面接だけで採用を決めるのは不安だ、という声はよく聞かれます。人柄は良さそうだったが続くだろうか、現場で手が動く人だろうか。そうした迷いから、適性検査や実技テストの導入を検討される経営者の方は少なくありません。求人媒体の営業担当から勧められたり、同業の社長から「うちは検査を入れている」と聞いたりして、気になっている方もいるかもしれません。

ただ、検査を入れるという判断は「選考に1工程増やす」という判断でもあります。工程が増えれば、案内を出す人手も、結果を待つ日数も発生します。応募が月に数件という会社では、この数日が辞退につながることもあります。入れるべきかどうかは、会社の状況と職種によって答えが変わります。

検査を入れると、何が増えるのか

まず、増えるものを具体的に見ておきます。費用だけでなく、時間と手間が増えます。

適性検査の料金は提供会社や検査の種類によって幅があります。一人あたり数千円のものもあれば、もっと高いものもあり、最低利用数や年間契約が条件になっている場合もあります。導入前に、単価・最低数量・結果レポートの有無を確認してください。

見落とされやすいのは、日数のほうです。仮にWebで受検できるタイプを入れた場合、おおよそ次のような工程が加わります。

増える工程発生すること日数の目安(仮の数字)
受検案内ID発行、案内文の作成と送付当日〜1日
候補者の受検候補者が都合のつく時間に受検1〜3日
未受検者の催促期限を過ぎた人への再連絡必要に応じて1〜2日
結果の確認・共有出力し、面接官に渡す即日〜数日

合わせると、応募から面接までが3〜5日ほど延びることになります。在職中の方や、複数社を同時に受けている方にとって、この数日は小さくありません。応募から面接まで何日空いていいか。長すぎる待機が辞退を生むでも触れていますが、間が空くほど候補者の温度は下がりやすくなります。

検査を入れるなら、この数日を吸収できる設計にするか、面接を先にして検査を後に回すか、どちらかを決めておく必要があります。

導入が効くのは、どういう会社か

検査がはまる会社には、いくつかの共通する状況があります。

ひとつは、面接後の判断が毎回割れる場合です。社長と現場責任者で評価が分かれる、面接のたびに判断に時間がかかり合否連絡が遅れる。こうした状態では、共通の物差しがひとつあるだけで会話が進みやすくなります。ただしこの場合、本当の原因が「求める条件が多すぎる・曖昧」であることもあります。先に求める人物像は3つに絞る。条件を並べすぎると決められないや面接評価シートの作り方の整理を試してから検査を検討しても遅くありません。

もうひとつは、面接官が実質1人しかいない場合です。社長だけが面接するという体制では、その日の印象や相性に判断が引っ張られても、それを打ち消す人がいません。検査結果は、自分とは違う角度からの情報として機能します。

逆に、導入を急がなくてよいのは次のような場合です。

採用がうまく回らない原因が検査の不在ではなく、初回連絡の遅れや日程調整の詰まりにあることも多いものです。面接設定率という指標で応募から面接までの歩留まりを一度測り、そこが低いなら、検査より先に手を入れる場所があります。

結果は「落とす基準」ではなく「質問の材料」にする

検査を入れると決めた場合、いちばん気をつけたいのが結果の使い方です。

ありがちなのは、総合点や判定ランクで足切りをしてしまうことです。母集団が数十人、数百人いる会社であれば効率的な絞り込みとして成立しますが、応募が月に数件の会社が同じ使い方をすると、会える人をさらに減らすだけになりかねません。

おすすめしたいのは、検査結果を面接の質問リストに変換するという使い方です。たとえば「慎重さが高く、決断に時間がかかる傾向」と出ていたら、それを理由に見送るのではなく、面接で「仕事を進めるとき、どこまで確認してから動きますか」と聞いてみる。実際の仕事の進め方を本人の言葉で聞ければ、検査の数値より確かな材料になります。

結果の扱いについて、社内で先に決めておきたいのは次の3点です。

  1. 誰が結果を見るか(面接官全員か、社長だけか)
  2. 合否にどこまで反映するか(参考情報なのか、判断材料のひとつなのか)
  3. 候補者に結果を伝えるか(伝えないなら、聞かれたときの答え方も決めておく)

ここを曖昧にしたまま導入すると、結果が出ているのに誰も読んでいない、あるいは数値だけが一人歩きする、といった状態になりやすくなります。

実技・作業体験で代替できる職種もある

職種によっては、適性検査よりも実技や短時間の作業体験のほうが、判断材料として素直です。

実技の利点は、会社側が見極められるだけでなく、候補者側も「自分にできそうか」を確かめられる点です。入社後の「思っていた仕事と違った」を減らす効果が期待できます。

一方で、注意点もあります。実技や作業体験が長時間に及んだり、実質的に業務をさせてしまったりすると、労働と見なされる可能性があります。時間は短く区切り、見学や体験の範囲にとどめ、不安があれば顧問社労士に確認してください。また、在職中の候補者にとって平日日中の実技は負担が大きいため、面接と同じ日にまとめる、土曜に枠を用意するなどの配慮があると進みやすくなります。

入れると決めたら、運用で崩れないようにする

検査にせよ実技にせよ、導入後に起きやすいのは「工程は増えたが、運用が追いつかない」という状態です。受検案内を送り忘れる、期限を過ぎた人を催促しないまま放置する、結果が出ても面接官に渡っていない。こうなると、費用をかけて候補者を待たせただけ、という結果になります。

崩れにくくするために、導入と同時に決めておきたいのは次のことです。

このうち、案内の送付・期限管理・催促といった部分は、判断を伴わない事務です。社内で手が足りないなら、ここは外に出せます。社外採用部では、応募の受付や初回連絡、面接の日程調整とあわせて、受検案内の送付や未受検者への連絡、面接前後のフォローまでを採用事務局として代行しています。面接そのものと採否の判断は御社に残したまま、工程が増えても止まらない体制をつくることができます。

料金は月額49,800円から、初回設計費100,000円。支援内容と工数に合わせて個別にお見積りします。検査や実技を入れるべきか迷っている段階でも構いません。いまの選考工程を一緒に見ながら、増やすべきか、別のところを直すべきかを整理します。まずはお問い合わせからご相談ください。