一度決まった面接日の前日に、「申し訳ありません、その日は都合がつかなくなりました」という連絡が入る。1回目は「お仕事もありますし、仕方ないですね」と快く別日を押さえる。ところが新しい日程の直前に、また同じ連絡が届く。ここで多くの経営者や総務の方が迷います。断れば印象が悪いし、応じ続ければ面接官の予定を何度も押さえ直すことになる。しかも、この候補者が本当に入社する気があるのかも見えなくなってくる。
この記事では、会社都合ではなく候補者側からのリスケ依頼に絞って、1回目と2回目以降で何が変わるのか、角を立てずに状況を確かめる聞き方、そして「何回まで」を社内でどう決めておくかを整理します。
1回目の変更は、意欲の問題ではないことが多い
結論から言えば、1回目の日程変更は意欲低下のサインとして扱わないほうが無難です。中途採用の候補者の多くは在職中です。前日に急な客先対応が入る、シフトが変わる、子どもが熱を出す。こうした事情は誰にでも起こります。また、転職活動をしていること自体を職場に知られたくないため、平日日中に動ける時間を確保するのに苦労している方も少なくありません。
むしろ、無断でキャンセルせず「変更したい」と連絡を入れてきた時点で、選考を続けたい意思はある程度あると考えられます。ここで渋い反応を返すと、候補者は「この会社は事情を汲んでくれない」と受け取ります。1回目は、
- まず事情を気遣う一言を返す
- その場で代替候補日を3つ程度こちらから提示する
- 可能なら、より近い日程と、相手が動きやすい時間帯(早朝・夕方以降・オンライン)も添える
この3点をセットにして、できるだけ短い往復で決め直すのが基本です。候補日の出し方そのものに不安がある場合は、中小企業の面接日程調整が空中分解する理由と直し方もあわせてご覧ください。
2回目以降は、何が起きているかを見極める
変更が2回目になると、意味合いが変わってきます。単に予定が合わないだけのこともあれば、他社の選考が先に進んでいて、そちらを優先している場合もあります。後者であれば、こちらの面接日は「空いた時間に入れる予定」になっており、他社の予定が入るたびに後ろへずれていきます。
見分けのヒントは、変更依頼そのものの中にあります。
| 見るポイント | 続ける意思がありそう | 優先順位が下がっている可能性 |
|---|---|---|
| 連絡のタイミング | 数日前までに連絡が入る | 当日・直前の連絡が続く |
| 理由の伝え方 | 具体的な事情が添えられている | 「都合により」だけで終わる |
| 代替日の提示 | 自分から候補日を出してくる | こちらの提示を待つだけ |
| 返信の速さ | 変更前と変わらない | 以前より明らかに遅くなった |
右側に複数当てはまるなら、日程を押さえ直す前に、一度状況を確認したほうが時間を無駄にせずに済みます。連絡そのものが途絶えかけているときの備えは、選考中の音信不通にどう備えるか。連絡が途絶える前にできることで扱っています。
角を立てずに状況を確認する聞き方
ここで「他社も受けていらっしゃいますか」「本当にご入社の意思はありますか」と直球で尋ねると、候補者は責められたと感じて離れていきます。聞きたいのは意欲の有無そのものではなく、いつなら確実に時間が取れるのかと、選考を急ぐ事情があるかの2点です。
電話やメッセージで使える言い回しの例です。
ご連絡ありがとうございます。日程の件は承知しました。お忙しい時期かと思いますので、無理のない日で改めて組ませてください。 差し支えなければ、今お仕事の状況で確実に時間が取りやすいのは、平日の夕方以降と土曜のどちらでしょうか。 また、他社様の選考も並行されている場合は、お返事の期限など決まっていればお聞かせください。こちらの進め方を合わせます。
最後の一文がポイントです。他社の存在を前提として認めたうえで「合わせます」と伝えると、候補者は正直に答えやすくなります。ここで「実は来週、別の会社の最終があって」と返ってくれば、こちらも選考を前倒しするか、一次をオンラインに切り替えるかを判断できます。逆に、この問いかけにも曖昧な返事しか来ない場合は、優先順位が下がっていると見てよいでしょう。他社比較が明確になった場合の向き合い方は、中途採用の「他社と迷っています」への向き合い方が参考になります。
上限の目安は2回。3回目は「保留」に置き換える
会社として決めておきたいのは、断る基準ではなく、再調整に自社の工数をどこまで使うかの目安です。ひとつの考え方として、次のような線引きが扱いやすいと思います。
- 1回目:理由を問わず応じる。即座に代替候補日を提示する
- 2回目:応じる。ただし上記の確認を添え、候補者自身に日時を指定してもらう
- 3回目:新しい日程をこちらから押さえ直すことはせず、「ご都合がついたタイミングでご連絡ください」と一旦ボールを渡す
3回目を「お断り」ではなく「保留」にするのは、事情が落ち着いてから戻ってくる方が一定数いるためです。扉を閉めずに、こちらの枠を押さえ続けることだけをやめる。この形なら、候補者の心証を損ねずに社内の手間を止められます。
保留に切り替えるときの文面は、突き放した印象にならないよう注意してください。「選考は引き続き可能です」「◯月◯日頃までにご連絡いただければ、同じ条件でご案内できます」のように、期限と戻れる条件を添えると、双方が宙ぶらりんになりません。
なお、ここでいう回数はあくまで目安です。採用が急がれる職種か、応募がそもそも少ない職種かによって、許容できる回数は変わります。自社の応募状況と照らして、社内で先に決めておくことが大切です。
変更が起きにくい日程の組み方
そもそもリスケが頻発する会社には、日程の組み方に共通した事情があることが多いものです。面接日が2週間先になっている、面接官の空きが週に1枠しかない、候補日を1つだけ提示している。こうした状態では、候補者側のわずかな予定変更がそのまま面接の延期につながります。
対策はシンプルです。
- 面接枠を先に仮押さえしておく。応募が来てから面接官の予定を探すと、提示できる日が遠のきます(面接枠が取れない。現場が忙しい会社の面接枠の作り方)
- 初回提示を直近含む3候補にする。応募から面接までの間隔が空くほど、変更も辞退も起きやすくなります
- オンラインや時間短縮の選択肢を用意する。在職中の方には、移動時間のない30分のオンライン面談のほうが予定を合わせやすい場合があります
- 前日のリマインドを欠かさない。前日連絡は、変更の申し出を当日ではなく前日に引き出す効果も期待できます(面接の無断キャンセルを防ぐ。原因と前日までにできる予防策)
候補者の事情に合わせて何度も調整し直す作業は、一件ずつは数分でも、面接官の予定確認と社内連絡を挟むと想像以上に時間を取られます。本来は、面接そのものと採否の判断にこそ社長や現場責任者の時間を使いたいところです。
当社の「社外採用部」は、応募の受付から初回連絡、日程調整、面接前後のフォローまでを社外の採用事務局として引き受けます。リスケの受け止めと再調整、保留に切り替える際の文面といった細かな判断も、御社で決めたルールに沿って代わりに回します。面接と採否の判断は御社に残したまま、それ以外の手間を減らしたいという方は、こちらからお気軽にご相談ください。現在の応募状況を伺ったうえで、どこから手を入れるのが早いかをご提案します。
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