求人媒体に有料で掲載し、ハローワークにも出し、社員にも声をかけてもらった。そのうえで応募は何件か来たものの、どの出稿から来た応募なのかがはっきりしない。媒体の管理画面には数件しか載っていないのに、手元には電話で直接かかってきた応募や紹介の話が混ざっている。そんな状態のまま、次の掲載を続けるか、別の媒体に替えるかを決めなければならない時期が来ます。
この記事では、応募の経路(どこで求人を見て応募してきたか)を記録する方法だけに絞って扱います。最初の電話で聞く一言、聞きそびれた応募の推定、媒体名の表記ゆれを揃える運用の3点です。応募者管理表に何を残すかという全体像は、応募者の記録は何を残せばいいのか。最低限の6項目で整理しています。
経路が分からないまま、次の予算は決まってしまう
経路が分からなくなるのは、応募の入口が一つではないからです。媒体の応募フォームから来た応募は管理画面に記録されます。ところが求人票に載せた電話番号へ直接かけてきた人は、どの求人を見たのかが会社側に伝わりません。ハローワークの求人票、求人検索エンジンの無料掲載、折込チラシ、自社サイトのいずれにも同じ番号が載っていれば、着信だけでは区別がつかないのです。
仮の数字で考えてみます。ある月、媒体Aの管理画面には応募4件と表示されていたとします。それとは別に、出所の分からない電話応募が6件ありました。この6件がすべて媒体Aを見た人なら、媒体Aからの応募は実質10件です。ひとつもAを見ていなかったなら、4件のままです。同じ掲載費でも、10件と見るか4件と見るかで「続けるか、やめるか」の判断は逆になり得ます。
媒体の管理画面は、その媒体経由の応募しか数えません。経路をまたいだ比較は、自社の記録でしかできないということです。掲載1回ごとの費用対効果の見方は求人広告費を回収できているか。掲載1回ごとに確認する3つの数字で解説していますが、その計算も経路の記録が正しいことが前提になります。
最初の電話で聞く一言
経路をいちばん確実に取れるのは、本人に聞くことです。言い方は次の一言で足ります。
「ちなみに、今回の求人はどちらでご覧になりましたか」
ポイントは、こちらから選択肢を並べないことです。「求人サイトですか、ハローワークですか」と聞くと、相手は覚えていなくてもどちらかに合わせて答えることがあります。まずは自由に答えてもらいましょう。
聞くタイミングは、連絡の向きで変えます。
- 候補者から電話がかかってきた場合:用件を聞いて名前と連絡先を控えた直後に聞きます。日程の話が終わると、そのまま電話が切れることがあるためです。
- こちらから初回連絡をする場合:面接日が決まったあとの締めに添えます。冒頭で聞くと、アンケートのような印象を与えることがあります。
答えが「ネットで見ました」のようにあいまいなときは、一段だけ掘り下げます。「求人サイトでしたか、検索の画面でしたか。サイト名を覚えていらっしゃれば教えてください」と聞き、それでも思い出せなければ深追いはしません。経路の確認は選考の本筋ではないので、候補者に負担をかけてまで聞く必要はないからです。その場合は「不明」と記録して次へ進みます。
紹介で来た方には「どなたからお聞きになりましたか」と聞きます。紹介者の名前まで控えておくと、報奨金の手続きや紹介者へのお礼が漏れにくくなります。メールで初回連絡をする場合は、日程候補の下に「差し支えなければ、求人をご覧になった場所を教えてください」と一文添えておく方法もあります。
この一言を担当者の記憶に頼らず残すには、電話の会話台本や連絡文テンプレートに最初から書き込んでおくのが手堅い方法です。日程調整の台本は電話で面接日程を決める。最初の3分の会話台本にまとめています。
聞きそびれた応募は、推定で埋めて印をつける
聞き忘れた、あるいは本人が覚えていなかった応募は、手元の手がかりから推定できることがあります。
| 手がかり | 推定できること | 注意点 |
|---|---|---|
| 着信・応募の日時 | その時点で掲載中だった媒体に絞り込める | 複数の媒体が同時に掲載中だと絞り切れない |
| かかってきた電話番号 | 媒体ごとに番号を分けていれば、どこを見たか分かる | 番号を分けていなければ使えない |
| 応募者が口にした求人タイトルや条件 | 媒体ごとに原稿の書き方が違えば見分けられる | 原稿が共通だと区別できない |
| チラシの配布日や地域 | 配布直後の近隣からの電話はチラシの可能性がある | ほかの媒体と期間が重なると曖昧になる |
推定で埋めた経路は、確かめた経路と混ぜないことが大切です。記録欄の横に「確定」「推定」「不明」の印を付けておきましょう。月末に集計するときは、確定だけで数えた場合と推定を含めた場合の両方を見ると、判断がぶれにくくなります。
聞きそびれた分は、あとから取り戻す機会もあります。面接当日の受付や面接冒頭の雑談で「ところで、求人はどちらでご覧になりましたか」と聞けば、多くの場合は自然に答えてもらえる場面です。推定の欄に入れていた応募も、ここで確定に書き換えられます。
媒体名の表記ゆれを揃える
経路を聞けていても、記録の書き方がばらばらだと集計の段階で崩れます。ある人は「Indeed」、別の人は「インディード」、また別の人は「ネット求人」と書けば、同じ経路が三つに分かれて数えられてしまいます。「ハローワーク」「ハロワ」「職安」も同じです。
これを防ぐには、記録に使ってよい名称を先に決め、選択式にしてしまうのが手早い方法です。Excelならプルダウン(入力規則)で選択肢を固定できます。
| 記録する名称の例 | 含めるもの |
|---|---|
| 媒体A(有料) | 媒体Aの有料掲載枠からの応募 |
| 検索エンジン(無料) | Indeedなどの無料掲載からの応募 |
| ハローワーク | 紹介状あり・なしの両方。違いは備考欄へ |
| 社員紹介 | 紹介者名は備考欄へ |
| チラシ・貼り紙 | 配布日や掲示場所は備考欄へ |
| その他 | 上記に当てはまらないもの。中身は備考欄へ |
| 不明 | 本人に聞いても分からなかったもの |
同じサービスでも有料枠と無料枠は分けておきます。費用がかかっている枠の評価を、無料枠の応募が水増ししてしまうことがあるためです。
運用のルールは三つで足ります。選択肢を追加・変更できるのは一人に決めること。新しい媒体に出稿するときは、掲載開始の前に選択肢を足しておくこと。月に一度「その他」の中身を見て、同じ名前が繰り返し出ていれば独立した選択肢に昇格させること。媒体ごとに通知先がばらけている場合は、記録の前に受け口を一つにまとめる必要があります。その手順は複数媒体の応募をどこで一元管理するか。抜け漏れが起きる場所を参照してください。
経路の記録が途切れやすいのは、出稿を決める人と応募を受ける人が別々になっているときです。掲載中の媒体や原稿の違いを受付側が知らなければ、推定もできません。社外採用部では、求人・媒体の運用と、応募の受付・初回連絡・日程調整をあわせて代行できます。どの求人が効いたのかを次の予算判断に使える形で残したい方は、こちらからお気軽にご相談ください。
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