求人媒体を申し込んだとき、管理画面に自動返信メールの設定欄があったはずです。初期状態のまま、あるいは媒体が用意した例文を少し直しただけで運用している会社は少なくありません。応募があったことに気づくのは翌朝で、その間に候補者へ届いているのは「この度はご応募ありがとうございます。追ってご連絡いたします」という一文だけ、という状態です。
この一文が間違っているわけではありません。ただ、応募した側から見ると、この文面では「いつ連絡が来るのか」「連絡が来なかったらどうすればいいのか」が分かりません。夜に応募して朝まで何の見通しもないまま待つ時間は、思っている以上に候補者の気持ちを冷まします。自動返信は人が動くまでの時間を埋める役割を持っていて、そこに何を書くかで、翌日の電話のつながりやすさまで変わってきます。
媒体の標準文面のままだと、何が足りないのか
標準文面の多くは「受領した事実」を伝えるところで終わっています。これは事務的には正しいのですが、候補者が応募直後に抱えている疑問とは少しずれています。
応募した人が知りたいのは、おおむね次の3つです。応募がちゃんと届いたのか。次はいつ、どんな形で連絡が来るのか。こちらから聞きたいことがあるとき、どこに連絡すればいいのか。このうち標準文面でカバーできているのは1つ目だけ、というケースが多いのです。
とくに複数の求人に同時応募している候補者にとって、どの会社から返事が来て、どの会社が止まっているのかは、連絡の見通しがあるかどうかで判断されます。「3営業日以内にご連絡します」と書いてある会社と、何も書いていない会社では、電話に出る心構えが変わります。応募後1時間以内の初回連絡が、採用の歩留まりを変える理由でも触れていますが、人による連絡が速いに越したことはありません。ただ、夜間や休日の応募には物理的に間が空きます。その間をつなぐのが自動返信の仕事です。
最低限入れる4項目
細かく作り込む前に、この4つが入っているかを確認してください。
| 項目 | 書くこと | 書かないほうがよいこと |
|---|---|---|
| ①応募への感謝 | 応募してくれたことへの一言 | 長い会社紹介、理念の説明 |
| ②受領した旨 | 内容を確認した/確認中であること | 「選考いたします」という上から目線の表現 |
| ③次の連絡の目安 | いつまでに、誰から、どんな手段で連絡するか | 「追って」「後日」など期限のない言葉 |
| ④問い合わせ先 | 電話番号、受付時間、担当部署名 | 代表番号だけで取り次ぎ先が不明な状態 |
とくに差が出るのは③です。「3営業日以内」「翌営業日中」のように期限を数字で書くと、候補者は待てるようになります。同時に、書いた以上はその期限を守る運用が必要になります。守れない期限を書くと、かえって信頼を損ないます。実態として5日かかるなら、はじめから「5営業日以内」と書いて、早く連絡が来たぶんには好印象になる設計のほうが安全です。
④も見落とされがちです。応募者が自分から連絡したくなる場面は実際にあります。面接の日程を先に相談したい、履歴書の送り先を確認したい、急いで決めたいので早く話したい。そのときに「代表番号しか分からず、誰に取り次いでもらえばいいか分からない」状態だと、問い合わせそのものを諦めてしまいます。誰が電話に出ても同じ対応にする。応募者からの着信の受け方とあわせて整えておくと、受けたあとの対応も揃います。
短い文例と、どこまで個別感を出すか
まず、骨組みだけの短い版です。仮の社名で書いています。
○○様
このたびは株式会社△△の求人にご応募いただき、ありがとうございます。 ご応募の内容を確かにお預かりしました。
内容を確認のうえ、2営業日以内に採用担当の□□よりお電話またはSMSでご連絡いたします。日中お電話に出られない場合も、折り返しのご都合のよい時間帯をうかがいますのでご安心ください。
ご不明な点やお急ぎのご事情がありましたら、下記までお気軽にご連絡ください。 株式会社△△ 採用担当 □□ 電話:000-000-0000(平日9:00〜17:00)
※本メールは自動送信です。
これで4項目が揃います。ここに個別感を足すとしたら、候補は2つです。ひとつは、職種ごとに文面を分けること。ドライバー募集と事務募集では、気になることも連絡が取りやすい時間帯も違います。職種別に自動返信を用意できる媒体なら、「面接は□□営業所で行います」「勤務シフトについてもお電話でご説明します」といった一行を足すだけで、ぐっと自分宛てらしくなります。
もうひとつは、担当者の名前を出すことです。「採用担当者より」ではなく「採用担当の□□より」と書くと、翌日の電話で名乗ったときに相手の警戒が一段下がります。知らない番号からの着信でも、一度名前を見ていれば受け取り方が変わります。
一方で、自動返信に候補者の経歴へのコメントを入れようとすると、自動では書けません。無理に個別感を出そうとせず、個別のやり取りは人が行う初回連絡に任せるほうが現実的です。自動返信と人の連絡の役割分担については応募者への自動返信メールだけでは足りない理由で整理しています。
長い自動返信は、かえって読まれにくい
丁寧にしようとするほど文面は長くなります。会社沿革、事業内容、代表挨拶、選考フローの詳細、持ち物の案内、アクセス、よくある質問。全部入れたくなる気持ちは分かりますが、応募直後のメールはスマートフォンで数秒だけ開かれることが多く、長い文章はスクロールされずに閉じられやすくなります。
削る順番の目安はこうです。まず、面接が決まってから伝えればよい情報(会場の地図、持ち物、服装)を外します。次に、求人票に書いてある情報の繰り返し(仕事内容、給与、勤務時間)を外します。最後に、会社紹介を1〜2行に圧縮します。残るのが先ほどの4項目です。
削った情報は捨てるのではなく、面接日程が確定したときの案内メールに移します。段階ごとに必要な情報を出し分けたほうが、どの連絡も読まれやすくなります。文面の言葉づかいそのものが硬すぎて距離ができている場合は、応募者に伝わる日本語で書く。業界用語と社内用語を落とすもあわせてご覧ください。
書き換えたあとに決めておく2つのこと
文面を直しただけでは完結しません。自動返信に期限を書いた以上、社内でその期限を守る段取りが必要になります。
ひとつは、誰がいつ応募に気づくかです。通知メールが代表アドレスにしか届いていない、担当者が外出していて夕方まで開かない、という状態では「2営業日以内」は簡単に破れます。応募は夜と土日に来る。営業時間外の応募をどう受けるかで触れているとおり、応募の多くは会社が動いていない時間に届きます。通知の宛先と、朝いちばんに誰が確認するかを決めてください。
もうひとつは、連絡がつかなかった場合に自動返信の内容と矛盾しないかです。「お電話でご連絡します」と書いておきながら、1回かけて出なかったのでそのまま放置、では書いた約束を守っていないことになります。何回・何日あけて追うかまで決めておくと、文面と運用が揃います。
自動返信の文面を直す作業そのものは、30分もあれば終わります。手間がかかるのは、そのあとの「書いた期限を毎回守る」部分です。社長や総務の方が本業の合間に対応している会社ほど、ここが続かずに元に戻ってしまいます。
社外採用部は、応募の受付から初回連絡、日程調整、面接前後のフォローまでを、採用の局面に合わせた担当が社外から引き受ける採用事務局のサービスです。自動返信の文面設計や通知の受け方といった初期の整備も含めて、月額49,800円〜・初回設計費100,000円を起点に、支援内容と工数に合わせて個別にお見積りしています(面接そのものと採否の判断は御社にお任せします)。いまの文面と運用を一度見てほしい、という段階でも構いません。こちらからお気軽にご相談ください。
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