求人を出したところ、外国籍の方から応募が入った。悪くない経歴に見えるけれど、在留資格のことがよく分からない。うちで雇っていいのか判断がつかず、返信の手が止まったまま数日が過ぎている――採用のご相談をいただく中で、こうした場面は珍しくありません。
制度を一から勉強してから返事をしようとすると、たいてい間に合いません。応募者は他社にも応募していますし、返信が遅ければ日本人の応募者と同じように離れていきます。この記事では、制度解説ではなく「応募が来たあと、初回連絡で何をどう聞き、どこまで確認できたら面接に進めるか」という実務の順番に絞ってお伝えします。なお、最終的な就労可否の判断は個別の事情によって変わるため、断定的な法解釈は避け、確認先まで含めてご案内します。
調べてから返信するのではなく、聞きながら並行して進める
最初に決めておきたいのは、「在留資格が確認できるまで連絡を止めない」という方針です。
在留資格の内容は、応募者本人に聞けば分かることがほとんどです。在留カードという本人が持っているカードに、在留資格の種類と在留期間の満了日が記載されています。つまり、こちらが調べ物をするより、本人に尋ねるほうが早いのです。
一方で、面接日を先に押さえておかないと、確認が終わった頃には候補者の予定が埋まっています。おすすめしているのは、初回連絡の中で「確認事項を聞く」と「面接候補日を出す」を同時に行う進め方です。確認の結果、どうしても採用が難しい状況だと分かった場合は、面接前に丁寧にお詫びして取り下げれば済みます。止めるより、進めながら確認するほうが取りこぼしは減りやすくなります。
初回連絡のスピードそのものについては応募後1時間以内の初回連絡が、採用の歩留まりを変える理由でも整理していますが、外国籍の方の場合は「確認事項が多いから遅れる」という理由で初動が鈍りがちです。ここを意識的に切り離しておきたいところです。
初回連絡で確認する3つのこと
応募後すぐに押さえたいのは、次の3点です。それ以外は面接のときで構いません。
| 確認すること | なぜ応募直後に必要か |
|---|---|
| 在留資格の種類と在留期間の満了日 | 職務内容と合うか、更新時期が入社予定日と近くないかを見るため |
| 就労に制限があるか(時間の上限など) | シフトや勤務時間の設計に直結するため |
| 日本語でのやり取りの方法 | 電話が難しい場合、連絡手段を早めに切り替えるため |
聞き方の文例
在留資格の確認は、疑っているように受け取られないよう、全員に同じ手続きとして案内していることを添えると伝わりやすくなります。
ご応募ありがとうございます。株式会社〇〇の△△と申します。 選考を進めるにあたり、当社では在留資格をお持ちの方に共通でご確認をお願いしております。 差し支えなければ、次の2点をお教えください。 ①在留カードに記載の在留資格(たとえば「技術・人文知識・国際業務」「定住者」など) ②在留期間の満了日 あわせて、面接の候補日を3つお出しします。ご都合の良いものをお選びください。 ・9月25日(木)10:00 / ・9月26日(金)14:00 / ・9月29日(月)10:00
就労時間の制限については、こう尋ねます。
資格外活動許可をお持ちの場合、就労できる時間に上限が定められていると伺っております。 現在ほかにお仕事をされているか、週に何時間まで働けるかをお教えいただけますでしょうか。
留学生の方などが持つ資格外活動許可には、法令上、働ける時間の上限が定められているとされています。具体的な時間数や例外の扱いは状況によって異なるため、社内で断定せず、後述の窓口で確認するのが安全です。
日本語でのやり取りについては、能力を問う聞き方ではなく、手段の希望を聞く形にします。
ご連絡方法について、お電話・メール・SMSのうちご希望はございますか。 日本語でのお電話が難しい場合は、文章でのやり取りに切り替えますのでお知らせください。
電話がつながりにくいときの手順そのものは応募者に電話がつながらない。SMS・メールを組み合わせた連絡の順番と同じ考え方で進められます。
在留カードは「見せてもらう」タイミングを決めておく
口頭やメールで聞いた内容は、どこかの時点で現物と照らす必要があります。多くの会社では、面接当日に在留カードをご持参いただき、その場で表と裏を確認する運用がとられています。応募直後にコピーの送付を求めると、個人情報の受け渡しが発生するうえ、応募者側の手間で離脱が起きやすくなるためです。
確認するのは、在留資格の種類、在留期間の満了日、裏面の資格外活動許可の記載の有無、氏名と生年月日です。記載内容が求人の職務や勤務時間と合うかどうかを、その場で照らします。判断がつかない項目があれば、「社内で確認して〇日以内にご連絡します」と期限を切って持ち帰れば十分です。その場で曖昧に「大丈夫だと思います」と答えてしまうと、あとで条件が変わったときに信頼を失います。
なお、在留カードのコピーや個人情報を社内のどこまでで共有するか、外部に委託する場合はどう扱うかは、事前に線を決めておきたいところです。考え方は応募者の個人情報、どこまで社外に出していいのかにまとめています。
社内で判断できないときの相談先
読んでも分からない、記載の意味が判断できない。これは珍しいことではありません。自己流で解釈するより、公的な窓口に確認するほうが早く、確実です。
- 出入国在留管理庁の外国人在留総合インフォメーションセンター:在留資格の内容や就労の可否に関する一般的な照会ができます。電話での問い合わせにも対応しています。
- ハローワークの外国人雇用サービスコーナー:雇用に関する相談のほか、外国人を雇い入れた際・離職した際の届出についても案内を受けられます。
- 顧問社会保険労務士・行政書士:雇用契約や手続きの実務について、自社の状況に即した助言を受けられます。在留資格の申請手続きは行政書士の領域になります。
問い合わせるときは、「どの在留資格の方が」「どの職務で」「週何時間の勤務で」という3点を揃えてから電話すると、話が早く進みます。逆にこの3点が曖昧だと、窓口でも一般論しか返ってきません。応募直後の確認は、この3点を揃えるための作業でもあるわけです。
確認した内容は、記録に残して社内で共有する
外国籍の方の応募対応でつまずきやすいのが、「聞いたはずのことが誰にも共有されていない」状態です。初回連絡で在留資格を確認した担当者と、面接する現場責任者と、入社手続きをする総務が別々の場合、同じことを三度聞かれて候補者の心証を損なうことがあります。
応募者の記録に、在留資格の種類・満了日・就労時間の制限の有無・希望する連絡手段の4つを追記しておくだけで、この重複はかなり防げます。記録項目の作り方は応募者の記録は何を残せばいいのか。最低限の6項目をご参照ください。
そして入社が決まったあとは、在留期間の満了日をカレンダーに登録しておくことをおすすめします。更新の時期が近づいたときに会社側から声をかけられると、本人の安心感はずいぶん違います。仮の話として、満了日の3ヶ月前に社内で一度確認する運用を決めておくだけでも、直前の慌ただしさは避けられることが多いようです。
外国籍の方の応募対応は、聞くべきことが増えるぶん初動が遅れがちです。けれど、遅れた分だけ他社に決まってしまうという構造は、日本人の応募者とまったく同じです。
社外採用部では、応募の受付から初回連絡、日程調整、面接前後のフォローまでを採用事務局として代行しています。確認事項の聞き方を含めた連絡の型を最初にご一緒に設計し、以降の実務を引き受ける形です。月額49,800円〜、初回設計費100,000円から。「応募は来ているのに手が回らない」という段階でしたら、まずは現状をお聞かせください。
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