「平日の日中は仕事があって伺えません」。中途採用で応募者と日程を詰めていると、この一言で話が止まることがあります。こちらが出せるのは平日の10時から17時、相手が動けるのは夜か土日。結局「来月の有給が取れたら」となり、そのまま連絡が途絶える。在職中の方を採ろうとする以上、避けて通れないすれ違いです。

かといって「候補者の都合に合わせます」と宣言すれば、土曜の朝に社長が出社し、平日は20時まで誰かが残ることになります。採用のために通常業務が削られれば長続きしません。ここで必要なのは、受けるか受けないかの二択ではなく、どこまでなら負担が固定できるかを先に決めておくことです。

時間外面接を「その都度判断」にすると、いちばん高くつく

多くの会社で起きているのは、禁止でも開放でもなく「そのとき次第」という状態です。有力そうな候補者なら社長が土曜に出る、そうでなければ平日でお願いする。一見柔軟ですが、実務上はいくつも問題が出ます。

ひとつは、候補日の提示が遅れること。時間外で受けるかどうかを社内で相談している間に、1日2日が過ぎます。在職中の方は複数社を並行して見ていることが多く、先に日程が決まった会社から話が進みます。応募から面接まで何日空いていいかでも触れていますが、待機期間が延びるほど温度は下がります。

もうひとつは、社内の不公平感です。毎回同じ人が休日に出ることになり、「採用のたびに土曜が潰れる」という印象だけが残ります。現場に面接官を頼みづらくなり、結果として平日の枠まで取りにくくなる、という回り方をすることもあります。

決めておくべきは、やる・やらないではなく「月に何回、何曜の何時なら、誰が出られるか」という具体的な枠です。

枠を固定する。全件ではなく、定期的に少しだけ開ける

おすすめしたいのは、時間外の面接枠をあらかじめ少量だけ確保し、それ以上は開けないという設計です。仮の数字ですが、たとえば次のような組み方が考えられます。

枠の種類頻度・時間形式担当
土曜午前枠月1回(第2土曜 9:30〜12:00)対面社長+現場責任者
平日夜枠毎週2日(火・木 18:00〜19:00)オンライン限定現場責任者
昼休み枠随時(12:15〜12:45)電話・オンライン採用窓口担当

ポイントは三つあります。

第一に、対面で受ける時間外枠は月1回程度に絞ること。対面は会場の開錠や応接の準備、複数名の拘束が伴い、負担が大きくなります。月1回と決めておけば、担当者も予定を立てられます。

第二に、夜はオンライン限定にすること。18時以降に会社へ来てもらうと、候補者の帰宅時間も遅くなり、こちらも施錠まで残ることになります。オンラインなら自宅からの参加で済み、面接官も場合によっては在宅で対応できます。どの候補者を対面にすべきかは一次面接をオンラインにすべき候補者、対面がいい候補者の整理もあわせてご覧ください。

第三に、埋まらなかった枠は前日に解放するルールを決めること。仮押さえしたまま通常業務を入れられないと、枠そのものが嫌がられます。前日17時時点で予約がなければ通常業務に戻してよい、と決めておくだけで現場の抵抗感は下がります。

枠の確保そのものの考え方は面接枠が取れない。現場が忙しい会社の面接枠の作り方でも扱っています。時間外枠は、その週次カレンダーに一列足すイメージで組むと無理がありません。

枠が合わないときに、候補者を落とさない代替案

枠を固定するということは、合わない候補者が出るということです。ここで「では日程が合いませんので」と終わらせてしまうと、せっかくの応募が消えます。断る前に挟める手を、先に用意しておきます。

短時間のオンライン一次面談(20〜30分)。本格的な面接ではなく、お互いの条件確認を目的にした場として設定します。候補者からすれば「移動なしで30分なら夜でも出られる」となりやすく、会社側も面接官1名・画面越しで済みます。ここで相互に進める意思が確認できてから、土曜午前の対面枠を使う、という二段構えにすると、貴重な対面枠を有力候補に充てられます。

昼休みの電話面談(15〜20分)。オンラインの準備すら難しい職種の方もいます。工場や現場で働いている方、接客中で席を外せない方には、昼休みの電話のほうが現実的です。仕事内容と条件の確認、勤務開始可能時期の確認くらいは電話でも十分に進みます。

面接の時間を短くして、平日夕方に寄せる。18時が無理でも、17時30分開始で30分なら出られる、という方もいます。所要時間を先に伝えて「30分で終わります」と示すと、調整の余地が生まれやすくなります。

いずれの代替案も、候補者に選ばせるのではなく、こちらから具体的に提示するのがコツです。「ご都合のよい時間をお知らせください」ではなく、「土曜午前の対面か、平日夜のオンライン30分か、どちらがご都合よろしいでしょうか」と二択で出す。選択肢が具体的なほど返事は早く返ってきます。

伝え方次第で、同じ制約が配慮に見える

同じ「平日夜と月1回の土曜しか受けられません」という内容でも、伝え方で受け取られ方は変わります。

避けたいのは、制約だけを先に伝えることです。「弊社は平日17時までの対応となっております」と書けば、候補者は「融通が利かない会社」と読みます。一方で、在職中であることへの配慮を先に置くと印象は変わります。

お仕事を続けながらの転職活動かとお察しします。平日日中のご調整が難しい場合に備え、下記の枠をご用意しています。 ・第2土曜 午前(対面・約60分) ・火曜/木曜 18時以降(オンライン・約30分) いずれもご都合が合わない場合は、お昼休みなどに15分ほどのお電話でまずお話しさせていただくことも可能です。

文面に書いておけば、候補者は「こちらの事情を分かってくれている会社だ」と受け取りやすくなります。求人票や面接案内に時間外枠の存在を載せておくのも有効です。応募の段階で「夜も受けてもらえるなら応募してみよう」と判断する方がいるためです。

もうひとつ、在職中であることを前提に、面接以外の連絡時間も合わせることを忘れないでください。日中に何度も電話をかけると、職場で出られず不在着信だけが積み上がります。連絡可能な時間帯と手段を初回に確認し、SMSやメールを併用する。この積み重ねが候補者体験を形づくります(候補者体験を良くすると、なぜ採用成功につながるのか)。

枠をつくっても、調整する人がいなければ回らない

ここまでの設計は、どれも「誰かが候補者とやり取りする」ことが前提です。土曜午前の枠を用意しても、夜に届いた応募への返信が翌々日になれば、枠は埋まらないまま流れていきます。

中小企業で時間外面接が定着しないのは、面接官の都合より先に、調整する側の手が足りていないことが多いものです。社長や総務の方が通常業務の合間に対応している限り、夜や休日の連絡まで手が回らないのは自然なことです。

私たち社外採用部は、中小企業の採用事務局として、応募の受付から初回連絡、日程調整、面接前後のフォロー、内定・入社までの連絡を社外から担っています。求人・媒体運用やスカウト、学校との接点づくりといった母集団形成の支援も含め、採用の局面に合わせて当社から担当をアサインします。面接そのものと採否の判断は御社が行い、その前後の調整と連絡を私たちが引き受ける、という分担です。費用は月額49,800円〜、初回設計費100,000円。以降は支援内容と工数に合わせて個別にお見積りします(サービス責任者:佐々木純平代表)。

社内で枠を開ける余力があるかどうかも含めて、一度整理してみませんか。現状の応募件数と対応の流れを伺えば、どこに手を入れるのが早いかをご提案できます。お問い合わせはこちらから、お気軽にご相談ください。