同席していただくと、面接が成立しにくくなる場面があります。本人に質問しているのに同伴者が答えてしまう、本人が同伴者の顔色をうかがって本音を言わない、といったことが起こりやすいためです。

基本の型としては、面接そのものは本人とだけ行い、その前後に同伴者と話す時間を短く設けるのが扱いやすい形です。判断の目安を整理すると、次のようになります。

状況扱いの目安
本人が成人で、同伴者が「送ってきただけ」待合でお待ちいただく。終了後に必要なら数分ご挨拶
未成年、または保護者の同意が必要な雇用条件面接は本人と。終了後に条件説明の時間を10〜15分設ける
シニアで、勤務内容・健康面の確認が必要面接は本人と。終了後に業務内容と勤務時間を同席で説明
同伴者が本人の代わりに話そうとする「まずご本人に伺わせてください」と最初に一言お願いする

いずれの場合も、待合でお待ちいただくときは「ご本人のお話を伺ったあとで、◯◯様にもご説明のお時間をいただきます」と、待つ理由と先の見通しを伝えるようにします。理由のない待機は、それだけで印象を損ねます。受付から着席までの数分の扱いについては来社してから面接が始まるまでの5分で、印象は決まるもあわせてご覧ください。

同席いただく場合、伝える範囲と時間を先に決める

同伴者に同席いただくと決めたら、その時間で何をどこまで話すかを先に決めておきます。決めずに始めると、条件交渉のような流れになったり、逆に世間話で終わってしまったりします。

目安としては10〜15分程度、伝える内容は次の3つに絞ると収まりがよくなります。

  1. 仕事の中身:一日の流れ、身体的な負担の程度、誰と働くか
  2. 勤務条件:勤務時間、休日、給与の考え方、試用期間の有無
  3. 入社後の流れ:最初の数週間で何を教えるか、相談窓口は誰か

ここで大切なのは、同伴者に話す内容を本人に話した内容と一致させることです。家に帰ってから食い違いが発覚すると、それだけで信用を失います。求人票と面接での説明がずれると、辞退されるでも触れたとおり、条件そのものより「説明がぶれたこと」のほうが辞退の引き金になりやすいものです。

一方で、同伴者から本人の家庭事情や健康状態を根掘り葉掘り聞くのは避けます。同伴者がいると、つい話しやすい雰囲気で家族構成や生活状況に踏み込んでしまいがちですが、本人に聞けないことは同伴者にも聞けません。この線引きは面接で聞いてはいけない質問。悪気のない一言が問題になるの考え方がそのまま当てはまります。

本人の意思を、本人の言葉で確認する

同伴面接でいちばん気をつけたいのは、「誰が働くのか」が曖昧になることです。同伴者が熱心であるほど、本人の意思が見えにくくなります。

そのため、同伴者が同席する前の時間に、本人の言葉で次のことを確認しておきます。

答えが短くても構いません。本人が自分の言葉で話せているかどうかが確認したい点です。もし本人の言葉がほとんど出てこないようであれば、選考を止めるというより、次の接点を一度本人だけで設けるという選び方があります。たとえば職場見学を本人のみでお願いし、そこでの様子をもう一度見る、といった進め方です。

内定を出したあとも、家族が判断に関わる構図は続きます。承諾後の辞退理由に家族の反対が隠れていることもありますから、面接時点で家族が何を気にしていたのかをメモに残しておくと、その後のフォローが組み立てやすくなります。内定辞退は直前に起きる。兆候のつかみ方と入社までのフォローとあわせて考えていただくとよい部分です。

事前案内に一行入れておくと、当日慌てない

ここまでの対応をその場でやるのは負担が大きいので、いちばん効くのは予防です。面接の日程が確定したときに送る案内文に、一行入れておきます。

ご家族の方がご同行される場合は、当日受付にてお知らせください。面接はご本人様と行い、終了後にご家族の方へ業務内容と勤務条件をご説明するお時間(15分程度)をご用意いたします。

この一行があるだけで、当日の受付で判断を迫られる場面がほとんどなくなります。同伴者にとっても「来てよいのか」「邪魔ではないか」という迷いが消えるので、予定を立てやすくなります。若年層やシニア層の募集をしている会社であれば、案内文のテンプレートに常時入れておいてよい項目です。

もう一歩進めるなら、面接後に同伴者へ渡す資料をA4一枚用意しておくと、説明の時間が短くても内容が家に持ち帰られます。口頭だけの説明は、帰り道で記憶が半分になります。


同伴者が来る場面は、事前に型を決めておけば戸惑うことのない場面です。むしろ、家族の不安に早い段階で向き合える機会と捉えたほうが、その後の承諾や定着にはつながりやすくなります。

とはいえ、こうした案内文の整備や当日の段取りを、本業の合間に一つひとつ設計していくのは簡単ではありません。社外採用部では、応募の受付から日程調整、面接前後のフォロー、内定・入社までの連絡を採用事務局として代行しています。面接案内の文面づくりや同伴時の運用ルールの整理も、設計の中に含めてご一緒します。自社の採用でどこに手が回っていないか整理したい方は、こちらからお気軽にご相談ください。