求人サイトに薬剤師の応募が入った通知が、午前の混雑のさなかにスマートフォンに届く。気づいたのは処方箋の山が片づいた午後で、折り返したときには留守番電話。夕方にもう一度かけ、翌日また留守番電話。三日後にようやくつながったら「他で決まりました」と言われる――薬局・調剤の採用でよく聞く話です。
薬剤師や登録販売者は有資格の職種で、転職時には複数の店舗を並べて比較します。しかも在職中の方が多く、電話に出られる時間帯が限られている。店舗側も管理薬剤師が投薬に入っていれば電話に出られない。互いに手が離せない時間が重なったまま数日が過ぎると、そのあいだに別の薬局が面接日を決めてしまいます。少人数店舗の採用は、応募を増やす工夫よりも先に、この「数時間の段取り」を決めておくことで変わりやすくなります。
応募が消えるのは、開局中の数時間
まず押さえておきたいのは、取りこぼしの多くが応募の質や求人原稿ではなく、応募が届いてから最初の連絡までの時間に起きているという点です。応募直後の候補者は、複数店舗に同時に応募したまま「どこから連絡が来るか」を待っている状態にあります。先に話が進んだ店舗の面接日が入れば、あとから連絡しても「その日は面接が入っていて」となる。
このあたりの考え方は応募後1時間以内の初回連絡が、採用の歩留まりを変える理由で詳しく書いていますが、薬局の場合はさらに条件が重なります。開局時間中、管理薬剤師の手は処方箋に取られている。パートの事務スタッフはいても、採用の話は聞いていない。結果として、応募の一次対応ができるのは閉局後だけ、という店舗が少なくありません。
そこでまず決めたいのが、「今日中に一度は連絡を入れる時間帯」です。すべての応募に即座に反応するのは現実的ではないので、開局時間の中で電話をかけられる時間を先に固定してしまいます。
開局時間の流れに沿って、折り返し時間帯を決める
門前薬局であれば、処方箋の波は診療時間に連動します。午前の混雑、昼の空き、午後の混雑、夕方の波。この波の谷間を、あらかじめ「連絡の枠」として押さえておきます。
| 時間帯 | 店舗の状況 | 応募対応でやること |
|---|---|---|
| 開局〜午前 | 処方箋が集中。電話は難しい | 応募通知の確認のみ。SMSで受付の一報を送る |
| 昼の休憩前後 | 処方箋が途切れる時間 | 1回目の電話。在職中の方にもつながりやすい時間帯 |
| 午後前半 | 比較的落ち着く | 前日以前の未接触者への追いかけ、面接日程の確定 |
| 夕方〜閉局前 | 再び混雑 | 通知の確認のみ |
| 閉局後 | 手が空く | 当日の応募のうち未接触の方へ2回目の電話、翌日の段取り |
ポイントは、朝の時点で電話をかけられなくても、SMSやメールで「応募を受け取ったこと」と「本日◯時ごろに担当からお電話します」を送っておくことです。候補者からすれば、連絡が来る時間が分かるだけで待てるようになります。逆に何も届かないまま半日が過ぎると、他店の面接に流れていきます。電話・SMS・メールの使い分けは応募者に電話がつながらない。SMS・メールを組み合わせた連絡の順番にまとめています。
事務スタッフとの受付分担を決めておく
少人数店舗では「採用担当」を置けません。だからこそ、誰が何をするかを紙一枚で決めておく価値があります。
事務・医療事務スタッフに任せやすいのは、応募通知の確認、受付のSMS送信、候補日の提示、面接前日のリマインドまで。判断が要らず、決まった文面で回せる範囲です。一方、勤務条件の細かい相談や、経験・認定資格の確認、最終的な合否は管理薬剤師や経営者の仕事として残します。
ここで大事なのは、事務スタッフに「採用の判断」を求めないことです。「時給はいくらまで出せますか」と聞かれて答えに詰まる状況を作ると、その場で会話が止まります。想定される質問への回答をあらかじめ用意し、答えられないものは「担当から折り返します、◯時ごろになります」と時間を約束して引き取る。これだけで一次対応の質は揃いやすくなります。同じ構造の悩みはクリニック・歯科の求人。院長が診療中でも応募を止めない受け方でも扱っています。
面接と店舗見学は、はじめからセットで提示する
薬剤師が転職先を選ぶとき、給与と同じかそれ以上に気にするのが「1日に何枚さばくのか」「監査体制はどうなっているか」「一包化や在宅の比率」「人員配置」といった、実際に働く環境の中身です。これは求人原稿の文字では伝わりにくく、店舗に立ってもらうのが早い。
ですから、面接日程を案内する段階で「面接30分と、店内のご見学15分をあわせて45分ほど」と伝えてしまいます。別日に見学を設定すると、調整の往復が増え、そのあいだに他店で決まる余地が生まれます。
見学で見せておきたいのは、調剤室の動線、レセコンや分包機などの設備、在宅に出る場合の車両や訪問エリア、そしてスタッフの人数と年齢構成です。あらかじめ「ここを見てもらう」と決めておけば、案内役が誰でも同じ内容になります。
面接枠そのものが取りにくい場合は、週のうち固定曜日の同じ時間に仮の枠を置いておくやり方が有効です。埋まらなければ通常業務に戻せばよく、応募が来てから枠を探すより格段に速くなります。
入社が数ヶ月先の在職薬剤師を、どうつなぐか
薬局の採用でもうひとつ特有なのが、入社日の遠さです。在職中の薬剤師は、引き継ぎや後任確保の都合で「退職は3ヶ月後」「年度末まで」となることが珍しくありません。管理薬剤師であればなおさらです。
内定を出してから入社まで数ヶ月の空白があると、そのあいだに現職から引き止められたり、条件のよい話が入ったりして、承諾後の辞退が起こります。ここでやることは、連絡を絶やさないことに尽きます。
仮の数字ですが、入社まで3ヶ月ある場合、内定直後・1ヶ月後・入社1ヶ月前・入社2週間前・入社前日といった具合に、5回ほどの接点を先にカレンダーへ置いてしまう。内容は重くなくて構いません。退職交渉の進み具合を聞く、店舗のスタッフ構成が決まったら伝える、初日の集合時間と持ち物を案内する。用件がなくても「その後いかがですか」の一言が入るだけで、候補者は自分が忘れられていないと感じます。
退職交渉に苦戦している方への向き合い方は内定者が現職に引き止められている。退職交渉を支えるフォローでまとめています。
ここまで挙げた段取りは、どれも難しい仕組みではありません。ただ、開局中の店舗でこれを回し続けられるかというと、話は別です。投薬の手を止めて電話をかけ、断られた候補者に見送りの連絡を入れ、数ヶ月先の入社者へ定期的に連絡する。その一つひとつが、本来の業務の合間に押し込まれていきます。
社外採用部は、応募の受付から初回連絡、日程調整、面接前後のフォロー、内定から入社までの連絡を、店舗の外側で担う採用事務局です。月額49,800円〜、初回設計費100,000円で、貴店の開局時間に合わせた連絡の時間帯や文面を設計したうえで運用します。求人広告そのものを運用するサービスではありませんが、いま来ている応募を面接までつなぐ役割を引き受けます。
応募は来ているのに面接まで届かない、という実感がある方は、お問い合わせから現状をお聞かせください。サービス責任者の佐々木がご相談を承ります。
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